クラウンジュエル=ポニーキャニオンの価値
ニッポン放送の焦土作戦でクラウン・ジュエルの用語解説をしていますので、まずはそちらからご覧ください。
ニッポン放送には二つのジュエルがあります。一つはフジテレビ株。1月時点で22.5%の出資比率でフジテレビの株主になっていました。この保有株の時価よりもニッポン放送の時価総額が見劣りしていたというのが、一つのゆがみです。
もう一つのジュエルがポニーキャニオンです。ニッポン放送は56.0%、フジテレビが27.0%の出資比率です。ポニーキャニオンは非上場ですから、株式を即売却はできませんが、ポニーキャニオン自体の保有価値はあります。ニッポン放送の連結営業利益の部門別内訳(日経3/15朝刊3面より)を見てみると、放送で5億円、ポニーキャニオンなど映像・音楽・出版で19億円の営業利益です。放送を軽く超えています。非上場の完全子会社のビジネス規模においても親子逆転が起きています。
- 上場企業としての株式時価総額でもニッポン放送とフジテレビとで親子逆転
- ビジネスの規模としてもニッポン放送とポニーキャニオンとで親子逆転
というねじれの現象が起きています。クラウン・ジュエルというのは、買収を防ぐための一つの戦術として語られていますが、そもそも「なぜ王位ではなく王冠の宝石にしか興味を持たれていないのか?」という点に立ち戻って考えてみましょう。それは、宝石に比べて相対的に王位の価値がないからです。
自社ビジネスではなく、ジュエルに対してしか興味をもたれていないとしたら、まずは自社ビジネスの価値を上げることから考えた方がいいでしょう。ジュエルを破壊するのではなく。
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