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コングロマリットって言いたいだけとちがうんか

金融コングロマリットで指針案、「持ち株」など4タイプ

コングロマリットとはそのまま訳すと「複合企業」のことです。金融コングロマリットというのは、銀行や保険や証券会社などの企業がひとつのグループとして活動することです。そういうグループがあってもいいように思いますが、今までは規制の中で銀行が証券そのものを売ることは禁止されていました。それが規制緩和されそうだということです。

外国の金融会社は実際に金融コングロマリットなので、日本だけの規制により日本の金融が規模で負けるのは得策ではないです。

規制緩和をして何でもありにするのかというとそうではなく、比較的リスクが高い(とされている)証券会社の破綻が銀行に波及させない仕組みなどを盛り込むようです。あとよく言われているのが、「融資をちらつかせて保険に入らせる」なんてこともチェックが必要です。

ちなみにコングロマリットというと、堀江社長が「ITとファイナンスとメディアのコングロマリットを目指す」と言ってたりします。

コングロマリットの元祖は、1960年代のアメリカでのM&Aブームで誕生しました。1960年代のコングロマリットは自社の割高株を武器に、株価が割安の企業をTOBでどんどん買収していくというものです。異業種でも節操なく買収します。

コングロマリットの原義は「礫岩」の意味です。石や砂などの凝縮した様から、本来くっつくはずのない企業同士がくっつく様を例えています。

ライブドアの戦略と1960年代のアメリカのコングロマリットはまぁまぁダブりますね。

2005.5.15 原義を追加(日経2005.5.15朝刊を参考)

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イトーヨーカドーの親子上場解消

イトーヨーカドーがセブンイレブンジャパン、デニーズジャパンの上場子会社二社と持ち株会社での統合を決めています。その話題が日経4/26朝刊19面一目均衡にありました。

イトーヨーカは、子からの配当収入(約180億円)で配当原資(約160億円)を賄っておつりがくるゆとりに安住しがちだ。

投資家としてはセブンイレブンの株を買わずにイトーヨーカの株を買っているわけなので、イトーヨーカをスルーしてセブンイレブンの配当をもらうというのは無意味な話です。

有力企業の親子上場が常態化した先進国は日本だけだ。法律や上場規則で禁じずとも原則的にない国との違いは、株式会社と証券市場の文化の違いで済ませられるのか。

イトーヨーカの場合は、ちゃんと持ち株会社という形で正常化するのですが、まだまだこういうねじれは残っています。グループにとっても時価総額の小さな親会社が存在するというのは、買収のリスクを増やすだけです。

ちなみに、記事ではイトーヨーカを「土地本位制経営と株式持合いの悪習に染まらず」とべた褒めしています。他の大型小売が土地の値上がりを利用した含み益経営をしてきたのとは対象的です。でも「私の履歴書」を見る限り、「都心に店舗を出したくてお金を借りるのもヤなので、土地は地主さんから借りるだけにした」というのが実情のようです。それはそれでバランスシートを薄くするいい方法だと思います。

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「サザエさん」の視聴率が上がると株式市場は低迷

「サザエさん」の視聴率が上がると株式市場は低迷、大和総研がリポート

ちょっと古いニュースです。このネタが4/25日経朝刊17面でも取り上げられていました。

「サザエさんを見ながら夕食をとるのは、休日に外出しないということで、景気の悪さと関連しているのでは」(投資戦略部)

とのことです。へぇと思うのはここまで、松尾氏が実際に再検証しています。

「サザエさんの視聴率」と「株価」の逆相関は、本当だろうか。

結論としては、「ちょっとサンプリングの範囲を変えるだけで全然ダメ吉」ということのようです。

教訓

  • 自分でもう一回一次情報源にあたるだけで意外と新しい情報が得られる
  • ほとんどの人は一次情報源にあたらずそれらしい分析結果を鵜呑みにする
  • まだまだだまされているものは多いのではないか

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ウィルス対策ソフトの国内シェア

http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000050480,20083103,00.htm
などで語られているように、トレンドマイクロのウィルスバスターで不具合がありました。

ウィルスのパターンファイルの不具合なので、パターンファイルの自動更新でPCがいっせいにダメになるという点がセンセーショナルです。

これに関連して、日経4/24朝刊でウィルス対策ソフトの国内シェアがありました

  • トレンドマイクロ・・・44%
  • 米シマンテック・・・38%
  • 米マカフィー・・・・・9%
  • ソースネクスト・・・・2%

トレンドマイクロが奮闘してたんですね。でも寡占は進んでいない。OSやドキュメント作成ソフトとは違って、ネットワーク効果がないからでしょうか。それだけに今回の不具合でのイメージダウンはこの「僅差の一位」に打撃を与えそうです。

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ライブドアのブレーン

ライブドアは堀江社長のワンマン経営だと思われがちですが、実際には違います。堀江社長一人であそこまで広く手がけることは出来ませんし、堀江社長一人だと法律とファイナンスの経験が浅いです。がっつりとサポートしている、二人について、日経4/20朝刊13面に掲載されています。

宮内亮治取締役(37)
税理士出身。普段は慎重派。しかしニッポン放送が買収防衛策に出たときには、翌日に東京地裁に新株予約権発行差し止めを申請。その後もニッポン放送の買収後にフジ本体の買収に出られるように資金を手当てした。LBO構想で描き、米系金融機関から2000億円の計画を結ぶ直前まで話を進めた。フジ株が上昇すると、別の外資系金融機関と3000億円の契約にめどをつけた。
熊谷史人取締役(27)
未来証券からの転職組。投資事業の実務に詳しい。大幅な株式分割も彼の提案。

こういう人が居ないとあそこまでのことできないです。 税理士にしても証券マンにしても、本来なら自分のテーブルの向こう側にいる人たちが取締役なのですが、自分自身が取締役になったことで、「ギリギリを攻める」ことができているように見えます。

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見捨てられる日本企業

日経4/19朝刊19面一目均衡「IBMよおまえもか」より。

  • 2005年5月、IBMとペプシコは東京証券取引所への株式上場を取りやめる
  • 東証の外国企業は1991年の127社をピークに28社へと落ち込むことになる
  • 原因の一つが日本株式市場そのものの魅力の低下
  • もう一つが株式交換の魅力の低下
  • つまり円建ての株式市場に上場しないということは、日本で企業買収に魅力を感じないということ
  • P&Gは時価総額が多いから花王を飲み込むのではないかという見方もあるが、実はP&Gは昨年に東証上場廃止になっている

ちなみに、フジとライブドアのごたごたにまぎれて会社法法案修正にあるように、日本での外国企業の株式交換による買収は1年延期になってしまっています。こういった政策転換も日本に投資をする意欲を減退させているんじゃないかと思います。

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ライブドアはグリーンメーラーか

またまた、新しい言葉、「グリーン・メール」です。
『ニッポン放送株』和解、想定外の痛み分け

グリーンメールの解説はM&A戦術一覧(ポイズンピルなど)に追記しています。

事実だけを見れば、ライブドアは株を買って売っただけです。特にビジネスに投資はしていません(まだ)。業務提携をするための和解ではなく、単に高値で株を買い取らせただけという見方もできてしまいます。

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IBMによるロータスの買収

「敵対的買収はアメリカでもうまくいく例は少ない」という言葉を聞きますが、記憶の中ではIBMがロータスを買収したのはうまくいったよなぁと思ったので、元ネタにあたってみました。「巨像も踊る」(ルイス・ガースナー著)P.194より。

  • 技術を作るのではなく、「買う」のはIBMの行動パターンからもかけ離れていた
  • IBMが欲しかった「宝石」はノーツであって1-2-3ではない
  • ロータスCEOのトム・マンジには買収を断られた
  • 買収する資産は人材であり、優秀な人材が去ることへのリスクは高い
  • 敵対的TOBを継げた直後に、IBMのホームページ上で、ロータスの従業員と株主へのメッセージを掲載した
  • ノーツを開発した天才技術者、レイ・オージをはじめ、優秀な人材を引き止めることが出来た
  • 買収が成立した95年7月時点で顧客企業で使われていたノーツは約200万本。これが2001年末で9000万本に増加している

ガンガン買収を仕掛けるのを「アメリカ式」と呼ぶ人も居るとは思いますが、アメリカ最大級の敵対的TOBはものすごく繊細です。しかもその後も成功している。

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手厚い買収防衛策は株価低迷を招く

日経4/16朝刊9面より、米議決権助言サービス会社ISSと英株価指数開発会社FTSEが14日に発表した調査。

  • 世界の主要上場企業2200社を対象に企業統治を調査し格付けした(経営陣の保身に使われるようなポイズンピルを導入していると格付けは低い)
  • 防衛策が最も手厚い50社の2004年の株価上昇率は平均7.4%
  • これに対して防衛策が少なく、高い格付けの50社の株価上昇率は15.4%
  • 「防衛策の導入が相次げば日本の評価は下がる」(ISSデュビエル氏)

議決権助言サービスが出した調査というところはちょっとは割り引かなくちゃいけないかも知れません。

相関はあるということは分かりましたが、どっちが原因かはわかりません。つまり「防衛策が過剰だから株価が低迷した」のか「株価が低迷してるから防衛策を導入せざるを得なかった」のかは分からないのです。

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花王社長インタビュー

日経4/15朝刊11面より、花王社長尾崎元規氏インタビュー。

フジテレビから花王にフジテレビ株を保有するよう要請された件について。

証券会社を介した話があったのかもしれないが、はっきりとは認識していない。一般論で言えば、日用品事業が主力の当社はさまざまなメディアと色々な付き合いがある。特定のメディアの株式を保有することで得られるリターンと、持たない場合の見返りのどちらがおおきいのかはっきりさせておかないと、株主への説明責任が果たせない。他社の株式は持たないといことが基本路線だ。

すごく丁寧に「フジテレビ株なんて持っても意味ないよ」ということを言っています。投資に見あうリターンは確かにないでしょう。東宝がフジ株を取得したのとは対照的です。それでも断る時はすごく丁寧。

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WTO体制の農政改革

日経4/12朝刊5面より、経済産業研究所上席研究員、山下一仁氏インタビュー。

本来は、農地の転用規制を強化し、参入は誰でもできるように全面的に解禁すべきだ。農地はピーク時(1961年)の約600万ヘクタールから現在は470万ヘクタールまで減った。そのうち半分は住宅などに転用され、残りは耕作放棄地。転用規制が弱いため、農家自身が農地を捨てた。企業の参入を防ぐ理由はない。

同じ話題を、このサイトでもしました。
http://yugo-yamamoto.cocolog-nifty.com/uragami/2005/02/post.html

農業を守るふりをして農家だけを守るという政策はカンベンして欲しいです。農業がどんどん殺されていきます。

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松下電器ポイズンピル導入へ

日経4/12朝刊1面より、松下電器が毒薬条項の導入を検討しているという記事。

  • 敵対的TOBがあった際に敵対勢力以外の株主に新株購入権が発生する仕組み
  • 松下の現在の時価総額は4兆円
  • これに対し純金融資産は1兆円近く

ちなみに、2005/4/11終値時点での松下のPBRは1.03です。資産に比べて株価は高くはないですし、資産の内訳も現金に近いものなので、買収する側にとっては魅力的です。

松下のPBR1は有名で、松下くらいになると「PBRが1を下回るわけがない」ということで、PBRが1に近づくと株価が反発するという現象もありました。

また、松下の金融資産がここまで大きくなったのはつい最近のことで、一時は現金がショートしかけたときもあります。キャッシュフロー経営を徹底することで、余分な在庫を持たなくなったりと、現金以外の資産を圧縮し続けてきました。手にした現金で自社株買いの枠を設定していたりもするようなので、決して株主を軽視しているわけでもないのでしょうが、イマイチ株価は上がっていません。

松下のキャッシュフロー経営については2004.12にも松下電器どこまで強いかでも触れました。

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六本木ヒルズの住人達

これといって再利用できないかも知れないけど、六本木ヒルズにオフィスがある企業の一覧が、日経4/11朝刊17面にありました。

  • ゴールドマン・サックス(43-48F)
  • ライブドア(38F)
  • グッドウィル(34F・35F・37F)
  • リーマン・ブラザーズ(30-33F)
  • レインズインターナショナル(29F)
  • ヤフー(25-28F)
  • サイバード(22F)
  • KLab(20F)
  • M&Aコンサルティング(20F)
  • 楽天(18F・19F21F)
  • ソースネクスト(15F)
  • コナミ(14F)
  • 森ビル(8-10F)

最後の森ビルはそりゃそうだろうという気もしますが、えらいメンバーです。六本木ヒルズの森タワーは、ワンフロアが4600平方メートルと広く、自家発電や高速ネット、耐震設備などのインフラが揃っている点で魅力だそうです。

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キャッシュリッチファンド

「キャッシュリッチ」とはうまく言いました。例えば日興キャッシュリッチファンドでは、

株主価値重視への経営姿勢の転換等が見込まれる企業に投資します

と言っています。キャッシュを溜め込むだけでは株主価値軽視の経営姿勢です。このファンドに組みいれられるということは、「今は株主軽視だけどちゃんと株主重視に転換しろよ」というメッセージになりうると思います。

商法改正などの制度変更による企業再編の加速化など、外部環境変化による株主価値重視プロセスも勘案します

とあります。大きなキャッシュは他企業の買収にも使えますが、買収のターゲットにもなりえます。キャッシュリッチファンドは「無駄にキャッシュを溜め込んでいる買収されやすい企業一覧」と見ることが出来ます。

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機関投資家「もっと払え」

日経4/8朝刊17面「投資を考える、配当新時代5」より、いかに日本企業の配当が少ないかという話。

大した設備投資計画もないのに株主配分が少ない問題企業に対してはたとえ増配でも、株主総会で会社が出した利益処分案に反対票を投じていく。(明治安田生命保険三宅博司証券運用部グループマネージャー)

ちょっと増配したくらいではダメだそうです。大事なのは額ではなく比率です。2005年3月期の配当性向は22%と前の期よりも3ポイント実は低下しています。業績の伸びに比べると配当の伸びが少ないのです。留保した利益で企業価値を高めるための再投資を行っているのなら、問題はないはずですが、そうではないので「配当にまわせ」という反応になるのでしょう。

当社が株式を保有する先が外資に買収をかけられた場合、中身次第では賛成する。(日生の宇治原常務)

株主としては当然の姿勢です。「やっぱり機関投資家ってのは金の亡者だ!」という反応も起きるかも知れませんが、機関投資家がここまで強い姿勢に出ているのは、次のような状況があるからだそうです。

厚生年金基金連合会が04年8月に発表した調査によると、回答した厚生年金基金のうち約55%、692基金が03年度に運用委託先を変更した。

ということで僕達の年金が僕達の職場に圧力をかけているとも言えそうです。ねずみの嫁入りみたい。

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村上ファンド大証株5%超取得

日経4/7朝刊7面より「村上ファンド大証株5%超取得」より。

  • 村上ファンドが大阪証券取引所株を5%を越えて買い集めた
  • 大証には証券取引決済の事故などに備えた200億円程度の剰余金がある
  • これを株主に還元することを求めようとしているのではないか(予測)
  • 大証は既に2005年3月期の年間配当を前の期に比べ3000多い7000円と決めている

ということです。「イザというときのためのお金」って経営者と株主とでそのリスク感覚に開きがあるのではないでしょうか。経営者は会社が存続することを第一に考えるけど、株主は本当にダメな時には会社を解散か売却して傷が浅いうちにたたんで欲しいと思っているかも知れない。

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IBMどこまで強いか

日経4/7朝刊13面「IBMどこまで強いか3」より。

米IBMがサプライチェーンマネジメント(SCM)事業への参入準備をすすめている。(中略)売り込みの武器は、IBM自身がSCMで過去3年間に200億ドル(約2兆1600億円)ものコストを削減した実績だ。

2兆の売上じゃないですよ。2兆のコスト削減です。それがSCMで生まれるならやらない手はないです。

「納期短縮を競うことに本当に意味があるのか」。昨年始め、「短納期=コスト削減」というIT業界の常識をひっくり返す議論が社内で浮上した。多少納期が遅くても、顧客が求める日時に製品を届ける方が満足度が高い――。こんな仮説を分析した結果、単純な短納期より増収効果が2.4倍あった。

これは初めて読みました。短納期にして、できるだけ在庫を抱えないというのが、供給サイドも需要サイドも満足するというのが一般的だと思っていました。「顧客の満足度」という点では、今は短納期のハードルは十分越えているでしょうから、ITにおいても宅配便の時間指定のようなきめ細かいサービスが既に求められているのかも知れません。なんで2.4倍もの増収効果かはわからないですけど。

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成長企業にも還元の圧力

日経4/6朝刊17面「投資を考える 新配当時代(3)」より。

  • スクエアエニックスは2005年3月期に年間配当を60円と前の期の二倍に増やす
  • ヤフーも前三月期から設立以来の初めての配当に踏み切る(配当性向は連結純利益の10%)
  • イーアクセスは2005年3月期の配当を始める(1200円)
  • サイボウズは2005年3月期から272円
  • ぱどは2005年1月期から1000円

と、成長企業っぽいにも関わらず、配当に踏み切っています。

成長段階にある企業は配当を行なわないケースも多いです。それは、留保した利益をビジネスに再投資するためです。利益留保は株主にとっては、「配当を受けてそのお金で増資された株を買う」のと等価のはずです。株主は投資先を探していますから、本当にビジネスに再投資して企業価値を高めるのであれば、利益留保でも構いません。企業価値が高まるということは、株価が上がるという形で投資家はキャピタルゲインを得ることが出来ます。

しかしながら、株価がそれほど伸びていないという状況での利益留保はあまり説得力がありません。再投資が市場にとっては「企業価値を高めない」と判断されているということでしょう。

本当に企業価値を高めていないのか、単にIRが下手で投資計画を理解してもらっていないのかは、切り分けできません。

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ライブドアと大衆資本主義

日経4/5朝刊17面、一目均衡「ライブドアと大衆資本主義」(末村篤)より。

ライブドアの投機的な経営について、

発行体としてのどん欲な利益の追求は常軌を逸して見えるが、株主利を省みない行動は特異な株主を前提にしてはじめて成り立つ。(中略、一株300円台で買えるというところ) 一年で株主が9回入れ替わった計算になる売買代金回転率の高さは、時価総額が2000億円規模の銘柄で突出している。

本来、株主資本主義の正しさというのは、株主がもっとも「企業の継続的な繁栄」を期待するからでしょう。ところがライブドアの株主の大半は投機目的。投機目的の株主がオーナーだから、その企業も投機的な経営になってしまう。ステークホルダー全員が投機的だと、とどまるところを知らない状態で突っ走ってしまう。

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フジ株 東宝が追加取得

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20050405/mng_____kei_____001.shtmlより。

東宝は先月二十八日、市場外の相対取引を使い、大和証券SMBCから約三万六千株を約百億円で購入。一株当たりの価格は同日終値の二十七万四千円。東宝は取得経緯を「SMBCから要請を受け、フジの了承も取った」としている。

フジテレビがライブドアによる買収の防衛策として取引先など約50社に要請していた株式購入の一環と見られています(日経4/5朝刊3面より)。

フジテレビがコンテンツを制作し、東宝が配給するという流れが出来ています。

  • ヒットの目安とされる興行収入10億円を超えた邦画は、2004年は20作品
  • うちフジテレビ制作分(共同制作などを含む)は4作品を締める
  • その4作品は全て東宝が配給を手がけた

ただ、100億の投資はそれに見合うんでしょうか。超ざっくりEVAで計算してみます。
100億の投資ですから、それに資本コスト(日本企業の平均の5%)をかけると、5億です。これに対して、税引き営業利益が上回ってないとダメですから、税率をざっくり50%として10億の営業利益増が必要です。一方で、2004年2月期の東宝の営業利益は110億円です。営業利益が1割ほど増えるという見通しがたっているならOKです。

また今をときめくフジテレビ株ですから、価格の下落リスクもあります。今回、追加で100億ですからトータルで数百億円をフジテレビ株の資産が占めていることになります。10%ほど上下すると、数十億の含み益(損)が上下します。ビジネスの規模に比較すると、投資有価証券の比率が多すぎるような気がします。

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ネット番組配信、マイクロソフトが参入

日経4/4朝刊11面より。
Web上の記事はこちら参照。
http://www.atmarkit.co.jp/news/200504/05/msn.html

日経の記事のサマリ(@ITとは数字が違うので注意)。


  • 月間3000以上の動画番組を無料で配信

  • 広告収入で対価を得る「テレビ放送型」のビジネスモデル

  • 米国ではサービス開始から1年で月間約6000万本が視聴されている。採算面でも黒字化している

  • USENも同様の広告ビジネスモデルの無料配信システムを4月から試験放送をする

「ネットと放送の融合」ということが言われていますが、マゴマゴしているうちに、ネットがテレビのビジネスモデルを飲み込もうとしています。

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放送免許:プライスレスその2

放送免許:プライスレスという記事を書きましたが、似たようなテーマが日経4/2朝刊大機小機にありました。

 プロ野球といい、放送業界といい、ライブドアの狙いは単純明快、規制産業にある。規制という参入障壁は利権そのもの、高い収益の源泉となる。その利権への近道が企業買収というわけだ。  外部から見れば規制は甘い蜜そのものだが、内部者がそれを存分に生かせていないのではないか。仕様資本あたりの利益率で評価すると、放送業界の収益性は高くない。そんな株式だから投資家も安値で放置してきた。

この価値と価格の乖離問題を資本市場に任せると、今回のような買収劇になります。もう一つの方法が提示されていました。

電波も空気も限りある資源だ。それを特定者だけに独占使用させ、努力なしに利益を享受させるわけにはいかない。独占使用の対価が求められる。(中略)電波の割り当てを受けたものに対して、国は電波使用料を徴収すべきだろう。

この案いいですね。資本市場で企業がいくら安くとも、電波ビジネスを買収するとそれなりに電波使用料がかかる。放送会社の不手際で、放送免許そのもがプライスレスで売り買いされるというおかしなことが起こることは防げます。

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ニレコ社長インタビュー

日経4/2朝刊14面にニレコの山田秀丸社長のインタビューがありました。ニレコと言えば、ポイズンピル条項一番乗りみたいなかたちで注目を集めています。まずはニレコのポイズンピル条項の内容から。

ニレコのポインズンピルとは
2005年3月待つの全株主に新株予約権を発行。一株あたり一円で株式を取得できる予約権2株分を現在の1株に対して与える。20%以上保有する買収者が現れた時点で、有識者二人と社長で構成する特別委員会を招集し、買収提案の是非を審査。同委員会の勧告を元に取締役会が予約権を発動させるか、償却するかを決める。

ポイズピルと簡単に言われていますが、ポイズンピルというのは「ポイズンピル条項」の略であって、買収者が現れる前に条項を設定しておくことをさします。買収者が現れてから大慌てで嫌がらせをするのは、本来の意味でのポイズンピルではないです。参考:ポイズンピル続報

ニレコはちゃんと条項になっていて、発動の条件も一応は公開されています。とはいえ、2004年のPBRが0.4倍以下というひどい状況だったので、事業を継続するよりも解散して資産を切り売りしたほうが価値があるというひどい状況でした。その状況を放置して買収だけを防衛するというのもいかがなものかと思っていました(私は)。

でもインタビューの内容を見ると、意外にも市場との対話を心がけていました。

「自社株買いや業績の建て直しに取り組んだが、PBR1倍超に向けた株価のスタート台があまりに低かったうえ業績建て直しも一朝一夕ではできない。業績改善が正攻法とは理解しているが、早く防衛策を取り入れて時間稼ぎをしないと危険との判断に傾き、3月期末に間に合わせた。」
正攻法も分かっていて、なおかつ正攻法でのゴールと現在地点との距離をちゃんと把握できているというのが、ポイントだと思います。

4月以降の株主には不公平なルールであることに関して。

中略「ただポイズンピルは発動するためにあるのではなく予防薬。これがあれば敵対的買収を受けず、だから発動もない」

防衛策の発表後に株価が上昇したことに関して、株価のてこ入れのためではないかという指摘を受けて。

「違う。今回の株価急騰は一時的なものだろう。収益強化で株主価値を高めることが重要と認識している。ただ株価上昇はうれしい。市場が防衛策採用という判断を支持してくれたことになるからだ」

資本市場の支持をきちんと気にしているというのもイイですね。

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板倉雄一郎が考えるネットと放送の融合

昨日の夜「朝まで生テレビ」でライブドアとフジサンケイグループのネタがありました。

その中で板倉雄一郎氏がネットと放送の融合について面白いことを言っていました。
ライブドアとしては、ライブドアが描くメディアとネットの融合効果をイメージしていました。

そういったことに対して、板倉氏は「リーチが欲しいならスポンサーになればいい」「ジャパネットをやればいい」と切って捨てていました。買収しちゃうと連結対象になりますから、ライブドア本体が儲けるためのリーチ拡大だけでは、フジテレビの広告収入が下がってしまえば(ライブドア以外のCMが追い出されることで)、グループ全体の価値が上がらないにもかかわらず、フジテレビのコストは買収した側のコストになります。これは非合理的な話だと言うわけです。

板倉氏のサイトに同じ話題がありました。
KISS第36号「夫婦物語」
KISS第40号「シナジーの成功例」

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4/4板倉さんご本人からのご指摘を受けて、リンク先の修正をしました。

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減損損失額一覧

日経4/2朝刊9面より、「流通各社、減損会計前倒し」より、主な流通企業の減損会計対応状況。

社名減損損失額
ダイエー2200億円
イトーヨーカ堂240億円
マルエツ191億円
ケーヨー135億円
ベスト電器117億円
ファミリーマート33億円
パルコ24億円
高島屋20億円程度

会計上損失を出していますが、いきなり今回損が出たわけではなく、既に時価では資産が目減りしていたのを、ちゃんと開示しましょうということです。減損会計自体は2007年2月からの義務付けとなっています。減損会計がなかった頃がむしろ異常で、会計がより実体を表していることになります。ややこしいのが今は減損会計を適用している企業とそうでない企業が混在しているので、企業の会計上の資産がどれくらい実体を表しているのか良く分からないのです。特に土地や建物を多く保有する企業はそうです。

対応策としては、「極力固定資産を持たない」ということです。じゃぁ誰が流通の巨大な固定資産を保有するリスクを持つんだよということになりますが、「リスクのある資産は資本市場に分散して保有してもらえばいい」というのが模範解答になります。土地や建物ではREITがずばり「土地オーナーの分散化」を実現する商品です。

ヨーカ堂は昨夏、新浦安店(千葉県浦安市)を森トラスト系の不動産投資信託(REIT)に売却。イオンの商業施設開発子会社イオンモールも昨秋、神奈川県大和市のSCをREITに譲渡した。

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経済産業省が考える防衛策の条件

日経4/2朝刊「M&A揺れるルール作り 経産省、防衛策に3条件」より。ポイズンピルなどの買収防衛策を示す一方で、経営者の保身目的の乱用を防ぐためのチェック体制について。

  1. 発動時に社外取締役などの第三者のチェックを受ける
  2. 買収者の提案に従った方が企業価値が高まる場合は防衛策を解除する
  3. 導入時には株主総会の承認を得る

ただ、これら3つを満たすのではなく、どれか一つを満たせば妥当と見なしているのが、どんくさいところです。ニッポン放送社外取締役久保利氏のように、既存株主の利益を損なうケースでも賛成するケースも出ている。

「社外取締役の独立性が確保されなければ、株主の利益が守られない可能性がある」(厚生年金基金連合会)との声もある。
ニッポン放送の場合は、社外取締役が顧問弁護士でもあったので、独立性のある社外取締役とは言えないですね。

しかし今回の件は厚生年金基金連合会がガンガン登場してきますね。

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ニッポン放送社外取締役久保利氏インタビュー

日経4/1朝刊11面より、「ニッポン放送、社外取締役3人辞任」より、社外取締役の久保利氏のインタビュー。

ニッポン放送が買収防衛策のため新株予約件をフジテレビ向けに発行することを決めた際、久保利氏は取締役会で賛成票を投じている。これについては、「微妙な適法性の判断や法廷戦略は顧問弁護士の仕事。本件についてはあくまで企業価値が毀損されるのをいかに防ぐかという取締役としての忠実義務にしたがって判断した」と説明した。

ここは、日経がちょっとツッコンで質問しています。要は、社外取締役というより「株主サイドに近い」立場でありながら、既存株主の価値を損なうような経営者保身策に賛成したのは何でだヨとつるし挙げています。答えはいつもの要に「企業価値」というすれ違いの単語で回答になってないのですが、記事としては「こんなの社外取締役じゃねーよ」と言わんばかりのトーンです。

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経済活性化に合併・買収必要

日経4/1朝刊11面より、「経済活性化に合併・買収必要 同友会代表幹事」。

  1. 企業の合併・買収は経済活動の活性化と企業価値向上のために必要
  2. 敵対的買収の防衛策整備には企業価値向上の観点を重視する
  3. 市場ルールの不備は早急に是正する必要がある

大事なポイントは2個目です。株式時価総額を上げろということです。企業の魅力をなくして「買う意欲をそぐ」のではなく、株価を上げて「魅力的かつ割安ではない」企業にしろということだと思います。

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海外からの失望

日経4/1朝刊5面「外国株対価M&A解禁先送りに失望」より、米通商当局高官が日本の政府・自民党外国株を対価にした企業の合併・買収の解禁を2007年まで1年先送りしたことに強い失望を表明したというニュース。

同高官は外国株を対価にしたM&Aの解禁を「外国企業の対日投資を拡大する上で重要な措置だ」と指摘。今回、政府・自民党が実施の先送りを決めたことに「失望している」と協調した。

関連記事:フジとライブドアのごたごたにまぎれて会社法法案修正

私も「M&Aされることを織り込んだ」の銘柄を保有しています。この措置が影響しているのかどうかは分かりませんが
、法案修正後から停滞しています。「ガイシ」だけではなく日本の投資からも失望されていると思います。

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