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【技術者のための財務会計】減価償却って何だ?

会計において分かりにくい概念に「減価償却」があります。分かりにくいからと言って害かというとそうではなく、財務会計にとって重要でなくてはならない概念です。もし減価償却という概念が無かったらどうなるかという例を挙げながら説明します。

問)3年で寿命の来る装置を300万円で買いました。売上は毎年120万円です。3年間の利益はどうなるでしょう?

まず、装置に支払ったお金は売上に対しては「費用」のはずですから、売上から装置のお金を引いて利益をだします。可能性としては次のようなパターンが考えられます。

A案 1年目 2年目 3年目
売上 120 120 120
費用 300 0 0
利益 (180) 120 120
B案 1年目 2年目 3年目
売上 120 120 120
費用 100 100 100
利益 20 20 20

A案は、装置を買うためにお金を支払った年に全て費用として計上するというパターンです。ただしこれだと、一年目だけ大赤字になって、翌年から大黒字です。同じ事業をやっているとは思えません。また、装置を買った300万円は1年目の売上のためだけの装置ではなく、2年目、3年目の売上のための装置でもあるのです。

ということで会計の世界ではB案を採用します。売上と費用というのは必ず対応がされるべきだという思想があり、これを「費用収益対応の原則」と呼びます。

B案では、装置を買ったものの100円しかお金が出て行っていない計算になっています。じゃぁ残りの200円分はdoko日鍛だというと、バランスシート上で「資産」として200円分が残ることになっています。この「資産200円」は、「将来の売上のための費用」と見ることも出来ますし「転売すれば200円の価値があるもの」と見ることも出来ます。

バランスシート上の装置の資産価値は、費用として出ていく分だけ、価値が減ります。なので「減価」償却と呼びます。

費用収益対応の原則を徹底することで次のようなメリットがあります。

  • 投資家は対象となる企業の業績の連続性が分かる
  • 税務署は意図的に企業の単年度の業績を赤字にすることを防げる

特に税務署が絡んでいるということから、減価償却の対象となる装置には厳密なルールが作成されており、「どれくらいのペースで償却すべきか」ということが厳密に定義されています。あまり企業が考える余地はありません。厳密に定義されているけど、ルールが今イマイチなので見直そうという法案が出てきています。それに関してはまた明日。

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【技術者のための財務会計】Yahoo!のざっくりバランスシートを見る2

Yahoo!のざっくりバランスシートの下のほうを見てみましょう。ROAという数字とROEという数字があります。これは大きければいいという数字ですが、具体的には何なのかを説明します。

単独決算推移
前期 2期前 3期前
決算年月日 2005年3月期 2004年3月期 2003年3月期
(決算発表日) 2005年4月20日 2004年4月21日 2003年4月25日
決算月数 12か月 12か月 12か月
売上高 107,407百万円 70,308百万円 55,366百万円
営業利益 60,318百万円 40,939百万円 24,625百万円
経常利益 60,922百万円 41,104百万円 24,128百万円
当期利益 37,157百万円 24,322百万円 12,496百万円
1株当り当期利益 4,849.47円 12,629.69円 25,990.20円
調整1株当り利益 4,833.79円 12,588.85円 25,951.04円
1株当り配当 484.00円 0.00円 0.00円
配当区分
1株当り株主資本 12,804.29円 31,714.32円 65,935.39円
発行済み株式総数 7,549千株 1,886千株 471千株
総資産 126,210百万円 80,905百万円 47,837百万円
株主資本 96,830百万円 59,940百万円 31,120百万円
資本金 6,692百万円 6,399百万円 6,073百万円
有利子負債 --- --- ---
繰越損益 80,348百万円 46,984百万円 22,781百万円
株主資本比率 76.70% 74.10% 65.10%
含み損益 --- --- ---
ROA 35.88% 37.78% 32.54%
ROE 47.40% 53.42% 48.43%
総資産経常利益率 58.83% 63.85% 62.84%

まず、ROAというのは、Return On Asset の略で、利益/資産です。ここでの定義は、当期利益/総資産です。前回「総資産は裏を返せばそれだけ資金調達をしている」ということを説明しましたが、全ての資金調達を「元手」として考えたときの「利回り」を表現していると言っていいでしょう。利回りですから、相場観があります。Yahoo!のROAは高いと言えます。

ROEという数字もあります。これは Return On Equity の略で、利益/株主資本です。ここでの定義は、「当期利益/株主資本」です。当期利益というと、実は借金の金利などは抜いていますから、全て株主のものです。当期利益と比較するのであれば、株主から見た「元手」である株主資本と比較すると、株主目線の利回りが出ます。これも47%と高いROEを実現しています。

こうやって「利回り」で見ることで、企業を一種の金融商品としてみなすことが出来るというのが、近代の財務会計の面白いところです。さらにホンモノの金融商品として市場で取引し始めると、財務会計ではなく「金融工学」というまたみもふたもない理論が待っているのですが、それままた後ほど。

ROEで見ると、確かにYahoo!はすごく高いのですが、実はROEは二期前がピークで前期は下がっているんですね。売上も利益も上がっているのに、それ以上に株主資本が多くなってしまっている。元手を大きく増やしたほどには利益を伸ばしていないということです。利益は増やしているけども効率は落ちているということが分かります。

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【技術者のための財務会計】Yahoo!のざっくりバランスシートを見る

次はホンモノのバランスシートを見てみましょう。といって、今度もざっくりのバランスシートです。

もう一度、Yahoo!のざっくり財務諸表を見ます。

単独決算推移
前期 2期前 3期前
決算年月日 2005年3月期 2004年3月期 2003年3月期
(決算発表日) 2005年4月20日 2004年4月21日 2003年4月25日
決算月数 12か月 12か月 12か月
売上高 107,407百万円 70,308百万円 55,366百万円
営業利益 60,318百万円 40,939百万円 24,625百万円
経常利益 60,922百万円 41,104百万円 24,128百万円
当期利益 37,157百万円 24,322百万円 12,496百万円
1株当り当期利益 4,849.47円 12,629.69円 25,990.20円
調整1株当り利益 4,833.79円 12,588.85円 25,951.04円
1株当り配当 484.00円 0.00円 0.00円
配当区分
1株当り株主資本 12,804.29円 31,714.32円 65,935.39円
発行済み株式総数 7,549千株 1,886千株 471千株
総資産 126,210百万円 80,905百万円 47,837百万円
株主資本 96,830百万円 59,940百万円 31,120百万円
資本金 6,692百万円 6,399百万円 6,073百万円
有利子負債 --- --- ---
繰越損益 80,348百万円 46,984百万円 22,781百万円
株主資本比率 76.70% 74.10% 65.10%
含み損益 --- --- ---
ROA 35.88% 37.78% 32.54%
ROE 47.40% 53.42% 48.43%
総資産経常利益率 58.83% 63.85% 62.84%

総資産から繰り越し損益くらいまでが着目ポイントです。

まず、総資産を見ます。最新で1260億円ほどの資産があります。資産の内訳はここでは、あんまり気にしません。まずはそれくらいの資産があるということは裏を返せば、全く同額の「調達」を行っているということです。調達のうち、負債がどれくらいかということは書かれていませんが、株主資本は書かれています。バランスシートに直すと、次のように表されます。

資産 負債
294億
1262億 株主資本
968億

単純な引き算ですが、あのざっくり財務諸表からこういうバランスシートがイメージされます。なによりもまずは、資産の大きさを体感します。同額がバランスシートの右側で「調達」されているということが分かり、それが負債と株主資本によって調達されているということがわかります。そしてYahoo!は主に株主資本によって調達しています。

負債がこれくらい小さいということは、利子のつく借金をしているわけではなく、未払い金がこれくらいあるということでしょう。企業の全体の調達から考えれば、常に買掛金は存在します。「無借金経営」であってもバランスシート上の負債は存在します。

話は戻って、「総資産=調達総額」ということです。1260億円の資金調達を行っているということは、それ相応の金利がかかります。中には未払い金のような金利のつかない都合の良い負債もありますが、まるっと見れば、「翌年には何らかの金利をつけて払わなくちゃいけない」額です。なので、同じビジネスをするのなら、資産は小さいほうがいいのです。ハイここ大事。同じビジネスをするなら資産は小さいほうがいい。

ビジネス系の本を読んでいると「バランスシート経営」とか「バランスシートをスリムに」とか「バランスシートを圧縮」ということを見かけると思います。これは、同じビジネスをするなら資産は小さいほうがいいということです。

バブル経済までは、日本の会社というのは総資産が大きいほうがエライという雰囲気がありました。大きいことはいいことだと。たくさんの土地を持つのがエライ。「資産家」という言葉がいい言葉であるように、バランスシートが大きいほうがエライみたいな雰囲気がありました。

ところが、90年代バブルがはじけてから、どうも資産というのは単なる「元手」でしかないということが分かり、同じリターンなら少ない元手で得た奴のほうが正解だということにやっと気づきはじめたのです。まだ気づいていない経営者も多いですけどね。

補足になりますが、Yahoo!のざっくり財務諸表で、青色で塗りつぶした「繰越損益」というのがあります。Yahoo!は株主資本がやたらと多いですが、それは株券を発行して調達したのではなく、利益を繰り越してここまで株主資本を増やしたんですよということです。

ここまで株主資本の中で繰越損益のシェアが大きいと、「資本金」って実はあんまり意味がないんですよね。企業の詳細情報でよく「資本金」って出てきますが、「むかーしコレくらいの株券を発行しましたよ」ということであって、今の企業の規模を表すのにはほとんど役には立ちません。

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アニメ製作現場の過酷な状況

アニメ製作現場の過酷な労働環境
http://www.janjan.jp/culture/0602/0602249793/1.php

よく聞かれる話ではあります。

労働環境を向上したいというのも分かる。だけど、金が無いのはキャッシュが入ってこないビジネスだからです。この記事を書いている人は、年間いくらのお金をアニメそのものに落としたのでしょう。映画館で日本のアニメに対して何万円お金を落としたのでしょう。映画館で数万円以上日本のアニメにお金を落とす人は稀でしょう。

「世界に誇るジャパニメーション」と聞こえはいいですが、実際のアニメ本体売上は微々たるものです。アニメの対価の回収としては、実際には「キャラクタービジネス」であり、アニメ本編は版権を持つ人のプロモーションに過ぎません。

本当に儲けたければ版権から持つ必要があり、版権ビジネスの場合は、投資をしてから対価を回収するまでにはタイムラグがあります。「出来高制」を批判するのであれば、その裏側にある「18ヶ月売上なし」という状況を受け入れる必要があります。さらに制作後にキャラクタービジネスとして対価が改修できるかどうかは分かりません。

バンダイの社長も次のように言っています。

玩具会社の価値は人気キャラクターなどヒットコンテンツの有無で決まる。(中略)当社は年間100億円程度を通じて30を超えるテレビアニメ番組のスポンサーをしているが、そのうち3割がヒットすればいいほうで、楽なビジネスではない。

バンダイは、今のお金をあきらめながら、年間100億円を賭けに出している。「出来高制」をあきらめるということはこういう「リスク」を受け入れるということです。

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【技術者のための財務会計】自己資本比率はいくらがいいの?

バランスシートがどんなものか説明したところで、バランスシートの良し悪しを論じてみます。

一番バランスシートで着目されるのは「自己資本利率」です。自己っていうと誰目線か分からないので、「株主資本比率」ということが最近増えています。

さてこの自己資本比率、Yahoo!ファイナンスでも掲載されいてます。例えばYahoo!では、

http://quote.yahoo.co.jp/q?s=4689.t&d=t
株主資本比率
(連) 73.8%

とあります。私がお気に入りの新日鐵では、

http://quote.yahoo.co.jp/q?s=5401.t&d=t
株主資本比率
(連) 30.7%

とあります。企業によってばらばらです。そもそも自己資本比率の公式は、「株主資本/総資産」です。総資産は、調達総額とバランスしますから、「株主資本/調達総額」と見ることもできます。つまり、資金調達のうち、負債ではない資本でまかなっているのは何割かを示してくれるのが、自己資本比率です。

さて、この自己資本比率は企業ごとに結構ばらつきがあります。借金を使って資金調達するところもあれば、稼いだ利益だけで再投資をする企業もあります。前回説明したように利益は資本とみなされますから、利益の再投資は、バランスシートの右下の資金調達でまかなっているということです。

さて、この自己資本比率はどれくらいがいいんでしょう。よく「3割くらいがいい」といわれます。もちろん一概には言えませんが、この三割くらいにも根拠があります。

まず、完全に借金ばかりで資金を調達すると、ちょっと資産が目減りしただけで、債務超過になってしまいます。ある程度の資本は必要です。じゃぁ資本だけで資金調達をしていればいいかというとそうではありません。資本だけで調達するということは次の悪事を働いている可能性があります。

  • 配当に回すべきお金を借金の返済に充てている
  • 異常に株券を発行しすぎている(既存株主にとっては分け前が減る)

株主の視点から見れば、できるだけ少ない元手で大きなビジネスを展開してほしいわけですから、「つぶれない」というハードルがクリアできれば、あとは借金で経営してくれるのが一番なのです。「つぶれない」という条件がクリアされても、その努力をしていたとしたら、過剰品質としか言えません。

また、借金の利息は税金を引く前の利益から引かれますので、節税対策になります。一方の株主向けの配当は税引き後の利益から配分されますので、同じ調達するなら借金の割合は多いほうが、投資家全体への分け前は増えるというわけです。

ということで、結論としては「債務超過にはなるな」「それがクリアできたらあとは借金で調達しろ」というのがセオリーといえます。

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「脳」整理法、読みました

超整理法っぽいタイトルだけど、中身はというと哲学書のようです。それでも分かりやすいし、自分の生き方にも影響を受けました。

この本の中では自然科学に代表される主観を一切配した「世界知」と、自分の体験の中でリアリティを持っている「生活知」の二つのバランスが大事だというのが首尾一貫した主張です。

水に「ありがとう」というとホントにキレイな結晶になると信じきっている人にもオススメだし、占いなんてまるで価値が無いと思っている人にもオススメです。

人間の死にまつわる記述で面白いところをピックアップ。

死んでしまえばおしまいだというのあは、ある意味では、真実です。(中略)いずれにせよ、いったん死んでしまってこの世の因果関係の連鎖から外されてしまったものは、確かに存在しないのも同然なのです。
(中略)
しかし、だからといって、私たちの心の中で、これらの死者たちが何の位置も占めていないか、といえばもちろんそんなことはありません。死者達は確かに物質的、因果的には存在しないが、かといってその存在を忘れ去ってしまうことには、私達は割り切れないものを感じるはずです。
(中略)
お墓を作り、祖先を祀り、「過去の清算」をめぐって隣国の間で論争する。このような私達人間の行動には、すでに存在せず、因果的には何の作用も及ぼさない、つまりは科学的な立場からは無視していいはずの「死者」たちにまつわる、割り切れない思いが投影されています。

この本ではだからと言って科学万能を礼賛するわけでもなく、このような人間の「割り切ろうとしない」という仕組みを科学とうまく組み合わせて生きていくことを提案しています。

恋が成就する確率は30%から50%の間でしょうといわれてもいまひとつピンと来ません。それよりも今日のラッキーカラーは青だから、何か青いものを身につけて外出しましょうとご託宣を受けたほうが、恋愛という現場の生命の躍動(エラン・ヴィタール)に資するところ大です。

占いに対してもその効果を謳っています。未来なんて予言できるわけないというのが科学的見地ですが、だからといって何もしないよりは、占いでも見て何かいいことあるかもしれないと思って行動する方が良い。

大事なことは、行動することです。占いで、「今出かければAという幸運に出会えるよ」とアドバイスを受け、根拠の無い自信で、Aを捜し求めることがあるかもしれません。でもそこでAと出会える保証など無い。でもそこでBという別の幸運をつかむ可能性はある。本来の目的は達成できなくても得るものはあるかもしれない。ノーベル賞のほとんどが、この手の「予期しない失敗」から生まれています。大事なの実験をしていなければ失敗さえ見つけることが出来なかったということです。

このように「Aを捜し求めているとBという幸運にであい、それを掴み取る」ということを「セレンディピティ」といいます。科学的見地からは、「予測可能なこと」と「予測不可能なこと」を見もふたも無く線を引いてしまいますが、人にとっての幸運をつかむということは、「予測可能な範囲でのみ」生きることではなく、予測不可能な世界に対しても、根拠の無い自信を元に「A」という幸運を捜し求めることが大事です。もちろんAが得られる保証はありませんが、Bという別の幸運が落ちている場合にはそこにも目をかけることで、結果オーライになるはずです。

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【技術者のための財務会計】バランスシートを例えてみる

あくまで、理解の取っ掛かりのための「たとえ話」でバランスシートを説明してみます。会社だととっつきにくいので、「個人」を例にバランスシートを考えて見ます。もちろん個人は株式交換なんてしていないので、たとえ話として捕らえてください。

1.現金300万円を持っているだけの状態

まず、現金300万円を持っているだけの状態の私はこのような状態です。

資産 資本
現金300 300

300万円という現金の資産は、自分のお金=資本で調達してきたということです。資本というとイメージがわきにくいですが、「借金ではない」という言えば分かりやすいかも知れません。

2.1200万円借りてみる

次に、マンションを買うために1200万円を借りました。そうすると一時的には次のようなバランスシートになります。

資産 負債
現金1500 1200
資本
300

実際にマンションを買うときには、「一時的には」預金口座に「ドーン」とお金が振り込まれるのです。

3.マンションを買ってみる

次にマンションを買います。1350万円という中途半端な価格のマンションを買います。そうするとそのマンションは、「現金が形を変えたもの」ですから、資産として計上します。

資産 負債/資本
現金150 負債
マンション
1350 1200
資本
300

右側の調達手段は変わらずも、左側の運用形態が変わっています。マンションは現金という資産が姿を変えただけで価値は変わりませんから、左右はバランスしてます。

4.利益を上げてみる

さて普通の会社なら毎年利益を上げます。個人であってもお給料をもらって、貯金は増えるかも知れません。そういうときにはこうなります。

資産 負債/資本
現金 負債
300
マンション
1350 1200
資本
450

現金が増えた分、右側もバランスしないと行けません。自分で稼いできたお金は、決して借金ではありませんから、資本の部に利益は積み増しされます。

5.マンションの価値を再評価してみる

ある日諸処の事情でマンションを手放さなくてはならなくなりました。中古マンションですから、買った値段では売れません。売ろうとすると実売価格は900万円でした。単純に資産の部だけを、1350万の価値から900万の価値に減らしてみます。

資産 負債/資本
現金 負債
300
マンション
1350 1200
資本
450

これだと、左右がバランスしません。

6.損失を計上してみる

実は1350万から900万に資産の価値が減った段階で、それは「損失」が出たことになるのです。利益を資本に積みましたように、損失も資本から引かれます。そうなると、ちょうど1350万から900万に450万の損失ですから、ちょうど資本がゼロになるのです。資本がゼロは書きにくいので次のように書きます。

資産 負債/資本
現金 負債
300
マンション
1350 1200
資本 損失
450 -450

さてこうやって評価して、借金を返済します。そうすると、現金とマンションの価値をあわせてやっと借金が全額返済できるようになります。返済するときには左右を相殺します。そうすると、資産ゼロ、負債ゼロ、資本ゼロの見事に無一文になるのです。

今回のケースでは、資産を全部あわせると借金を返すことが出来ました。資産を全部あわせても借金を返済できない状態も容易に想像できます。例えば現金があとちょっと少なければ、借金は返済できません。このような状態を「債務超過」といいます。

「中古マンションで売ろうと思ったら900万だった」という仮定を「800万だった」としても債務超過です。このように大きな資産を持つと、その実際の価値がいくらかによって、債務超過かどうかが変わってきます。

また、資本の部に利益を足したり、損失を引いたりしたことから分かるように、P/Lで言う利益のような存在です。資本がマイナスの状態が「債務超過」といいますが、P/Lで言う赤字に近い感覚を持てばいいかと思います。もちろんP/Lの赤字は、一過性の可能性がありますが、B/Sの債務超過は、「長い積み重ねの結果」のマイナスですから、その段階で死んだとみなされるケースは多いです。

債務超過(もしくはそれに近い企業)を救う手法としては、「無理やり資本を増やす」という方法があります。その方法についてはまた別の機会に。

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【技術者のための財務会計】貸借対照表とは

貸借対照表ってのはバランスシートと呼ばれていて、B/Sと略されてたりします。

赤字黒字がはっきりしているP/Lとは違ってなかなか従業員個々人には馴染みが薄いです。

バランスシートと呼ばれるゆえんは次のような図で表現されることが多いためです。

資産 負債
資本

資産=負債+資本という数式が「成り立つ」という仕組みです。

右側の負債と資本が「資金の調達手段」をあらわし、左側が調達した資金をどんな形で運用しているかということを示します。「運用」というと金融ビジネスのような気もしますが、企業は、設備や材料に「投資」をしていると考えて「運用」という言い方をします。

こうしてみると全ての企業は「資金をどのように運用してるか」という視点で見ることができ、業種を越えて企業を比較することが可能になります。

調達手段と運用手段だからバランスするという説明も見ますが、実は個人的にはそういう説明は「なぜバランスするのか」という説明には腑に落ちていません。資産なんてどんどん変わってしまうのに大して、調達手段がそれに対して、動的に変わるとは思えないからです。

次回は、なぜバランスするのかを、例を挙げて説明してみたいと思います。

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【技術者のための財務会計】経済学と自然科学

以前に、会計は理系の学問か文系の学問かという話をしました。どっちでも習っていないのだから、苦手意識を持たずにやればいいじゃないというのが結論ではあったのですが、今回は「どっちかって言うと理系かなぁ」ということを話したいと思います。

財務会計を深めていくと経済学にぶち当たります。経済の部分集合が企業会計ですから。企業の業績も経済状況との比較なしには語れません。

それで経済学というのが極めて自然科学と近いのです。その近さというのは「みもふたもなさ」です。

自然科学においては、人間50Kgも鉄の塊50Kgも質量としては同じです。ネコを投げても鉄を投げても放物線を描きます。サルと人の遺伝子はちょこっとしか違いません。感覚的に「違う」と思っているものであっても、自然科学は「みもふたもなく」ある指標にしたがって、一列に並べて比較をし、同一視できるものはしちゃいます。

経済学も同じで、10万円の牛一頭と、10万円の時計は、「同じ価値」です。いやいや人によっては価値観は違うのだよという「生き方」は一旦置いといて、同じ価格で取引されているものは同じ価値です。経済学に従えば、人の価値だって円で表すことが可能です。みもふたもないです。どう生きていくかは置いといて、「どうあるのか」を一切の主観を排してひたすら「観測する」というアプローチはまさに自然科学です。

この「みもふたもなさ」を楽しいと捉えられれば会計や経済学も楽しいと感じることができるでしょう。

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堀江氏送金メールの真偽

ライブドアの堀江社長が、自民党の武部幹事長に送金を指示するメールを送ったとかどうだとかでもめています。

民主党が出してきたメールがこれ。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060217it15.htm?from=top

拡大イメージはリンク先にありますが、黒塗りが多い。肝心のFromとToが抜けている。なんじゃそら。

んで、今日のニュースでは自民党が同じものを入手したと。そっちは、黒塗りが少し少ない。

まず、最後の「■堀江」は「@堀江」。なぜ@を塗りつぶした?また「問題があるようだったら」というのをわざわざ消していて、あたかも強行に指示を出したかのように塗りつぶしている。

墨塗りは「情報提供者保護のため」って言っているけど、全然関係の無いところを「それっぽく」見せるように塗りつぶしているようにしか見えない。

じゃぁ、このメールはウソかというと、ホントかも知れない。民主党が出してきたときは、X-Mailerが塗りつぶされていたのだけれど、自民党が出してきたのは、そこが見えていた。そして使っているメーラは「ユードラ」。イマドキユードラ使っているのって堀江社長くらいなもんで。そこだけ辺に信憑性が高い。

こっからはあくまで推測。

昔メーリングリストに出された堀江社長のメールを見ると、
http://java-house.jp/ml/archive/j-h/003435.html
自分のことは「ほりえ」とひらがな使うし、フッタは英語表記。民主党の証拠メールとはかなり違う。

また、「@堀江」って何だ?「堀江@ライブドア」ならわかるけど。素人がメール始めたみたい。

メールのマナーにうるさい堀江社長が「至急」なんて、「ダメSubjectの代表」みたいなことをするとも思えない。僕でも、「至急」ってタイトルは怒る。至急かどうかは、内容を完結に述べたSubjectであれば受けてが十分判断できるはず。

とまぁ、メールの書き方がまったく「なってない」ので、こんなヘボイことするかなぁという点で、信憑性が低いです。

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【技術者のための財務会計】営業利益V.S.経常利益

営業利益と経常利益は両方語られることが多いです。

経常利益は経営者が気にすることが多いようです。これは借金の金利が払いきれたかどうかが気になるからでしょうか。

ところが投資家から見れば、借金で資金を調達するか株式で調達するかは一つの選択肢でしかありません。株式も配当を渡すことを考えれば、借金のようなものです。2005年の株主が要求する利回りは5%~10%です。借金よりも高い利回りを求められています。お金を貸すよりもリスクが高いですから、これくらいの利回りを要求しないとワリがあわないのです。

借金の金利だけに着目して、株主への還元を無視するというのは非常に中途半端な指標で、経常利益というのは扱いにくい指標です。

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廃油で走るぜ!俺の魂!

染谷商店
http://www.vdf.co.jp/

ここのVDF(ベジタブル・ディーゼル・フューエル)というのが、廃油から作られた燃料。

廃食油から作られた環境に優しい新ディーゼル燃料です。廃食油は立派な資源です。VDFは、原料である廃食油にメタノールと触媒を加えて製造します。日本人すべてが廃食油を捨てないでVDFに精製すれば、約40万台のディーゼル車を走らせることができます。

すげぇ。普通のディーゼル車を走らせることが出来るそうな。じゃぁこれでいいじゃん。電気自動車も水素エンジンも要らんやん。

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【技術者のための財務会計】Yahoo!のざっくり財務諸表をみる

Yahoo!ファイナンスには、ざっくり財務諸表があります。実はこれで大半の情報は分かります。

サンプルとしてYahoo!の単独決算を見てみます。http://profile.yahoo.co.jp/biz/independent/4689.html

単独決算推移
前期 2期前 3期前
決算年月日 2005年3月期 2004年3月期 2003年3月期
(決算発表日) 2005年4月20日 2004年4月21日 2003年4月25日
決算月数 12か月 12か月 12か月
売上高 107,407百万円 70,308百万円 55,366百万円
営業利益 60,318百万円 40,939百万円 24,625百万円
経常利益 60,922百万円 41,104百万円 24,128百万円
当期利益 37,157百万円 24,322百万円 12,496百万円
1株当り当期利益 4,849.47円 12,629.69円 25,990.20円
調整1株当り利益 4,833.79円 12,588.85円 25,951.04円
1株当り配当 484.00円 0.00円 0.00円
配当区分
1株当り株主資本 12,804.29円 31,714.32円 65,935.39円
発行済み株式総数 7,549千株 1,886千株 471千株
総資産 126,210百万円 80,905百万円 47,837百万円
株主資本 96,830百万円 59,940百万円 31,120百万円
資本金 6,692百万円 6,399百万円 6,073百万円
有利子負債 --- --- ---
繰越損益 80,348百万円 46,984百万円 22,781百万円
株主資本比率 76.70% 74.10% 65.10%
含み損益 --- --- ---
ROA 35.88% 37.78% 32.54%
ROE 47.40% 53.42% 48.43%
総資産経常利益率 58.83% 63.85% 62.84%

まず、ほとんどの財務諸表は経年比較できるようになっています。したがって「新しいのはどっちか?」をしっかり確認しましょう。そうしないと、その企業が良くなっているのか悪くなっているのか真逆の評価をしてしまいます。左右に並んでいる場合も、財務諸表によってはどっちが新しいのかはまちまちです。「しっかり」確認しましょう。

経年比較で見ると、Yahoo!は売上も利益も伸びているということが分かります。

まず売上を見ます。さていくらでしょう。ケタが分かりにくいですね。2005.3期の売上は1070億円です。3桁カンマ区切りは、千→百万→10億→1兆の順に増えます。そいで、大企業の売上は1兆円前後のケタであるというのが相場です(業態にもよりますが)。

売上に計上できるのは、本業で得たお金です。預金の金利や土地の売買で得たお金は基本的には売上には入りません。「基本的には」といったのは、土地の売買が本業であれば、それは売上には入るからです。

売上の次に営業利益があります。600億円です。営業利益は次のような式で表されます。

営業利益=売上高-売上原価-販売費および一般管理費

売上原価というのは、その商品を作るのにかかったコストです。販売費および一般管理費は、営業マンのコストや本社スタッフのコストが入ります。売上原価だけを引いた利益を「売上総利益」と呼びますが、何が原価で何か一般管理費かという切り分けはさじ加減一つなので、財務会計では売上総利益はあまり登場せずに、営業利益を使用します。

営業利益の下には、経常利益という利益があります。これも600億円と営業利益と代わり映えがしない数字です。経常利益は次の式で表されます。

経常利益=営業利益-営業外費用+営業外収益

「営業外」と広く行っていますが、ほとんどの場合は、預金の受け取り利息や支払い利息だと思っていいでしょう。この手の利息は「経常的に」発生するので、経常利益に考慮されるわけです。さてこの経常利益、アメリカではその概念がありません。実はあまり意味が無いからです。経常利益の無意味さについては別に説明します。

経常利益の下には当期利益とかかれています。371億円です。これは当期純利益の略です。当期純利益と経常利益の関係は次のようになっています。

当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失-税金

まさに純利益です。一つ引いていないものがあるとすれば「配当」です。当期純利益に対してどれくらい配当を割り当てましょうというのを株主総会で決議を取ります。

特別利益というのは、「その年限りの」イベントに対する利益です。例えば昔安くで買った土地を安くで売ったりしたときなどです。逆に割高で買った土地を売ったときの損失もあるかも知れません。

一番メジャーな特別損失は借金の返済でしょう。その年限りと言いながら毎年行ってたりはします。

さてここまではそれぞれの利益の定義をしました。どの利益を見ればいいのでしょう?それは次回に回します。

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まちづくり三法に消費者は反対

日経2/20朝刊13面(予定・サーベイ)より、まちづくり三法に関する消費者アンケートの結果。まず「まちづくり三法」というのは、駅前の商店街を保護するために、郊外の大規模店舗の出店を規制するという法案のことです。

  • 政府が法律を改正して大型店の多い郊外出店を規制することをどう思いますか?
    • 反対・どちらかといえば反対あわせて65%
  • 街の中心地にある商店街をどの程度利用していますか?
    • 利用してない・ほとんど利用していないあわせて63%
  • 利用していない理由
    • 車で行くには不便(66%)
    • 郊外店の方が便利(57%)
    • 価格面で魅力が無い(50%)
    • 品揃えが充実していない(45%)

「高くて」「品揃えが悪い」のであれはそりゃ魅力は無い。規制によって、消費者の「より良いものをより安く」選ぶ権利が奪われるのであれば、日本の小売りはダイエー以前に逆戻りです。ひどい法案です。

まちづくり三法の管轄省庁は経済産業省です。大臣は二階俊博氏です。選挙区は和歌山第三区です。

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【技術者のための財務会計】財務諸表はどこで見れる?

財務会計に置けるツールはずばり「財務諸表」です。財務諸表の作り方はこの連載では触れません。あくまで「読める」「読んで理解できる」「読んで怒ったり感心したりできる」というところを目標としています。

さて、財務諸表とは次の三点セットを指します。

  1. 貸借対照表(バランスシート、B/S)
  2. 損益計算書(P/L)
  3. キャッシュフロー計算書(C/F)

最後のキャッシュフロー計算書は最近注目を浴びましたが、原理的には1と2から導出が可能ですので、補足として捕らえればいいです。ただし、B/SとP/Lが「読める」という時には、頭の中で「ざっくりキャッシュフロー計算書」を作れることは求められます。

P/Lはプロフィットアンドロスの略なのですが、バランスシートと違って、フルネームで呼ばれることはあまり無いです。「ピーエル」としか呼ばれないです。

さてこれらの財務諸表は上場企業であればインターネット上で見放題です。教材には困りません。

要点だけを抑えたければ、Yahoo!ファイナンスに掲載されています。例えばヤフーの財務情報を見てみましょう。ヤフーファイナンスから、「ヤフー」で検索すると、

現在の日時:2月 19日 18:10 -- 日本の証券市場はお休みです。

コード市場名称取引値前日比出来高関連情報備考
4689 東証1部 ヤフー(株) 2/17 134,000 -1,000 -0.74% 180,964 チャートニュース企業情報
掲示板レポート
-
9887 東証1部 (株)松屋フーズ 2/17 2,400 -85 -3.42% 38,700 チャートニュース企業情報
株主優待掲示板レポート
-

こんな風に一覧が出てきます。このうち「企業情報」をクリックします。そうすると、左の方に

基本情報
会社概要
決算情報
実績
  単独決算推移
  連結決算推移
  中間決算

と出てきます。例えば、単独決算推移をクリックしてみましょう。

単独決算推移
  前期 2期前 3期前
決算年月日
(決算発表日)
決算月数
2005年3月期
2005年4月20日
12か月
2004年3月期
2004年4月21日
12か月
2003年3月期
2003年4月25日
12か月
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
107,407百万円
60,318百万円
60,922百万円
37,157百万円
70,308百万円
40,939百万円
41,104百万円
24,322百万円
55,366百万円
24,625百万円
24,128百万円
12,496百万円
1株当り当期利益
調整1株当り利益
1株当り配当
配当区分
1株当り株主資本
4,849.47円
4,833.79円
484.00円
 
12,804.29円
12,629.69円
12,588.85円
0.00円
 
31,714.32円
25,990.20円
25,951.04円
0.00円
 
65,935.39円
発行済み株式総数
総資産
株主資本
資本金
有利子負債
繰越損益
株主資本比率
含み損益
ROA
ROE
総資産経常利益率
7,549千株
126,210百万円
96,830百万円
6,692百万円
---
80,348百万円
76.7%
---
35.88%
47.40%
58.83%
1,886千株
80,905百万円
59,940百万円
6,399百万円
---
46,984百万円
74.1%
---
37.78%
53.42%
63.85%
471千株
47,837百万円
31,120百万円
6,073百万円
---
22,781百万円
65.1%
---
32.54%
48.43%
62.84

とこんな風に、3期ほどの推移を見せてくれます。売上と利益に関する情報が、P/Lのサマリー情報であり、資産と資本に関する情報が、B/Sのサマリーです。

実はコレくらいのサマリー情報で、企業の勝敗から特徴は見つけられるのです。比較してみると「業種ごとに似ている」だとか「業種が同じなのにその企業の特徴で傾向が違う」ということが分かります。

こうやって傾向をつかんだら、あとは疑問点にしたがって、ホンモノの財務諸表を観てみましょう。ホンモノの財務諸表は多くの場合、企業自社ホームページに掲載されています。

トップページには「IR情報」だとか「投資家の皆様へ」というリンクがあるはずですので、そこからたどります。

例えばYahooにもちゃんとあります。

会社概要 - 投資家情報 - 社会的責任 - 広告掲載について - スタッフ募集 - Yahoo!カフェ - Yahoo! Internet Guide
利用規約 - セキュリティーの考え方 - プライバシーの考え方 - 免責事項


この「投資家情報」というところをクリックすると、IR情報が出てきます。IRというのは「Investor Relations」の略で、「投資家向け」と私は変換しています。

次に「財務情報」をクリックすると、こんな一覧になります。

いろいろありますが、一番使うのが「決算短信」です。これに一通り書かれています。

http://ir.yahoo.co.jp/jp/bizres/tansin/

短信といってもちっとも短くなく、情報としてはこれでおなか一杯です。例えば

http://ir.yahoo.co.jp/jp/bizres/tansin/20050420/20050420-tansin-jp-tan.pdf

をダウンロードしてみましょう。一ページ目にYahoo!ファイナンスにある情報と似たようなものがあり、二枚目から財務諸表が続きます。普通はB/S、P/Lの順に掲載されるようです。

次回は、このYahoo!ファイナンスの「ざっくり財務諸表」をざっくり説明してみたいと思います。

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【技術者のための財務会計】財務会計とは?

財務会計とは、会計のうちの「財務」に関わる部分です。「財務」会計に対するものとしては、管理会計があります。管理会計は、主に社内をマネジメントするためのツールとして使われるのに対し、財務会計は対外的な用途に使われます。

大きく分けると以下の人たちに見てもらうためのツールが財務会計です。

  1. 税務署
  2. 投資家(株主や債権者)
  3. 取引先

つまり外向きの会計が財務会計です。ですので、多くの企業は財務諸表を外部に公開しています。素人目に見て「こんなことまで公開してくれていいの?」って言うくらい、公開してくれています。競合の財務諸表なんかも見れちゃうのです。

また財務会計はスポーツで言えばチームのシーズンの成績を表します。

管理会計は、スポーツで言えば個々の選手の体調をあらわすようなものです。ですので、まずは、財務会計で「勝ち負け」を判定してから、その原因を管理会計で見ていくというのが正しい姿なのではないかと考えています。

余談ですが、そうなっていない会社は多いです。まず会社の計画を立てる際に、管理会計で小さな単位から積み上げていって、その合計が会社の目標になるというような例です。別の章で「要求収益率」について説明しますが、目標というのは自分でゴール設定するのではなく、既に外から決まっていることなのです。

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【技術者のための財務会計】会計は文系?理系?

そもそも理系と文系という分類そのものが、日本の受験制度と大学の慣習でしかなく、人を分割するロジックではありません。

しかし自分はどちらかであるという意識は日本人であればもっているかと思います。それは単なる「苦手意識の多いほうの科目」であるかも知れません。

そしてビジネススクールで会計の勉強を始めると、こんな会話があります。

  • 私は文系だから会計は苦手で
  • 私は理系だから会計は苦手で
  • 私は技術系だから会計は苦手で
  • 私は営業系だから会計は苦手で

と、「私は○○だから会計は苦手」の○○には何を入れてもアリの状態なのです。

当然ですが大学受験の間に会計を習う人は稀です。そのため、会計を「自分のジャンルではない」と思い込んでいる人が多いのです。

そして分からないまま大人になりおじさんになり、会計知識を生かす人を見ては「マネーゲーム」と揶揄し、「汗水たらして働くことが大事」と目をそらし続ける人も居るのではないでしょうか。

私はむやみやたらに汗水たらして働く人ばかりではこの世は成り立っていかないと思います。「何を」作るか、「何人で」作るか、「どれくらい」作るかということがものすごく重要になって来るからです。

この「どこにどれくらいの汗水をたらすか」ということを「資本の配分」と考えると、財務会計はものすごく重要な知識となってきます。無駄な汗を流さないために、財務会計を勉強しましょう。

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フラッシュありなし2枚どり

富士写真フィルムからの新製品

FinePix V10
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj1461.html

面白いのは、一回のシャッターでフラッシュありなしの二パターンが取れるということ。

個人的には、写真は出来ればフラッシュなしのほうが自然です。部屋の中であってもフラッシュはないほうがいい。フラッシュを光らせるとどうしても顔が白くなってしまうし、顔の凹凸がなくなる。

ということで、極力フラッシュはOFFにしているのですが、やっぱり明るさが足りないときには、フラッシュをONにしないといけない。カメラにもよるかも知れませんが、フラッシュのON/OFFってメニューの操作なので、切り替えが面倒なのです。シャッターボタンが二つあって、片方がフラッシュありで片方がフラッシュなしという仕組みでもほしいくらい。

でもそんな変なことをしなくても、FinePix V10は両方撮ってくれるので、あとでいいほうを残せばいい。すばらしい。

デジカメ市場は収束していますが、まだまだ消費者ニーズが満たせていないということをメーカーが発見できているというのが救いです。

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増税か公共事業か

財務省が増税と歳出削減に対してドライブをかけてきています。財務省自身は増税の方向でしょうけど、増税のための布石として「こいつらがこれだけ無駄使いしてるんだよぉ」ってことをアピールしに来ています。実際に増税をしたときの矛先をかわすこともできます。そして今回のターゲットは国土交通省主体の公共事業です。

日経2/17朝刊1面より。

  • 03年度の日本の公共事業費は16兆8000億円
  • これはGDP比で3.4%
  • フランスは1.3%
  • アメリカは1.1%
  • ドイツは0.9%
  • イギリスは0.5%

つまり国の経済規模の中で公共事業が占める割合は日本はずば抜けて多い。先進国平均の3倍です。財務省の案では、当然のことながら1%程度に抑えましょうという案が出ています。

これに対する国土交通省の反論。

  • 今まで作った公共事業の設備の維持費が今後増加する
  • 日本は災害が多いので他国との比較はなじまない

反論になってないですね。今までの無駄設備も維持せよというのはひどい。「なじまない」は思考停止ワードです。じゃぁなじむように、消費税を「公共事業税」とでも名前を変えて税率アップすればそれこそ「なじむ」のか?

ということで、今回は財務省の分析結果を全面的に支持します。何かの総量を「比率」であらわすと、それが異常値かどうかがよくわかるという点で、「公共事業/GDP」はすばらしい分析だと思います。財務省スタッフに拍手。

いっそ次の選挙もこの二択にすればいい。「公共事業か増税か」。経済規模から考えると、日本の3%が公共事業で食っていっているということであり、3人のうち2人は「要らない」という決断をするということです。

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【技術者のための財務会計】やろうかと思います

blog上で連載をやろうかと思います。タイトルは「技術者のための財務会計」。

技術者限定というわけではないのですが、財務会計を本職としていない人が入りやすくするということを主眼においています。

私個人は専門家ではありません。ビジネススクールで6回ばかし授業を受けただけです。ですが、会計知識を通じてモノの価値を測る手段としての「お金」はやはりよく出来たツールであると思っています。

逆に「お金」という言語が通じないと、モノの価値について論じることが不便になります。

とりあえず今決めていること。

  • デイリー更新します
  • コンテンツは特に決めていません
  • ダメだと思ったら後から書き直します
  • 間違いの指摘、質問はコメントにお願いします
  • 知ってることしか書きません
    • 本の写しはしません
    • そのため内容には偏りが出ます

それではスタート!

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アマゾン、取次ぎを中抜き

アマゾンが取次を経由せずに直接出版社から仕入れるようになるそうです。

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20060215AT1D1408A14022006.htmlキャッシュ

今までのアマゾンは、書店のひとつですから、通常の書店と同じように取次を介して本を仕入れていました。取次というのは、大手で言えば「日版」や「トーハン」のことです。書店の前でよく見かけるダンボールに社名が書かれています。

この取次が何をしてくれるかというと、出版社と書店をつないで、本をぐるぐる配送してくれるのです。書店の店主が特に新刊のことを知らなくても、いい感じで見繕って配本してくれたりもします。また書店で売れなかった本は一定期間の間であれば、取次ぎを介して出版社に返品が可能となっています。出版社も書店も数は多いですが、取次という大きな組織がハブとなって本の流通は成り立っています。

流通と倉庫が取次の役割なのですが、アマゾンは日本最大級の倉庫を持っており、なおかつ流通は宅配便のネットワークを使っていますから、あとは出版社と直接やり取りすれば、取次は必要ないというのが今回のニュースのポイントです。確かにアマゾンと町の本屋さんは規模が違う。

返品でちょっと話しますね。今の本の流通のほとんどは委託販売制度です。出版社は書店に本を「置かせていただいている」だけで、書店に買い取ってもらったわけではない。書店は売れなくても返品すれば懐が痛まないので、リスクは低いですが、別に全体から見てリスクがなくなったわけではなく、リスクがたらいまわしになっているだけです。そうして膨らんだ返品を見てみると、「一般の書店では30-40%」の返品率です。これが平均です。ベストセラーの本ではもっと返品率が下がるでしょうから、普通の本は半分以上返品されていることになるでしょう。

一方でアマゾンの書籍の返品率は5%前後と低い。ここまで「売り切る能力」があるのなら、別に「大量の返品のために便利だから」という理由で取次というバッファを介す必要はない。

ちなみにアマゾンがサイトで扱う商品点数は約1000万点です。Yahoo!や楽天とは違い。これらの商品を倉庫に「持ってます」。一見するとアマゾンというのはIT企業のようにも見えますが、その実態は「優れた倉庫」を持つ物流やさんです。今日のIT企業でここまで「モノを持つ」ということにカジを切った企業はなかなかありません。できるだけ何も持たずにビジネスをしようとするのが常套手段です。だからアマゾンは強い。

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家庭用燃料電池方式比較

日経2/14朝刊9面より、家庭用燃料電池がいろいろ出揃ってきたというニュース。

都市ガス LPG 灯油
販売元 東京ガス 新日石 新日石
リース価格(円) 年10万 年6万 年6万
発電効率 37% 34% 35%
長所 環境負荷が小さい 災害時に復旧しやすい 費用が安く運びやすい
短所 導管のある地域しか使えない 燃料費の変動や地域差が大きい ガスに比べ環境負荷が大きい

いずれも、オール電化の勢力に対抗するために、「仮にオール電化になってもそのエネルギーは私達が売る」という気合なのでしょう。こういう技術競争はいいことです。今の発電・送電システムでは、中央の発電所が作る電力は、各家庭の使用量と同じにする必要があります。どこかに作りおきをすることが出来ない。だからここの家庭の電力使用量のピークに合わせた発電システムが必要になる。

ところが各家庭に発電システムが分散化されると、使用量のピークによってどこかの中央がオーバーフローする心配がない。その店で家庭用燃料電池は理想です。

「電気は貯めることができない。だから貯めることの出来るエネルギー形態で、家庭まで持って置く」というのが燃料電池が目指すところだと思います。

それでも今は、燃料電池そのものが高く、発電効率も低い。廃熱はお湯にするらしいけど、それって今の電力会社が夜間電力をお湯というエネルギーにしておきなさいって言っているのとあまり変わらない。

確かにお湯で貯めておくというのは実用的ではあるのですが、お湯はお湯にしか使えない。そこから電気には戻せない。私達は「電気として取り出せるエネルギー」を貯めたいのです。

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みずほ銀行がハイリスク商品と国債をセット勧誘

日経2/14朝刊17面「一目均衡」より。

前田昌孝氏のコラム。

  • みずほ銀行が販売中の「みずほBNYバンクローン」
  • この金融商品は、金融のプロが米ドル建ての安全資産に比べて2.4%上乗せ金利をもらわなきゃいけないレベルのリスク商品
  • この商品を利ざやを引いて、みずほは1%程度の上乗せで販売している
  • リスクの割りに利回りが低いのに加え、あろうことかこのリスク商品をみずほは国債を購入した数万人の顧客にダイレクトメールで販売用資料を送付した
  • さらに目論見書では運用者の能力に関して「他の運用者に対して優位に立ち得る運用体制を構築していると考えられる」とお墨つきを与えている

ハイリスク商品を購入している人に「そんなあなたにはこの商品もオススメ」というのならきめの細かいレコメンドといえますが、国債を購入している顧客にハイリスク商品を勧めるのは乱暴です。しかも金利からも目論見書からもハイリスクの香りをさせていない。

リスクが存在することは悪くなくて、リスクとリターンを計測できるだけの情報と、その情報の受け取り手の能力があればいいことです。が、みずほがやったことは「あえてリスクを計測することから回避している人」に対してリスク商品を売りつけています。売れたとしても卑怯だと思います。

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村上ファンドウォッチャー

仕事がらみで、金融庁のEDINETを勝手検索するWebアプリを作りました。

金融庁のサイトを勝手検索

ごちゃごちゃ言わずに、村上ファンドの大量保有報告書のUPDATE状況をよこしなさい、はい分かりました、というのがコレです。

http://www.tatamilab.jp/~yuugo/cgi/edinet/edisub.cgi?code=T00092

EDINETでテキスト化されているのはここまでで、どの銘柄を保有しているのかは、スキャンされたPDFを見なくちゃいけません。それでも、大量保有報告書の一次情報源はここなので、村上ファンドの動きをチェックしたい人はここを見て、動きがあれば本体のEDINETにジャンプすればいいでしょう。EDINET本体はメチャクチャ使いにくいのですが、多少ダイレクトにジャンプできるアンカーもつけています(それでもツーアクション必要)。

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フィルム業界縮小

nikkei2/12朝刊7面、27面より。フィルム業界が縮小しているという記事。

まずはフジ写真フィルム社長古森重隆氏インタビューより。

  • 現在のフジ写真フィルムの状況
    • 1月末にグループで5000人の削減を柱とした写真フィルム・カメラ事業の構造改革を打ち出している
    • 国内の写真フィルムでは7割の圧倒的シェアを持っている
    • 既に連結売上高に占める写真フィルム関連事業の比率は約6%
  • 古森氏インタビュー
    • 二年前くらい前から写真関連事業の抜本改革が必要だと考えていた
    • カラーフィルム市場の減少率は年率1割と見ていた
    • 実際には市場現象は年率2割のペースで進行した
    • 改革の時期をこれ以上遅らせるわけには行かない
    • アナログ写真文化を守る方針に揺るぎはない

次に29面(ファミリー経済)NEWSな数字より、フィルム業界の話

  • 企業の動向
    • コニカミノルタホールディングスはカメラ・フィルム事業から撤退
    • フジ写真フィルムも写真フィルム・カメラ事業のリストラ策を発表
  • フィルム写真市場の動向
    • 昨年のフィルムカメラ出荷額は247億円
      • 台数は538万台
      • 2000年に比べて9割減少
    • 写真フィルムの出荷額は2004年に2568億円
      • 2000年に比べて3割減少

247億円というと、一中小企業の売上高のレベルです。シェア100%とってもワリが合いません。5年で1割に減ってしまったという点で、企業も体制を維持することは出来ないでしょう。また、フィルムカメラのユーザはまだまだ居るものかとも思いましたが、フィルムの消費量の減少も激しさを見る限り、ユーザの減少も激しいようです。

当然その裏では、デジカメが拡大しています。2002年の段階で出荷台数がフィルムカメラを上回りました。昨年の出荷額は2000年の約3.5倍に市場が膨らんでいます。

じゃぁ今からデジカメにシフトすれば安泰かというとそうでもなさそうです。「国内市場に限れば2004年が天井だった(CIPA)」とのことで、既に飽和しているようです。理由はカメラつきの携帯です。

私も今のケータイのカメラがそこそこ使えるので、デジカメの使用頻度がすっかり減りました。ケータイカメラのデジカメに対する優位性は次のところにあると思います。

  • 小さい
  • 常に持ち歩いている
  • シャッターのレスポンスがいい(これはたまたまパンフォーカスだから)
  • (デジカメのよくあるUIとは違い)撮影直後はずっと再生してくれている
  • (デジカメのよくあるUIとは違い)保存ボタンを押さない限り保存しない
  • 撮影後に直接Webの日記(mixi)に掲載できる

特に最後の、インターネットとの連携はケータイならではです。これをやり始めてから、カメラをPCという「中間機器」に接続するのがだいぶあほらしく見えます。私は写真をPCに見せたいのではなく、誰かに見せたいのです。カメラというのは通信端末の入力インターフェイスの一つとして見ることも出来るのです。

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マクドナルド店舗閉鎖6割増

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20060210AT1D1004410022006.htmlより
キャッシュ

  • 不採算店舗閉鎖
    • 閉鎖数は75店
    • これは前年度60%増
  • 国内店舗情報
    • フランチャイズを含めて3800店
    • うち200店が不採算
  • 投資情報
    • 新規出店は100店(4年ぶり)
    • 改装は400店
    • 設備投資は220億円

これをどう見るか。

単純に閉鎖が増えているというのは悪い感じもしますが、閉鎖店舗は全店舗のうちの2%です。これくらいは毎年やっているのが健全かも知れません。

また不採算店舗の数そのものも5%です。これくらいは誤差とみていいでしょう。この5%を0%の精度にしようとすると、採算可能な店まで出店をためらう可能性があります。これでいい。

あと気になるのは、改装の数。400店というと全店舗の11%です。単純計算だと、10年に一度の改装という割合です。出店と閉店で事実上のリニュアルが行われていることを考慮すると、事実上の改装は500店。それでも割合は13%です。長期間改装していない店舗の数は多そうです。

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三菱電とルネサス、情報システムを刷新・汎用機全廃へ

http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?i=2006020808818aa
キャッシュ

三菱電とルネサスが汎用機を全廃します。

理由は二つ

  • 汎用機が扱える技術者が退職する
  • コストを削減する

定年間近の技術者ばかりが集まっているから高いんじゃないのかという気もしますが、それを差し引いても、メーンフレームは高くつくでしょう。

そもそもメーンフレームで構築されたときの、ワークフローの前提は、

  • 専用端末
  • 参照は帳票
  • 更新は運用者がバッチを流す

という流れでした。それが今では、どんどんバッチの存在が減り、専用端末ではなくブラウザでほとんどのことを済ませるようになって来ました。メーンフレームがコレまでどおりの役割を果たせたとしても、さらにアドオンしてWebサーバとのインターフェイスを構築しなくちゃいけない。そりゃ面倒だわと。

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営業マンは断ることを覚えなさい

「営業マンは断ることを覚えなさい」を読みました。

後半は普通のマーケティング本ですが、前半に「断ること」にまつわる心構えを説いています。

  • 断ることができるというのは他にも当てがあるということ
  • お客様は「売れている営業マン」から買いたい
  • 営業マンはその分野の専門家であることを期待されている
  • 断ることは専門家として判断できているということ

実際にお客様に比べれば専門家なのですから、お客様への反論は専門家としてのアドバイスとして十分成り立ちます。「お客様の言うことが正しい」ということは必ずしも当てはまりません。

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主要メーカーのBRICs販売台数

日経2/9朝刊一面に、BRICsネタがありました。日産がBRICsで出遅れているので、1000億円を投資して、戦略車を投入するというニュース。

その中で主要メーカーのBRICs販売台数がありました。

主要メーカーのBRICs販売台数
(2005年、単位万台)
中国 インド ロシア ブラジル 合計
トヨタ 18.3 4.1 6.4 6.1 34.9
日産 18.2 - 4.6 0.8 23.6
ホンダ 25.7 4.0 0.9 5.7 36.3
スズキ 14.5 51.7 1.0 - 67.2

スズキがダントツです。やれ日本ではダイハツに追いつかれそうだとかは言われていますが、トヨタなんかは現在は北米での利益で持っていますし、将来を考えると、北米でも国内でもなく、BRICs市場を抑えておかなくてはなりません。

個人的には中国は有望ですが、当局にそれなりにコントロールされながらの成長になりそうなので、そうやすやすと外国メーカー(この場合日本メーカー)に商売をさせてくれるとも思えません。一方のインドは自由経済という点では、中国よりも有望視しています。

あくまで私のブランドイメージですが、インド製の金融ソフトウェアには高いブランドイメージを持っていますが、中国製の金融ソフトウェアがあったとしても、導入には二の足を踏みます。同じ新興国でもこのブランドの差は後に効いて来るのではないかと思います。

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株式分割は悪くない

日経2/7朝刊「一目均衡」(牧野洋)より、株式分割のあるべき姿についての記事。

ライブドアが激しい株式分割を利用して株高にし、それをてこに買収を繰り返してきましたが、それについては「行き過ぎた規制緩和が招いた」との批判が出ました。

一方でアメリカはどうなのか。

  • マイクロソフトを例にとると
    • 1986年の株式公開
    • 株価が100ドルを超えると自動的に分割をするという自社ルール
    • その結果、公開時の1株は今は288株に増えた
    • 時価総額では一位になったこともあるが、株価は100ドル以下で安定している
  • アメリカ一般では
    • このような株式分割は一般的
    • 最低投資額の平均は現在37ドル(4000円台)
    • 株価水準は企業によって大差ない
  • 日本では
    • 最低投資額の平均は55万円(アメリカの100倍超)
    • 最低投資額が最大なのは700万円

と、市場全体で見れば、ちーとも流動化していないというわけです。個人投資家を呼び込んでも、100万単位でしかかえないものばかり、そこへ数百円で買えるライブドアがあれば、そっちに流れるのは当然。

ライブドアに人気が出たのは、ほかの銘柄に流動性という点での魅力があまりになかったからです。その点では売買単位の大きな銘柄は、ライブドアに援護射撃を送っていたことになります。深く反省していただきたい。そして買ってほしくないのなら、上場しないでいただきたい。

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2010年松下時価総額10兆円

日経2/8朝刊11面(企業総合)より、松下電器中村邦夫社長インタビュー。

2010年には連結売上高営業利益率10%、連結売上高10兆円、時価総額10兆円(現在6兆円あまり)を目指している。現在進めている将来への投資と株主還元をきちんと実行すれば、企業価値を時価総額にして10兆円に高めるのは可能だと思う。

えらい強気ですが、社長の言うとおりになれば、今松下の株を持っていれば、4年後には7割増になっているというわけです。

ざっくり計算してみると、6兆円が4年後に10兆円になるには、年率で14%の複利で成長する必要があります。荒唐無稽な数字ではないです。景気の波も受けるでしょうが、今の松下なら出来そうな気がします。

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まちづくり三法の効果は疑問2

男前を殺せばブサイクがモテる?
まちづくり三法の効果は疑問

とこのブログで書いていますが、また日経2/7朝刊に批判記事がありましたので、紹介します。

2/7朝刊3面(総合)より。

だが、法改正は既存の商店街保護につながるとの声が多い。法改正後は都市計画区域内で大型店が立地できる地域の面積は、87%から3.4%に急減する計算となる。

これだけ出店地域を減らせば、「市街地を活性化」ではなく、「無差別に不活性化」しただけに過ぎません。

伊藤元重教授の話。

商業は人々の生活に追いついてくるもので、商業規制で街中に人を戻すという発想は本末転倒だ。工場跡地の利用制限も、製造業が縮小する現代の産業構造の変化に合わぬ規制だ。

郊外に住む多くの人の生活はかえって不便になる。一方、床面積一万平方メートル超の大型店のみを規制する改正案では、小粒の店舗が郊外に乱立する懸念もある。

と、全否定です。そして正論。

現在の議員が現在の商店街を保護したい気持ちは分からないでもないですが、将来の私達の子ども達の職を与えてくれるかも知れない「未来の商業地」を今から摘み取ろうというのは、重大な犯罪です。

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会社法の法務省令、買収防衛策の開示義務づけ

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060207AT2D0602206022006.html
より(キャッシュ

5月から変わる会社法のネタ。買収防衛策を講じるのはいいのだけれど、ちゃんと株主に事前開示を義務付けさせるという話です。

買収防衛策というのは、一つ間違うと(というか多くの場合)「無差別株主いじめ」につながります。なので、株を買う人にも株を持っている人にも事前に教えてあげてね、ということです。特に一株あたりの価値を減らすような策は、既存株主に多大な迷惑がかかります。

記事にはまとめの言葉としていいこと言っています。

経営の機動性を高め企業を支援する一方で、株主への情報開示の徹底を促す。

すごくいい方向です。国が締め付けるのではなく、原則自由。だけど、利害関係者にはちゃんと「何をしようとしているか」をオープンにする。

具体的な事業報告記載が、日経朝刊にもありました。

  1. 防衛策は会社の価値を損ねず、合理的な内容
  2. 役員の保身が狙いではない

ということを事業報告に記載する必要があるということです。ライブドアがニッポン放送を買収しようとしたときには、ニッポン放送の保有資産であるポニーキャニオン株の価値をなくしてしまおうとしましたが、それは価値を損ねるので、1でアウトです。「役員の保身が狙いではない」というのは、そりゃ理屈つけてそういうだろうとは思います。

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カローラ首位(軽自動車除く)

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060206AT3L0602O06022006.html
キャッシュ

またまたカローラが新車販売の首位に立っています。

しかし毎度の事ながらこの統計は、「軽自動車除く」になるのです。軽自動車を入れるとワゴンRくらいがメチャクチャ売れている車に入ってくるでしょう。

こんなところも問題。

カローラの販売台数は9426台と前年比で3.2%減少したが、豊富な品ぞろえが寄与して首位を奪還した。

1万台いかずとも首位を取れてしまうというランキング。車種が多すぎるのでしょうか。

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スズキのインド戦略

スズキのインド戦略について、日経2/5朝刊7面(企業)より。

まずは、インドの乗用車市場のデータから

  • インドの乗用車
    • 生産台数
      • 04年が前年比30%増の117万8000台
    • 販売台数
      • 04年に100万台を突破
      • 10年には200万台を突破するという試算もある
    • 需要のほとんどは小型車
    • スズキ、現代、タタで乗用車市場の8割を占め、トップシェアはスズキ
    • 内需と生産拠点との両方で有力な拠点となりつつある

これを踏まえて、スズキの動き

  • 2006.6に海外初のディーゼルエンジン工場をインドで稼動させる
  • 2007年にも欧州の拠点であるハンガリー工場に供給→完成車へ
  • 当面の搭載車種はスイフトになる見込み
  • アジアや欧州ではディーゼルの需要が高い伸びを示している
  • 中国やインドネシアへの供給も検討する

ということで、「インド」「ディーゼル」という点が、他の自動車メーカーとは一味違います。

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米の価格決定権を市場に取り戻そう

必死でコメ先物取引に反対する全中の本音:「伝統の否定」と「非合理性の死守」 から。

私は米の先物取引には大賛成。消費者ですから米の価格決定権が市場に移行するのは大賛成。

asahi.com(キャッシュ)の報道によると、農協の全国団体は次のように反対しています。

全中は、先物を認めれば投機資金が流入して価格が乱高下し、コメの生産者と消費者双方に不利益が生じるとして反対している。

実際に投機資金が流れ込むときというのは、ものすごく需要が高まるか供給が細るかという時のことなので、今の日本の米ではしばらくはその心配はないでしょう。それどころか、今の日本の価格決定制度では、価格が固定化されているため、少しの不作で供給が停止してしまいます。

また、先物はあくまで、「直前で価格が乱高下することに対する保険」です。asahi.comでもちゃんと説明されています。

先物取引とは、将来のある時点に一定の価格で売買する契約をあらかじめ結ぶ仕組み。天候による作柄の出来不出来などで価格が変動する商品を扱う場合、損失を減らすことができる。

つまり、消費者にとっても生産者にとっても、「将来の価格」を予約することができるというだけのこと。会計をして始めて価格が提示されるすし屋から、値札のついたすし屋になりましょうということです。だから買う方は安心して買うことができる。高くなるにしてもいくらで買わなくちゃいけないかということをあらかじめ知ることができる。外食産業にとってはかなりメリットのあるルールでしょう。生産者にとっても、豊作貧乏のリスクを減らすことが出来ます。

単なる予約システムをここまで全中が嫌がるのは、その予約自体が「市場の合意のもと」で形成されるからです。これまで決定権をもっていたものが奪われるからです。そりゃ必死で抵抗します。普通の会社と同じくらい厳しい環境になりますから。

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単語帳市場

日経プラスワン17面「VIVA個電天国」より、コクヨS&Tのメモリボの記事。

メモリボそのものはいいとして、このコメント。

で、その単語帳。私のような「買うだけ」派の人も含めて、この時代でもなんと「年間600万冊」の需要があるという。一冊100円として6億円市場。根強い。

おぉ、それはすばらしい。逆にケータイとかで単語帳のサービスが出来れば受けるんじゃなかろうか。「携帯 英単語」で調べると、当然そういうサービスはありました。

http://www.k-tango.com/

ただこのサービスは月額210円の有料サービス。単語帳そのまんまくらいの機能でいいのなら、無料で提供できそうです。対価の回収は広告。

あとで設計してみよう。

と思ったらフリーでやっているところもあった。

http://www.mars.dti.ne.jp/~jiro/quiz.html

志が高いなぁ。

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格差悪くない(小泉純一郎)

2/1の衆院予算会議で、小泉首相が格差が出ることが悪いことだとは思わないといったところに、入れ食い状態です。

首相「格差悪くない」・改革批判に反論(Nikkei)キャッシュ

一応赤旗の記事も
“格差 悪いことでない” 小泉首相が当然視(赤旗)キャッシュ

私は小泉首相の意見を支持します。

ポイントは二つ

  1. ねたみイクない
  2. 結果の平等ではなく機会の平等を

平等を求める声の中には単なる「ねたみ」というノイズが含まれます。というかそればっかりです。そしてこの二点に関しては、「天は人の上に人を作らず」と言っている学問のすすめの中でも福沢諭吉がばっさり切っています。

凡そ人間に不徳の箇条多しと雖ども、その交際に害あるものは怨望より大なるはなし。(学問のすゝめ 十三編)

金欲だとか名誉欲だとかは、まだ良い方に転がる可能性があるのですが、羨望だけは他人の足を引っ張るだけで全く意味がない。

但しその同等とは有様の等しきを言うに非ず、権理通義の等しきを言うなり。(学問のすゝめ ニ編)

福沢さんも結果の平等ではなく、機会の平等のことを平等と呼んでいます。実は、冒頭の「天は人の上に人を造らず」の段落でこういっているのです。

天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり。(中略)諺に云く、天は富貴を人に与えずしてこれをその人の働きに与うるものなりと。されば前にも言える通り、人は生まれながらにして貴賎貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。

「貧人となり下人」とならないようにがんばりましょう。

参考:学問のすゝめ
http://www.slis.keio.ac.jp/~ueda/gakumon.html

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スズキウォッチ

今日からスズキホルダーになったので、スズキチェック。日経2/2朝刊15面(投資・財務2)より。

  • 2005.4-12期連結経常利益は、前年同期比7%増の894億円
  • 二輪四輪とも国内外で販売が好調
  • 円安の進行で輸出採算が好転
  • 4-12月期の
    • 売上高は12%増の1兆9528億円
    • 世界販売台数は9%増の147万6000台
      • 国内販売台数は5%増の49万3000台
      • 海外販売台数は11%増の98万2000台
        • (欧州やインドでスイフトが拡大)

そんで、ポイントは、欧州やインドってところなのです。トヨタのように北米頼みというわけではない。少品種ながらもそれぞれがちゃんとヒットしている。

まぁ、株式持っているといいところばかり目につくものです。

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東京ガスは寒いとお金を払う

日経2/2朝刊15面(投資・財務2)より、東京ガスの今期純利益が36%減になるというニュース。

  • 2006年3月期の連結純利益が540億円と36%減少する
  • 厳冬でガス需要は↑(売上高は6%増)
  • 原油高で↓
  • システム開発中止で50億円の特別損失で↓
  • 天候デリバティブで↓(61億円)

ということでトータルは純利益がマイナスになりましたと。最後の天候デリバティブというのが面白いです。天候デリバティブというのは天候の「保険」です。ガス会社の場合は、暖かいと売上が落ちると売上が落ちます。そういう「事故」のための保険として、暖かいとお金がもらえる仕組みに入っています。前期は暖かかったので、27億円の受け取りでした。

今期は寒くて売上は増えたのですが、それ以上にコストも跳ね上がって、厳冬だからといって儲かったわけではなさそうです。それなのに「厳冬は儲かるだろうから」という前提のデリバティブは踏んだりけったりです。

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市場規制強化論は危険(堺屋太一)

「ライブドア事件で規制強化の動き」・堺屋氏が警戒感
キャッシュ

ライブドアで問題になっているのは犯罪行為なのに、規制の話にすり替わるのは危険。(堺屋氏)

全くそのとおり。確かにライブドア事件の多くに証券取引が登場しますが、逮捕されたのは待ったく別の犯罪です。市場に必要なのは自由度と透明度です。ライブドアの事件の容疑は透明度の点で「うそをついていた」ということです。

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ICタグで本当に便利になる?

日経2/1朝刊35(消費)面より、ICタグネタ。さまざまな事業者のICタグの活用事例を紹介。

利点 事業者 内容 状況
待たされず エクソンモービル系セルフ式給油所 給油機にタグをかざして自動清算 稼動中
青山商事 近隣店舗も含め在庫情報が一目で 稼動中
ファミリーマート 弁当ごとにタグ。カゴごとに瞬時に決済 実験中
三越 試着室でサイズの在庫を自分で検索 実験中
情報詳しく イオン カート画面にお買い得情報表示 二月から実験
心地よく安心 神戸空港ターミナル 床にタグ。登場時間などを音声案内 二月から稼動
全日本食品 成果物の利益を追跡・開示 実験中

実験中が多く、本格稼動はまだしていません。「これからはICタグだ!」って言いはじめてからかなり時間が経っています。そのことだけで十分アウトなんじゃないでしょうか。例えばICタグの単価が高いという課題が分かってからも一向に解決の気配がない。

洋服の在庫情報なんかは、ICタグまで行かなくてもバーコードで十分です。足りないのは在庫を管理するデータベースです。インターフェイスではない。ただ、ICタグによって、在庫DBが作りやすくなるというメリットはあります。まずは、従業員が在庫を管理しやすくなるというメリットを享受してから、さらにインターフェイスを顧客に公開するかどうかを検討したほうがいいでしょう。

また、ガソリンスタンドの例では次のように書かれています。

エクソンモービル系のセルフ式ガソリンスタンドでは03年夏から、キーホルダー型ICタグ「スマートパス」を給油機にかざすだけで数十秒で清算できるようにした。

「数十秒で清算」って長すぎない?しかもその用途って思いっきり電子マネーだし。「セルフ式GSでEdyを使えるようにした」というのとどう違う?「非接触ICを使った電子決済サービス一覧」でも書いたように、既に大量の規格が乱立している中、スマートパスがなぜ勝てる?

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