【技術者のための財務会計】ざっくりEVA
EVAのの考え方を他の指標と比較して語ります。
売上1兆円言えばすごい気もしますが、赤字であれば意味が無いです。売上の拡大が意味を持ったのは、高度成長期で売上の規模がどんどん上がる割には、コストの上昇が追いつかなかったり、規模の経済で低コストで作れるという場合に限られます。
売上じゃダメなら利益はどうかと。これも営業利益が100億円だとしても、資本を10兆使っていれば、利回りは1%でしかありません。金利さえ払えません。不合格です。
「利益率」に着目する経営者も多いです。利益の総量ではなく、売上との比率を観るという点は、収益性を見る上で有効です。売上の増減をかければ利益の増減が分かります。ただし、これも売上が分母であるがゆえに、資本市場から見たときの利回りではありません。どれくらい資本が費やされているかは、利益率だけからでは分からないのです。
ただし利益率は私は結構みます。業種が同じであれば比較可能であるというのが一つ。もう一つの理由は、「売上と使用資本は割りと同じ」という経験則からです。
例として、各企業の売上高と総資産を比較してみましょう。
| 売上高 | 営業利益 | 総資産 | |
| ヤフー | 107,407百万円 | 60,318百万円 | 126,210百万円 |
| 新日鐵 | 2,147,863百万円 | 303,886百万円 | 2,819,991百万円 |
| デンソー | 1,862,055百万円 | 133,356百万円 | 2,233,844百万円 |
| 松下電器 | 4,145,654百万円 | 88,393百万円 | 4,920,540百万円 |
ポイントとしては、売上高と総資産がほぼ同じであるということ。これはたまたまそうなっているだけですが、こういう比率の企業は多いです。ですので、売上高と資産が大体一対一であるということが頭にあれば、営業利益率から税率を引いた数字が、総資産に対する利回りであるという風に「ざっくり」計算できます。
売上高を総資産で割った値を「総資産(総資本)回転率」といいます。「回転率」というのは、資産の内訳として在庫をイメージしてもらえればいいでしょう。100億の在庫が資産となっており、年間300億の売上があったとしたら、在庫は「3回転」したことになります。もちろん回転率は高いほうがいいです。
多くの企業では総資産回転率が1くらいなのですが、そうではない企業ももちろんあります。
| 売上高 | 営業利益 | 総資産 | |
| ヤマダ電機 | 1,072,677百万円 | 24,774百万円 | 346,586百万円 |
| 武田薬品工業 | 784,848百万円 | 344,435百万円 | 1,847,590百万円 |
例えばヤマダ電機は、総資産回転率は約3です。なのでものすごく効率よく売上を上げているということです。「どんどん売っている」のか「在庫をほとんど持たない」のかは分かりませんが、効率が高のは確かです。もちろんその分売上高-営業利益率は低く、まさに薄利多売をやっていると言えます。それでも総資産が小さいので、結果的にそこそこの「利回り」で稼いでいることになります。
逆に武田薬品興行は、総資産回転率が0.5を下回っています。資産の割りに売上が少なすぎます。でもその分売上高-営業利益率が高いので、資産に対する営業利益はそこそこの「利回り」で稼いでいることになります。
利益率というのは、どういう価格体系で売ることが出来るかという点で、業界ごとに全く異なりますが、資本効率から見た利回りは一種の金融商品なので、業種をまたいで比較可能です。
誰が比較をしているのかというと、投資家です。代表的な投資家というと「年金基金」が大手だったりします。
年金基金は明示的に「私達の株式の要求収益率は5%」と明言したことがあります。株主の要求収益率は税金を引いた後ですから、資産に対する利益は10%くらいは欲しい。資産と売上が同じというありがちな企業なら、営業利益率は10%は欲しいなぁということが導きだされます。
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