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コメ先物がつぶされた

コメ先物上場を農水省が不認可 農協に配慮か 朝日新聞
コメの先物取引、復活は見送り…農水省が不認可の方針 読売新聞
コメの先物、上場は認めない=農水相 朝日新聞
農水省、コメ先物アンケート結果公表日本経済新聞

ほか、日経3/29,30朝刊より。

コメの先物市場の案がボツになりました。私は怒っています。

農水省は上場を認めない理由を、「コメの生産調整に支障が生じる」(総合食料局)と説明する。減反に協力する生産者は、豊作によってコメ価格が下落した場合、政府によって一定水準まで収入を補ってもらえる。コメ先物取引を認め、価格変動による損失を抱えるリスクが軽減されれば、「生産調整に参加する利点が無くなり、協力しない農家が増える」(同)という判断だ。 (asahi.com)

要は、「仕組み」による価格の安定化が行われれば、「ばらまき」による価格の安定化が形骸化するので、権力が奪われるということなのでしょう。

ちなみにコメ先物が廃止されたのは、戦時(1939)の配給制がきっかけです。今は戦時ではない。だけど配給制で握った権力は離したくはないということでしょう。

全国農業協同組合中央会のコメントを見てみましょう。

投機的な価格変動が起き、生産現場に混乱をもたらす。

じゃぁ今は価格が安定しているのかというとそうではない。流通現場には混乱がおきている。そして消費者は高止まりしたコメを食わされている。生産者視点からしかモノをいっていない。

他にも酷い全中のコメント。

丹精込めて作ったコメの値段を投資家に支配されるのはいかがなものか(山田俊男専務理事)

コメだけじゃない。どんなプロダクトだって丹精込めて作られている。そしてその価値を決めているのは市場です。作った本人が価値を決めるんじゃぁない。取引があって初めて価値が生まれるんです。

農協が生産者サイドしか見ていないのはいいとして(他人の権利を最小化して自分の権利を最大化しているだけだから)、農水省までもが生産者しか見ていないのは酷い。農水省がコメ先物のアンケートをとったのですが、それは生産者に対してのみ。彼らには「取引」という概念がないのか?

一方で直接の被害者となっている、卸業界はどうか。

卸業界には、2003年産米の価格が乱高下した際に高値で買ったコメが在庫となり、経営を長期間圧迫した苦い経験がある。

コメ卸の業界団体、全米販の古橋政弘常務理事のコメント。

現物だけではリスクをヘッジ(保険つなぎ)する場がなく、安定取引が難しかった。コメ先物は現物市場を活性化させると訴えてきただけに残念。

つまり、コメは安定して流通していない。今はまずい仕組みだってことです。農協は安定「生産」したいだけ。

中川昭一は消費者から農協に利益をシフトしたといっていいでしょう。

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配当は株価に影響しないか?

3/25日経朝刊大機小機「配当政策は本当に重要か」より。

増配・復配企業が増えている。それだけではなく、自社株買いをする企業も増えている。株主配分は空前のレベルに達している。
(中略)
ファイナンスの古典的命題を冷静に振り返ってみる必要がある。企業の価値を決めるのは、事業活動への投資とそこから得られる将来の利益であり、配当政策は無関係であるという命題である。

確かに配当政策と企業価値は無関係です。生み出された利益を事業に再投資すれば、再投資した分も株主のものです。再投資せずに配当に回してもそれも株主のものです。

利益の再投資は、「配当を出してすぐに新株発行してそれを買ってもらった」とみなすこともできます。

しかしながら、今の日本の市場のトレンドは配当の方がいいとされています。個人的にも増配を買います。理由は、再投資先のショボさです。単に現金としてプールするだけの企業が残念ながら多い。私に配当をくれたなら、その配当金を何パーセントかで運用できます。ところが、企業内の単なる現金としてプールされていたのでは、利回りはゼロです。企業が常識的に稼ぎ出す利回りから見ればマイナスの運用をしていることになります。

つまりこういうメッセージなのだと思います。

期待される利回りを下回る運用をするくらいなら、資本市場にお金を返しなさい。

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新聞の特殊指定にしがみつく新聞社

公正取引委員会が、「新聞だけ価格カルテル組むのおかしくね?」ということで、見直しをちょろっとにおわすと、新聞社が一丸となってごねています。特殊指定はこちらで説明されています。
http://www.mainichi-msn.co.jp/yougo/news/20060302ddm010040078000c.html

制度制度って言っているけど、単にメーカーと販売店の契約に過ぎなくて、あたかも国の制度のように言っているのが、ミスリードです。卑怯。国民が正しく知る権利を奪っているのは新聞社。

日経3/24朝刊33面のコメントを拾って批判します。

販売店の価格競争は配達区域を混乱させ、個別宅配網を崩壊に向かわせる。

これは販売店のことを知らないだけ。販売店は、事実上の値引きをしています。最初何ヶ月は無料でいいとか、あとは山ほどノベルティを持ってきます。そこまで販売店のことまで面倒を見る気があるのなら、新聞社は販売店を連結対象にすべきでしょう。

価格競争の激化によって配達効率が悪い山間部や過疎地での購読料は上がったり、宅配が打ち切られるなどの弊害を指摘する声も出てきている。

これも現実をしらなすぎ。実際に山間部では、「この価格で配達できるか!」と配達が打ち切られています。

都市部でも山間部でも価格が一定であることで、「都市部では割高で買ってもらえない」「山間部では安すぎて配達する人が居ない」という弊害が出ています。間違った価格設定は、取引そのものを停止させます。

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公示地価15年ぶりプラス

公示地価が15年ぶりにプラスになりまりました。バブルの懸念を指摘する人も居るでしょうが、真っ向から反論します。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20060323MS3M2300523032006.htmlより

  • 今の地下は賃料による「利回り」から価格が決まっている。転売益を狙う80年バブルとは違う
  • 丸の内や六本木ではオフィス賃料が上がっており、空き室率も低下している
  • 東京圏の首都圏でさえ全体の4割の地点では下落しており、土地の価値による選別が進んでいるだけとみることが出来る
  • 全国平均では地価は依然として下落している
  • 秋田や青森の商業地は二桁の下落

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「貯蓄から投資」はシフトしたか?

資金循環統計が出ました。さぁ、日本の家計は貯蓄から投資へシフトしたのでしょうか?

  • 家計が持つ株式の残高は108兆円と約16年ぶりに100兆円を突破
  • 前年比で48%
  • リスク資産が金融資産に占める割合は12%に高まった
  • 昨年一年間の家計から株式への資金流入額はマイナス

ということで株式の保有額は増えたものの、去年一年で日経平均が4割ほど上がったのでそりゃ当然。そんで、どっちかというと、個人は株式に対しては「ヒットアンドアウェイ」の戦法で、すぐに現金に変えちゃう。それはそれで安全な方法です。

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【技術者のための財務会計】会計ってコンピュータが計算することじゃないの?

会計というと、

  • そろばんや電卓が速く叩けて
  • 腕に黒いカバーをつけている事務職

がやっているというイメージを持っている人もいます。
私もそうでした。さすがに電卓を叩き続けるのは効率的ではなく、コンピュータ化されているということも知識としては知っています。

じゃぁ人間は何をすればいいのか?

確かに会計の計算そのものは機械が計算してくれます。しかしその会計情報のインプットを決める、つまりいくらで仕入れていくらで売るかということを決めるのは人間です。その結果、ビジネスの状態がどうなのかを教えてくれるのが、会計情報です。アウトプットとなる会計情報を評価して、次のインプットを決めるのもまた人間です。

会計情報というのは飛行機で言えばコックピットの計器のようなものです。それを見ながら、会社という飛行機の高度や速度を調整していくのがパイロット=経営者の役割です。

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【技術者のための財務会計】なぜベンチマークが必要か?

当社比で「これくらいコストを削減できました」「これくらい売上が伸びました」と言っても、世間のレベルから大きく劣っていては意味がありません。

例えばコストがどんどん削減できていたとしても、デフレの流れの中ではそれは当たり前のことです。

逆に売上が拡大するにしても、インフレや市場そのものが拡大基調なのであれば、競合と比べてどれくらい拡大できているかを見る必要があります。

業種を越えたベンチマークもありえます。それが対TOPIXベンチマークです。TOPIXは日本の景気そのものと言ってもかまいません。業種によっては、日本の景気の波に乗れる業種もあれば乗れない業種もありますが、投資家にとってはそんなことはどうでもいいことです。投資家が「何もしない」でTOPIXに投資をするのに比べて、ある企業に投資をするのはどれくらい「より大きなリターンを得ることが出来たか」を示す必要があります。

投資家は、投資先の企業を選ぶことが出来ます。それなのに、ある企業に投資をするというのは、「わざわざ他の選択をあきらめてまで」投資をしているということです。この「他の選択をあきらめる」ことを「機会費用」といいます。チャンスを逃すコストです。ですから、投資化にはそのチャンスを逃したコストを上回るだけのリターンを返す必要があるといえます。

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【技術者のための財務会計】目標は低めの方がいい?

上場企業のほとんどは、業績の目標を掲げます。

目標に達成すれば褒められるし、未達成なら叱られます。

一つ疑問があります。なぜ目標を掲げるのかと。下手に約束なんてするから自分の首を絞めるのではないかと。

でも目標は掲げなくちゃダメなんです。それは投資家がその企業に投資すべきかどうかの数少ない判断材料になるからです。投資家が景気を見ながら企業の業績を判断することよりも、「たぶん」企業の中の人が立てた予測の方が正確でしょう。

投資家は、企業が出した目標を見て、伸びるという目標であれば、株の価値を高く見積りますし、逆であれば株の価値を低く見積ります。そして価値を見極めて、投資するかどうかを判断します。

当然、投資をしたのに、企業が目標未達成の場合には、投資家は怒ります。そんなことなら、銀行に預けてた方がマシだったよという評価にもなるかも知れません。

また素人考えを考えます。「じゃぁ最初から低めの目標だったらいいんじゃないの?」ということです。必ず目標は達成するから、叱られることはない。でもダメです。最初からはなはだしく低い目標、例えばちょっとだけの黒字ですという目標を立てたとします。そのときの投資家の反応はどうかというと、「だったらそのビジネスは止めろ」という指摘になります。同じ資本を使えばもっと他に利回りのよいビジネスが出来るんだから、最初から負けが決まっているビジネスをなぜやるんだ?という指摘です。

低い目標は承認されたとして、その後に「大きく」目標を上回ってもやっぱり投資家には叱られます。低い目標を見て、投資をあきらめた投資家もいるかも知れません。その人たちから「チャンスを奪い取った」のです。

高い目標を掲げ、有言実行するというのが、企業としての資本市場に対するあるべき姿と言えます。

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中国携帯電話メーカー別シェア

日経3/20朝刊6面(中国・アジア)より、2005年の中国携帯電話市場シェアが載ってたのでメモ。販売台数ベースです。

順位 メーカー名 シェア(%)
1 ノキア(フィンランド) 23.8
2 モトローラ(米国) 13.3
3 サムスン電子(韓国) 9.6
4 寧波波導(中国) 6.1
5 夏新電子(中国) 4.2
6 ソニーエリクソン(日本・スウェーデン) 4.1
7 レノボ・グループ(中国) 4.1
8 TCL集団(中国) 3.7
9 康佳集団(中国) 2.8
10 海爾集団(中国) 2.5
12 NEC(日本) 2.1
18 松下電器産業(日本) 1.0

最後にNECと松下がついていますが、それぞれ12と18位とランク外です。それにしても、日本勢のシェアが少ない。日本のケータイの高機能化にパワーが割かれて、海外の「そこそこ普通の携帯」にリソースが割けないのでしょうか。だとしたら大きな機会損失です。

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フジテレビ賠償請求の勝算

ライブドア株を高値で買ったとたんに、株が暴落したので、フジテレビがライブドアに賠償請求をするそうです。その勝算についての記事が日経3/18朝刊13面にありました。

証券取引法18条に基づき速やかに賠償を求める(日枝久会長)

この証券取引法18条というのがポイントです。普通の株取引はそうやすやすと自分が買った株が下がったからと言って賠償請求はできないのですが、フジテレビがライブドア株を買ったのは「相対取引」といって、市場を解さない直接の取引です。この場合は、会社資料に虚偽記載があればライブドアが賠償責任を負う立場になり、さらに19条では取得額と処分額の差額をそのまま損害額とみなすという、恐ろしくフジに有利な条文です。

有利すぎるような気はします。

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公的年金運用益最高に

公的年金を運用する、年金資金運用基金の2005年度の運用益が過去最高を更新する見通しです。(日経3/16朝刊7面より)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20060316AT3S1501K15032006.html

  • 通期で運用利回りを10%確保する可能性が高い
  • 総資産は財投債を含む時価で約100兆1300億円
  • 財投債を除く約70兆円のうち国内株式26%、国内債49%、外国株式15%、外国債10%
  • 10―12月の運用益のうち、75%を国内株式が占めた

通期で10%を確保する可能性が高いとのこと。年金のように超ディフェンシブに運用するところでそれくらいですから、個人投資家は彼らの運用を見習ったほうがいいでしょう。ちなみに年10%ずつ増やしていくと7年ほどで倍に増える計算です。

債券の割合がこれだけ多くて、それで運用益が10%ですから、株式ではかなり儲けたはずです。

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ブラジルの自動車はサトウキビで走る

日経3/16朝刊9面「人口が変える世界」より。

ブラジルのエネルギー事情について。

  • ブラジルではサトウキビを原料とするエタノールをガソリンと混合して走る自動車がある
  • この自動車の販売は全体の77%
  • この燃料はガソリンに比べて価格が約3割安い

というので一足お先にエコ自動車が走っています。

ところが、エタノールが最近高くなっているとのこと。原因はサトウキビから作られた砂糖の需要が多くなったため。

どこで砂糖の消費が多くなっているかというと、中国。中国の2005年の一人当たり年間砂糖消費量は5年前に比べて4割増加しています。

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「経営責任ない」(フジ日枝会長)

日経3/17朝刊13面より。
何も提携で生み出せなかったフジテレビの続報。

フジは多額の売却損を計上することに関しての経営責任についてのコメント。

(昨年5月に)ライブドアの第三者割当増資を引き受ける際には、十分な資産査定をした。まさか、こういうことが起こるとは思わなかった。経営責任はないと判断している。

ウソでしょう。純資産倍率からみてライブドアの株価は超割高でした。資産から見ても割高、利益から見ても割高。ライブドアの株価を形成していたのは、需給バランスのゆがみをついた資本取引です。フジは十分な資産査定はしていなかったと思います。

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【技術者のための財務会計】EVAのいいところ

久しぶりにEVA。EVAというのは、次の式で表される指標です。

EVA=税引営業利益(NOPAT)-投下資本×加重平均資本コスト

日本語に直すと、

  1. 税引き営業利益が
  2. 調達した資金に利回りをかけたものを
  3. 上回れば合格

ということです。EVAがプラスであれば合格でマイナスであれば不合格。EVAがマイナスの事業はやればやるほど、お金が減っていくというマイナス金利の預金のようなものです。

このEVAで使われる「加重平均資本コスト」は別名ハードルレートとも呼ばれます。各事業はこの利回りを越えるキャッシュを生み出しなさいよということです。ハードルレートのようにはっきりした数字があることで、プロジェクトをやるべきか否かがはっきりします。

はっきりさせておかないとこんなことが例えば起こりえます。

  • ある企業の平均営業利益率は30%
  • 新たな事業の営業利益率は20%
  • 新たな事業を起こすと、平均の営業利益率が下がるので新規事業プロジェクトはボツ

優秀な企業ほど、「超売れっ子」商品を抱えているでしょうから、平均を下回るようなものになかなか参入できません。しかしながら、「ハードルレート」がはっきりしており、資本市場から要求される利回りを上回るのであれば、投資家としては「やってくれ」てなもんです。プロジェクトをボツにしたことで「機械損失」を生み出しているとも言えます。

合否がはっきりすることで機械損失も少なく出来るというのがいいところです。

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何も提携で生み出せなかったフジテレビ

フジテレビが保有するライブドア株をUSENが取得するようです。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20060315AT2E1401N14032006.html
ほか、日経3/16朝刊1面、11面より。

  • フジは現在保有するライブドア株を全て売却する方向
  • 15日の終値でみるとフジのライブドア株は326億円の含み損
  • フジは売却で損失を確定したあと、損害賠償請求などの事後策をとる

一方のUSENはGyaOで映像配信をしているものの、決してポータルではなかったので、ある程度の相乗効果はあると思います。また、フジからそこそこの価格でライブドア株を買うことで、フジとの業務提携(番組のネット配信など)も引き出そうとしているようです。

USENは今のライブドアでも引き取ってそれを生かそうとしている。ところがフジテレビはライブドアと資本提携したにも関わらず、その大きな資産を何も生かせずに、損失確定をしてしまった。

フジは損害賠償請求を考えているようですが、株式会社としてはお門違い。株式会社が別の企業の株式を持つということは、資本提携することでビジネス上のうまみが出ると判断した時に限られます。ビジネス上のうまみを一切追求することなく、単なる売買の価値でしかライブドアを見ていなかったのだとしたら、マネーゲームでしかありません。マネーゲームで勝つならまだしも、大きく負けてしまった。二重にかっこ悪い。

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リスクモンスター、ソフトブレーンと業務提携

日経3/15朝刊15面(ベンチャー)より。

  • リスクモンスターがソフトブレーンと業務提携する
  • リスクモンスターは与信管理ソフトを開発している企業
    企業の格付け、与信管理をASPしている
  • ソフトブレーンの営業支援ソフトに、リスクモンスターの与信情報を繋げる
  • こうすることでやばい企業への営業を控えるなどの営業活動の効率化を図る
  • 提携により5億円以上の売上を目指す

取引先の与信管理というのは個別にやるととても大変です。どこかが一極集中でやらないと意味のある統計になりません。なので、リスクモンスターのような会社は有望ではないかと思います。

それでリスクモンスターの株価を見てみると、上場から一貫して下がっています。100万近くまで上がって、今は40万円ほど。時価総額を見ても株主資本の9倍ほどですから、超割高。業績としては伸びるかも知れませんが、株価はまだ異常値でしょう。

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ライブドアと連結対象

ライブドアの粉飾決済について、ためしにどの程度「グレーゾーン」が取り締まられたかを解説してみます。

粉飾決済のポイントは大きく二つ

  • 事実上支配下の投資事業組合の株式売買利益をライブドアの売上に組み込んだ
  • 子会社化予定の二社の預金を売上にシフト

ということです。連結対象であれば親子間の取引は売上としてはカウントされないのですが、連結対象ではない扱いで売上に含めちゃった。ただ、両方ともグレーゾーンではあると思います。だからシロだとは言いませんが、やや地検の裁量が働いている。

地検は次のようにコメントしています。3/15日経朝刊3面より。

わずか5年で、時価総額は約15倍の約7000億円、子会社数は約30を数える一大企業集団に成長した。
「通常のやり方で、こんなことができるのか」。特捜部は昨年秋の内定段階から急成長の"カラクリ"の解明に力点を置いた。
(中略)
ライフドアの経営の武器となっていた高い株価。操作はその株価が不正な経理操作で維持された実態を暴いた。検察幹部は「市場の公正さを害する違法行為が成長を支えていただけ。実態は空虚ということを明らかに出来た」と振り返り、「捜査の当初目標は達成した」と話す。

もし、検察が本気でこんなことを言っていたらアホでしょう。たぶん負け惜しみだと思います。実際にライブドアの株高を演出していたのは、こうです。

  1. 大量の株式分割をする
  2. ライブドア株が一時的に高騰する
  3. その高い株価を使って株式交換で企業買収をする
  4. 買収先はPBRが1を下回るような超割安企業
  5. 実態よりも高い株で、実態よりも安い値段の企業を買う

ということで安くでいい買い物を繰り返したというのが実態です。もちろんこれはこれで空虚なのですが、一旦グループに入れて「普通に」事業をしてもらえれば、買収にかかったコストを上回るキャッシュを稼いでくれる。株価は大体これらのイベントで説明がつきます。

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【技術者のための財務会計】連結って何だ?

証券取引における企業の業績は全て連結で語られます。これは連結でみないと正しく評価できないからです。

連結の定義というのはこうです。

出資比率が50%を超えるグループ会社の場合、連結子会社として売上高や利益、資産や負債などを全て連結財務諸表に含めなければならない。50%以下でも出資比率が40%以上の会社に、役員を送り込むなどの実質的に経営を支配している場合も、連結子会社対象となる。投資事業組合も同様のルールが適用される。

つまり、別の会社に見えるけど、大本の資本は同じで投資家から見れば、自分たちが預けたお金を使いまわせる範囲という定義が一つ。もう一つは親会社からコントロール可能な会社という意味合いがあります。

もし単体のみで業績を評価しようとすると、次のようなことが起こります。例として子会社は親会社の部品製造メーカーとします。

  • 親会社は赤字寸前
  • 子会社は黒字
  • 親会社が子会社に交渉して、子会社からの納入価格を大きく引き下げるように要求
  • 子会社は売上減少による赤字
  • 親会社はコスト削減による効果で黒字

これで親会社を黒字と評価しても全く意味がありません。実態は親会社と子会社をつなげて見るべきで、その間の取引は相殺してみるべきです。これが連結の考え方です。

親子の間で取引価格は単なる仲間内のお約束に過ぎず、市場価格ではありません。したがって、その自分たちでコントロール可能な価格をベースにした売上を絶対視してはいけないということです。

そして連結対象かどうかを曖昧なところで粉飾決算をおこなったとして起訴されているのがライブドアです。ライブドアの例を次回に紹介します。

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松井道夫IPOの受け皿について語る

日経3/14朝刊7面より、松井証券社長松井道夫氏インタビュー。

IPOにしても、なぜ上場初日にあれだけの値が跳ね上がるのか。個人が相場の主役となった今でも主幹事証券がネット証券に割り当てるシェアは数%。のどがカラカラの状態になった個人投資家が集まってきて値が上がる。こうしたギャップを利用して今の引き受けが成り立っている。

需給バランスのゆがみが「ある」という事実は、その状況を知っている者にとっては、それが環境でありルールです。IPOの値が跳ね上がるのは「ルール」であり「お約束」です。

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【技術者のための財務会計】ざっくりEVA

EVAのの考え方を他の指標と比較して語ります。

売上1兆円言えばすごい気もしますが、赤字であれば意味が無いです。売上の拡大が意味を持ったのは、高度成長期で売上の規模がどんどん上がる割には、コストの上昇が追いつかなかったり、規模の経済で低コストで作れるという場合に限られます。

売上じゃダメなら利益はどうかと。これも営業利益が100億円だとしても、資本を10兆使っていれば、利回りは1%でしかありません。金利さえ払えません。不合格です。

「利益率」に着目する経営者も多いです。利益の総量ではなく、売上との比率を観るという点は、収益性を見る上で有効です。売上の増減をかければ利益の増減が分かります。ただし、これも売上が分母であるがゆえに、資本市場から見たときの利回りではありません。どれくらい資本が費やされているかは、利益率だけからでは分からないのです。

ただし利益率は私は結構みます。業種が同じであれば比較可能であるというのが一つ。もう一つの理由は、「売上と使用資本は割りと同じ」という経験則からです。

例として、各企業の売上高と総資産を比較してみましょう。

売上高 営業利益 総資産
ヤフー 107,407百万円 60,318百万円 126,210百万円
新日鐵 2,147,863百万円 303,886百万円 2,819,991百万円
デンソー 1,862,055百万円 133,356百万円 2,233,844百万円
松下電器 4,145,654百万円 88,393百万円 4,920,540百万円

ポイントとしては、売上高と総資産がほぼ同じであるということ。これはたまたまそうなっているだけですが、こういう比率の企業は多いです。ですので、売上高と資産が大体一対一であるということが頭にあれば、営業利益率から税率を引いた数字が、総資産に対する利回りであるという風に「ざっくり」計算できます。

売上高を総資産で割った値を「総資産(総資本)回転率」といいます。「回転率」というのは、資産の内訳として在庫をイメージしてもらえればいいでしょう。100億の在庫が資産となっており、年間300億の売上があったとしたら、在庫は「3回転」したことになります。もちろん回転率は高いほうがいいです。

多くの企業では総資産回転率が1くらいなのですが、そうではない企業ももちろんあります。

売上高 営業利益 総資産
ヤマダ電機 1,072,677百万円 24,774百万円 346,586百万円
武田薬品工業 784,848百万円 344,435百万円 1,847,590百万円

例えばヤマダ電機は、総資産回転率は約3です。なのでものすごく効率よく売上を上げているということです。「どんどん売っている」のか「在庫をほとんど持たない」のかは分かりませんが、効率が高のは確かです。もちろんその分売上高-営業利益率は低く、まさに薄利多売をやっていると言えます。それでも総資産が小さいので、結果的にそこそこの「利回り」で稼いでいることになります。

逆に武田薬品興行は、総資産回転率が0.5を下回っています。資産の割りに売上が少なすぎます。でもその分売上高-営業利益率が高いので、資産に対する営業利益はそこそこの「利回り」で稼いでいることになります。

利益率というのは、どういう価格体系で売ることが出来るかという点で、業界ごとに全く異なりますが、資本効率から見た利回りは一種の金融商品なので、業種をまたいで比較可能です。

誰が比較をしているのかというと、投資家です。代表的な投資家というと「年金基金」が大手だったりします。

年金基金は明示的に「私達の株式の要求収益率は5%」と明言したことがあります。株主の要求収益率は税金を引いた後ですから、資産に対する利益は10%くらいは欲しい。資産と売上が同じというありがちな企業なら、営業利益率は10%は欲しいなぁということが導きだされます。

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借金は「悪」ではない

負債で調達すべきか?株主資本で調達すべきか?を紹介したところ、タイムリーな記事が日経1/13朝刊にあったので、紹介します。

9面「経営の視点」より。

花王は4000億円以上に上る買収金額の大半を借入など負債で賄う。同社の財務体質を考えれば、新株発行で資金を確保することもできるのに、である。超低金利局面が続いたこいともあり、全体の資本コストを引き下げるためにあえて負債を増やすのだ。

新株発行だと金利負担は増えない。株主資本も厚くできる。いいことずくめに見えるが、これは経営者からの見方だ。新株発行で得た資金のコストはゼロではない。ゼロと思っているとしたら株主に報いる必要を感じていないことになる。

このとおりです。負債も株主資本も調達のためのコストはゼロではありません。資本コストの本質は「機会費用」です。他の投資先を「あきらめて」その事業に投資をしているのです。あきらめて失った利益を上回るだけの利回りを求められています。

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【技術者のための財務会計】負債で調達すべきか?株主資本で調達すべきか?

【技術者のための財務会計】EVAとはの続きです。企業に要求される利回りはEVAにおいては「加重平均資本コスト」で表されます。加重平均というのは、「比率をかけた平均」ということで、負債で要求される利回りと、株主資本で要求される利回りの比率をかけます。

ここで、財務上の判断が生まれます。負債で調達したほうがいいのか?株主資本で調達したほうがいいのか?

もちろん、要求収益率が低いほうがハードルが低くなるのでいいのですが、もし両方とも同じ要求収益率だったらどうしましょう?

答えは「負債で調達したほうがいい」です。

なぜならば、利益は次の順で、取り分が決まるからです。

  1. 負債の利息
  2. 税金
  3. 株主への配当(もしくは再投資による株価上昇)

それぞれ、「前回の残りに割合をかけて」取り分が決まります。そして、登場人物を、「国 V.S. 投資家」という観点で見ると、株主への取り分の総数が少なくなったとしても、できるだけ、1の段階で利息を払っておいたほうが、税金の支払いが少なくて済みます。国の取り分が少ないということで、投資家の取り分は増えます。

似たようなことは、個人のバランスシートでも言えます。仮に自己資金100%で家が買えたとしても、私が家を買った時には、「ローン残高の1%は税金から返還する」という住宅ローン減税の制度がありました。例えば2000万のローン残高であれば20万円戻ってきます。さらに私がローンを借りたときには利息が1%でした。ということは利息が1%で税金も1%戻ってきますから、事実上金利なしでお金が借りれたのです。仮に2000万の自己資金があったとしてもそれは家を買うのに充てるのではなく、別に運用したほうがオトクです。

企業にとっての負債には「本来なら払ってた税金を払わなくても済む」という節税効果があります。これは事実上金利が低いのと変わりません。

そんなわけで、「加重平均資本コスト」は次のような数式で表されます。

負債の価値 負債の利子率(1-法人税率)+ 株主資本の価値 株式の期待収益率
負債の価値+株主資本の価値 負債の価値+株主資本の価値

(1-法人税率)というところが無ければ、単に比率をかけた平均を出しているだけです。負債の利子率に(1-法人税率)という節税効果をかけているのがポイントです。日本の法人税率は40%くらいですから、かなり利子率は低くなります。

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【技術者のための財務会計】利回りと72の法則

財務においては、価値活動を全て「利回り」で判断します。今現時点での価値の比較は円でいいのですが、投資と回収というタイムラグがあると、その価値は定期預金などの金融商品と同じように、「年」を要素に入れた利回りで価値が分かります。

利回りも普段金融商品に触れていないと相場観がありまえせん。2%の金利と3%の金利がどの程度違うのかってピントこないかも知れません。これは金利の計算が、累乗の計算なので、暗算ができないからでしょう。

例えば、利回り(複利)2%で資産運用すると倍になるのは何年後でしょう?

利回り2%というのは102%=1.02を累乗することです。ですので、

1.02^x = 2

という方程式を解けばいいはず。でも暗算では無理です。そこで便利なのが72の法則です。72の法則は次のように使えます。

  • 利回り1%で運用して倍になるのは72年後
  • 利回り2%で運用して倍になるのは36年後
  • 利回り3%で運用して倍になるのは24年後
  • 利回り4%で運用して倍になるのは18年後
  • 利回り6%で運用して倍になるのは12年後
  • 利回り8%で運用して倍になるのは9年後
  • 利回り9%で運用して倍になるのは8年後
  • 利回り12%で運用して倍になるのは6年後

という具合に倍に増えるという前提で「利回りと年数をかけると72になる」という法則です。累乗の方程式がただの反比例の方程式で完全に解けるわけも無く、あくまで利回りが数%の時の近似値がこうなるというだけのことです。

興味深いのは、この72の法則でポイントになるのは「倍になるにはあと何年」というお題がついてまわっているということです。この「年」というのは、完全に人間の寿命を意識しています。0.1%の金利だと720年後に倍になります。つまり運用の価値が無いということが分かります。

逆に3%くらいで成長すれば、生きている間には(たぶん)、「倍」になるってことですから、人生の目標をたてるのにも便利です。

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量的緩和政策解除で金利はこう変わる

日経3/10朝刊3面に、金利の動向が一覧になってありました。相場観を持つためにも、今どうで、これからどうなるのかというのを覚えておきましょう。

現在の
金利
年初から
の動き
今後の
見通し
預金 普通預金 0.001%
定期預金
(1年物)
0.03%
定期預金
(5年物)
0.1%
ローン 住宅ローン
(変動型、固定期間2年)
2.2%
住宅ローン
(35年固定型)
2.9%
自動車ローン(変動型1年以上10年以内) 6.375%
企業向け 長期プライムレート(10日から) 2.1%

ざっくり言えば、「預金は低金利のまま変わらず」でも「借りるときには金利が高くなる」ということで、銀行が儲かる傾向にあります。

もし資産を増やしたいのなら、預金はあきらめた方がいい。

長期プライムレートが2.1%よりまだ上がる傾向にあるというも注目です。長期プライムレートというのは、「めちゃくちゃ安全な企業が長期借りれる金利」ということです。企業にとっての金利の「原点」が長期プライムレート(長プラ)です。実は2/9に長プラは1.9%から2.0%に引き上げたばかりで、3/10から2.1%となっています。かなり速いペースで上がっています。

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NHKの広告一部解禁に民放ゴネる

NHKの海外向け放送について、海外向けなんだから広告をつけてもいいんじゃないかという話。
http://www.sankei.co.jp/news/060310/sha018.htm他、日経3/10朝刊5面より。

竹中平蔵総務省の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」で、英国のBBCみたいにNHKが日本のことを発信するのにもうちょっとパワーを割いてもいいんじゃなかろうかという話題です。そして外人さんが見るので、当然受信料はもらっていない。BBCも広告が入っているということもあるし、海外向け番組に限っては広告流しても問題ないんじゃなかろうかと。

この内容はすごくまっとうに聞こえます。だけど、民放各社の反発はひどい。

  • 「公共放送に広告はなじまない」(日枝久フジテレビジョン会長)
  • 「受信料の範囲内でやってもらうのが基本」(日枝久フジテレビジョン会長)
  • 「もう少し時間をかけて実態を調査し、国民的議論を深める必要がある」(日枝久フジテレビジョン会長)
  • 明らかな民業圧迫」(久保伸太郎日本テレビ放送網社長)
  • 「受信料体系をどうすべきかという議論が先」(君和田正夫テレビ朝日社長)

ということで、本人達は議論をする気ゼロです。

ちなみにNHKが海外向けにBBCみたいな番組を作ったとして、それが日本テレビの事業を圧迫するとはとても思えない。言ってて恥ずかしくないかなぁ。

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株式分割その後

ライブドアが株価上昇の魔法の杖として使っていた「株式分割」ですが、その後の状況が日経3/8朝刊16面(投資財務1)に掲載されていました。

  • 2005.3.7に東証が大幅な株式分割を自粛するように要請した(ちょうど一年経過)
  • 以下指針
    • 5分割超の株式分割は複数回に分ける
    • 投資単位が1万円を下回るような株式分割も慎重に検討
  • 結果
    • 5分割以上の株式分割を実施した企業数が全体の15.8%と要請前の一年間に比べ5ポイント低下
    • 分割幅の平均も2.9株と要請前の6.0株から低下した

ということで、ライブドアの「錬金術のカラクリ」などと取りざたされた株式分割は今はおさまtっているようです。ライブドアが100分割をしたのって2003年です。もはや古い話です。

また、2006.1からは分割翌日から新株を売買できるので、今までのように分割した翌日は需給バランスが崩れて値上がりするということは、「理論上は」おきなくなりました。

「理論上」と断っているのは、過去の株式分割後の高騰も、大半は「祭り」として値上がりしていたにすぎないと私は考えているからです。

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【技術者のための財務会計】機会費用という考え方

加重平均資本コストの算出方法の前に、「機会費用」という考え方を紹介します。

例として学校で勉強するのと就職するのと二つの選択を考えましょう。

A.学校に100万円払って通学して勉強する
B.就職して400万円稼ぐ

Aという選択肢をとるときには、100万円かかるということだけではなく、AをすることであきらめなくてはいけないBという選択肢で得られる利益も「コスト」とみなさなくてはいけません。つまりAのトータルのコストは500万円です。

この「他の選択肢をとらなかったことによって失われる利益」のことを機会費用と呼びます。

さて財務会計の世界では、この「機会費用」がかなり登場してきます。投資判断の多くは機械費用を元に判断します。

例えば、ある企業の株式に投資して、一応の黒字のリターンが得られたとします。ところが、その投資家は限りある資金を「国債に投資することをあきらめて」株式を買っているわけです。したがって、その投資家の機会費用は「国債を買っていれば得られるであろう利益」です。少なくともそのリターンを上回れない限り、株式のリターンは満足いくものではありません。

国債に限りません、投資家は、Aという会社の銘柄を買うのをあきらめて、Bという会社の株を買っているのです。そこでBという会社の経営者が「Aの業績がいいからAの株でも買ってみるか」とA社の株を買うことには全く意味がありません。機会費用と実際のリターンがプラスマイナスでゼロになるからです。B社の経営者は、A社の株のリターンよりも多くのリターンをB社自身の業績向上で上げて欲しいのです。

機会費用という考え方を適用すると、「何もことをおこさない」ということのリスクも見えてきます。例えば現金というのは目減りしませんからリスクはゼロです。ところが、物価も土地も株式も上昇する状態、例えばインフレの状態が起きると、現金の価値はどんどん下がります。こういうのを「持たざるリスク」と言って、株を買えというムードの時にはよく聞かれます。普通は株を買ったりするとその価値が上下することでリスクが増えそうなのですが、物価が上下する視点で見ると、現金の価値のほうが実は上下しているということです。

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【技術者のための財務会計】EVAとは

EVAというのは、次の式で表される指標です。

EVA=税引営業利益(NOPAT)-投下資本×加重平均資本コスト

前回の営業利益はいくらあればいいの?で言葉で説明したものが、数式になっただけです。もう一度日本語に直すと、

  1. 税引き営業利益が
  2. 調達した資金に利回りをかけたものを
  3. 上回れば合格

ということです。細かいことを言えば、税引き営業利益とは言うものの税金を引くだけではなくあれこれ調整項目は加えるのですが、それはコンサルティング会社に任せればいいです。

「加重平均資本コスト」という言葉が出てきました。

まず「資本コスト」という言葉は利息と受け取ればいいです。利息というものはお金のレンタル費用と考えれば、「資本コスト」という名前はすんなり分かるでしょうか。そして、要求される利回り(要求収益率)は借金と株式とでは違います。なので、その比率を掛け合わせて平均の利回りを出します。

営業利益V.S.経常利益では、経常利益が中途半端な利益であると延べました。負債の利息しか見ておらず、株主に対する利回りを無視しているからです。その点でEVAは全ての資金調達の要求収益率を考慮しており、EVAが黒字なら合格ということがはっきり言えます。

平均の要求収益率で合格ラインが決まるということは、負債と株主資本の比率を変えることで加重平均資本コストを調整できそうです。次回はこの加重平均資本コストの中身を分解してみたいと思います。

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スズキ株が上場来高値

スズキが結果的に自社株買い でも触れましたが、その後の記事が日経3/8朝刊にもありました。

GMがスズキ株を17%分売りに出しましたが、結局スズキが大半を買い取ったので、急に供給過剰とならずに済んだようです。結果、上場来高値となりました。GMとは株式を使わずに業務提携だけが続くという都合のよい形で事業が進みます。

2300億円弱に及ぶ自社株買いで手元資金は減るが、野村證券の杉本浩一アナリストは「課題だった資金の有効活用が進む」と前向きに評価。スズキ株への投資評価を同日、「中立」から「やや強気」に上げた。

ということで、私のスズキが結果的に自社株買い と同意見となっています。自社株買いをすると、市場に出回っている株の一株あたりの利益は増えるので結果的に株主の分け前は増えるのです。元手が減ったのに利息は同じ額をもらえるということは利回りが増えたことと同じです。

日本株にはまだまだ、「業績はいいんだけど資本効率がいまひとつ」という企業がまだまだごろごろしています。資本効率が悪いということは「ちょっとした資本取引」で大きく利回りを向上させる余地があるということです。

売り上げを増やすことで、一株あたりの利益を2割増やすことは気の遠くなる話ですが、同じことを資本取引でやることはさほど難しくないことは想像つきます。

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銀行の役割とは

日経3/8朝刊7面(金融)「フィナンシャル越境バトル 大競争の行方(上)」より、金融サービスの規制緩和が進んだことに関するインタビューがありました。たまには新聞に書いてある文章そのものに噛み付いてみたいと思います。

早稲田大学教授西村吉正氏コメントより。

三メガバンクをはじめ店構えは大きくなり、銀行経営に対する不安は薄らいだが、新しい展望はまだ見えない。かつて銀行家の地位が高かったのは、夢を実現しようとする人を資金面で手助けする公共的な役割を担っていたからだ。金融不安を経て銀行の信頼が失墜したいま、いかにイメージを回復させるかが問われている。

未だにこんなこと行っている人が居るんですね。新しい展望が見えてないのはこの教授くらいでしょう。何をもって信頼って言ってる?何を持ってイメージって言ってる?銀行とは直接の関係を持っていませんが、さすがに銀行の肩を持ちたくなるコメントです。

まず展望もなにも、昔の「公共的な役割」というお題目こそが空虚です。銀行を中心とする金融業の本来の役割は、こんなもんでしょう(私の考えです)。

  • 決済機能
    • ATM張り巡らせたり、電子マネーに力を入れてみたり
  • 巨大投資家
    • 個人への融資
    • 企業への融資
    • その他金融商品なら何でも売買
  • 投資家との窓口
    • 金融商品を売る窓口

そして決済の客でもなく、投資先でもなく、投資家でもないという人は、銀行とはたいした接点を持ちません。別にイメージがなくても全然かまわない。投資や融資とあまり関係がない人は粛々とコンビニATMを使っていればいい。わけの分からない「公共的な役割」が薄れてこっちはすっきりしている。

「私は銀行を胡散臭く思っている」と私を主語にすれば、文章として分かるのですが、「銀行の信頼が失墜」「イメージを回復させるかが問われている」なんていうと、読んでる私含めた社会全体がいつの間にやら同調しているようになっているので、ムカムカします。

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【技術者のための財務会計】営業利益はいくらあればいいの?

営業利益こそが本業での稼ぎであるということは説明しました。じゃぁ、営業利益はいくらあればいいのでしょう?

まず、赤字はダメということは分かります。少しでも黒字であれば合格なのでしょうか。いえ違います。借金をしている場合には、金利が必要です。金利を引いたじゃぁ経常利益が少しでも黒字ならいいのでしょうか?いえ違います。株主に配当という形で還元しなくてはなりません。配当の原資が必要です。

配当を行わない企業もあります。利益を再投資に回すようなケースや、自社株買いで株主に直接お金で返すというケースもあります。いずれも配当ではない株主還元は株価上昇という形になります。ではいったいいくら株主に還元すればよいのでしょう?

結局は「株主による」です。

いくら利益を上げれよいかという、合格ラインを「要求収益率」と呼びます。要求元は借金の場合は債権者ですし、株式の場合は株主が「要求」します。借金の場合にはお金を貸してもらうときに「要求」されるので分かりやすいですが、株主の場合にはいったいどれくらいが合格ラインかということは、ずっとすり合わせなくちゃいけません。

厚生年金基金連合会などは、明示的に「私達の要求収益率はコレくらい」とホームページ上で示しています。何も言わない株主は、市場で取引がメッセージです。なので値動きの荒さを要素の一つとして要求収益率を出すケースもあります。確かなことは、借金の利息に比べると株主の要求収益率の方が大きいということは確かです。債券とちがって、株式は返済の優先度は低いので、ハイリスクですから、リターンは大きなものを要求されます。

そして、負債の要求収益率と株式の要求収益率を足して割ったものがその企業に求められる要求収益率となります。

ここで「収益率」と言うと利益率のように見えますが、分母は使用資産です。投資家は「投資したお金の利回り」を気にしているのであって、売上に対する比率ではないのです。

こうやって出す指標をEVAといいます。コンサルティング会社の登録商標ということもあって、完全に一般的な指標とは言いがたいのですが、次回はEVAの数式で説明してみたいと思います。

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スズキが結果的に自社株買い

GMとスズキの資本提携がほぼなくなるとの見通しです。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200603070022a.nwcほか、日経朝刊11面より。

以下ポイント

  • GMのスズキへの出資比率は20%→3%に低下
  • GMが売却する株はスズキが買い取る
  • スズキは一年間自社株を保有し、この間は売却も償却もしない
  • 買取にかかる原資は2300億円の自己資金
  • スズキの2005.12末の現預金は連結ベースで2850億円で、短期保有証券を含めた手元資金は3850億円
  • スズキの2006.3.7時点での時価総額は1兆4000億円

ということで、結果的にかなり大きな自社株買いを遊んでいる(かも知れない)手元資金で行ったといえ、資本効率は上がります。またGMとは資本提携はなくなっても業務提携はなくなるわけではなさそうなので、業務には影響はなさそうです。

ちなみに、鈴木修会長の手元資金に関するコメント。

自己資金で十分賄える。来年度も2200億円の設備投資を計画しているが、それでも十分に対応できる。

そんなに資金が余っていたのなら、買った自社株を消却しちゃえばいいのに。あるいは一年後にはありうるかも知れません。

ということで、こないだ買ったスズキが早速8.35%UPです。ここ一週間は低調なTOPIXとは真逆に上がっています。はいこれ自慢。

もうちょっとスズキを褒めます。

スズキはハイブリッドをはじめとする環境技術では出遅れているイメージがありますが、そもそも小型車低燃費ということ自体が環境技術と言え、決して将来性が無いわけではない。

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東芝がフラッシュメモリに5000億円投資

http://www.sankei.co.jp/news/060306/evening/07bus001.htmほか、日経3/6朝刊より。

  • 東芝が5000億円を投資してフラッシュメモリの新工場を作る
  • この投資で生産能力は現在の3倍になる
  • 現在の東芝の連結営業利益(2100億円)の約半分はフラッシュメモリー事業

すごーくシンプルに考えて、今の3倍の生産量で利益も3倍になったとします。供給過多で値崩れが起こるのか、規模の経済で利益が出しやすくなるは分からないので、利益を生産量に比例させます。今のフラッシュメモリによる営業利益を1000億とすると、生産量増大により利益は3000億になります。5000億円の投資に対して年間で3000億の利益増大です(投資も回収もタイムラグがあるでしょうけど)。

ということで投資単体としては合格でしょう。ただこの手の事業はシェア1位意外は市場に必要がなくなってしまいます。フラッシュメモリのシェア一位は現在サムスン(53%)で東芝が大きく離された二位(22%)です。二位というなら40%くらいはシェアが欲しいところです。なので短期的に利益が出なかったとしても、フラッシュメモリ事業を「続ける」気があるのであれば、シェア確保策はとらざるを得ないでしょう。

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【技術者のための財務会計】なぜ利益を出さねばならないか?

「全然利益なんで出ません。赤字ですわ」なんてうそくぶシーンはちょいちょい見かけられます。でも企業だから赤字が続くと存続さえ出来ません。

株式会社は営利を追及するものという定義に頼るケースもありますが、株式会社でなくても利益は生まなくてはなりません。

なぜ利益を生まなくてはならないかをここで説明します。

まず前提事項があります。商品があり、市場があり、顧客は商品を選択可能な状態を想定します。顧客にとっていい商品は、「高くても買われる」可能性があります。悪い商品はその逆です。そんなに変な前提ではないですね。

さてこの前提で何が起こるかというと、市場での取引を通じてものの価格が決まってきます。価値のある商品は高い価格がつき、価値の低い商品は低い価格でないと売れません。つまり商品の価値は価格で計測することが出来るようになります。

とここまで前提。ここからシナリオ。

ある、料理人Aが生のトマトを100円で仕入れてきました。このトマトを材料に150円のトマト料理を作り売ることが出来ました。生のトマトは100円の価値しかありませんでしたが、料理をすることにより50円の価値を付加したと言えます。この50円分は消費者も価値として認めたものです。

生のトマト 調理済み
100円 トマト
150円
付加された
価値
50円

ところが別の料理人Bも同じようにトマトを100円で仕入れて来ました。料理をして売りましたが、不味いので80円でしか売れませんでした。この20円の差はなんでしょう。これは料理人Bが価値を破壊した分です。利益が赤字ということは、元の素材に対して価値を破壊しているということなのです。料理人Bに対しては「まだ生のままのトマトの方が価値が高いので料理を直ちにやめてくれ」というお願いをすることになります。

生のトマト 調理済み
100円 トマト
80円
壊された価値 20円

事業というのは価値を創造する行為です。利益が目的というと私利私欲のために働いているようにも見えるかもしれませんが、赤字は地球上の資源の価値を破壊している行為です。赤字の事業をするくらいなら、何もしないほうが世のため人のためです。価値の破壊ではなく価値の創造をしなくてはならないという当たり前のことが「利益創造」です。

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バブルは杞憂?

日経3/5朝刊3面けいざい解読(編集委員大田康夫)より。現在声が上がっている土地バブル論は杞憂なのではないかという話題。

  • 値上がりの程度について
    • 80年代後半
      • 全国で地価が上がった
      • 都市部の平均上昇率は一時70%超だった
    • 今は
      • 都市部でようやく上昇に転じたところ
  • 実質的な土地の利回り
    • 80年代後半
      • 借入金利を上回る実質利回りはマイナス3-4%
      • 値上がりのみに期待した投資
    • 現在
      • 賃料などの収益率は4%近く
      • そこから国債利回りを引いた実質利回りは約2.5%
      • これはニューヨークなど倍に当たる

ということで、価値の無いものの値上がりだけを期待するババヌキゲームではなく、今の日本の土地の収益は、「持ち続けたとしても」価値のあるものとなっています。

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初めての四十九日

祖母の四十九日がありました。法事そのものは体験していまいたが、よく知っている人の四十九日は始めてです。

前日に実家に帰りました。到着すると、ついおばあちゃんに「帰ったよ」と挨拶でもしようとしてしまいます。死ぬちょっと前はもう入院していて家には居ない期間もあったにも関わらず、死んで家に居ないという事実はまたまたショッキングです。

とりあえず仏壇(の横のおばあちゃんの写真)に向かって拝みます。今まで全然信心深くはなかったのですが、拝むものです。それに驚きます。死に対する畏怖の念というのは、私のようなひねくれ者にもあるのです。別にバチが当たらないようにとか、何か願いごとをするわけではなく、ただお祈りするのです。挨拶のようなものでしょうか。何もしないことが無視したようで不自然なのです。

法事の日。いつものお坊さんにお経を上げていただいて、お説教タイム。今回はお葬式の話と、「死」という字の字源の話。

死の字源は、横棒とタという部首が骨を現しているらしく、その横の「ヒ」は人が拝んでいる姿なのだそうな。つまり、死は死んだ本人だけではなく、遺された人たちの態度を含めて死であると。

死の定義から考えると、生前に自分の葬式のスタイルをやれお別れ会として明るくやろうとかってのを本人が決めるのは本末転倒だってことになります。遺族や喪主が納得いくようにするのが死の定義です。

そもそも、「お別れ会」というハッピーな形を考えるのは、死をなめすぎているんじゃないかと。どう考えても死はショッキングな出来事です。ついこないだまでは日本だって多産多死の国でした。7人兄弟が徐々に減っていくという人口構成でした。子どもが亡くなる、兄弟が亡くなる、働き盛りの父母が亡くなる、これが死のデフォルトの姿でした。そりゃ大変なことです。

それが少産少死になって、そもそも「死」の回数が減ったことで、死を意識されることが少なくなってしまったんじゃないかと思います。死なないのが当たり前で、若くして何らかの事故や病気で亡くなると、「異常」として扱われる。

もちろん長生きできたほうがいいし、生活圏内は安全な方がいいに決まっているんだけど、人間の死亡率が100%であるという事実はどうにも変えれない。多産多死でも少産少死でも、オレの命は一個だけ。若くたって年取ったって、死ぬのは勘弁。100%の死亡率に対して今日死んでないというのは、ありがたい話です。

ちなみに、法事が終わってお墓にお骨を納めに行きました。チョー久しぶりにお墓にお骨を入れるので、どこから入れるか分からない。あやうく墓を分解するところでしたが、なんとか小さな入り口を発見。でも入り口は苔で固まっててなかなか開かない。骨壷ごと入れようとしたけど骨壷が大きくて入らない。仕方が無いので、骨だけ「さらさらー」っと布に包んでお墓の中に「ポイッ」。これでいいのか?

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【技術者のための財務会計】減損会計とは?

今回は旬の言葉の「減損会計」についてざっくり説明してみたいと思います。まじめな説明は
http://www.prings.com/accounting/genson.htm
でも見てください。

まず、減損会計は最近導入されたルールです。例えば古い会計ルールでは、土地を取得すると取得価格で資産として計上されます。土地は磨り減ったりしませんから減価償却の対象ではありません。

したがって、500億で取得した土地は500億のままで資産として計上されます。しかし、土地の値段は上がったり下がったりします。特にここ10年くらいは下がる傾向が多かったです。例えば今売ったら200億円だったとしましょう。本当は200億円の価値しかないのに、バランスシート上では500億のままです。

資産 負債/資本
現金 負債
200
設備 600
200
土地
500
資本
300
↓本当は
資産 負債/資本
現金 負債
200
設備 600
200
土地
200
資本 評価損
300 -300

本当は、そんなに資産を持っていないのにも関わらず、資産が多いことで資本までが多く見えてしまいます。

この事実がはっきりするのは、土地を売ったときです。なので、古い会計ルールだと、「土地の値段が下がれば下がるほど売りづらくなる」というルールです。売るとダメ資産であることがばれちゃいます。例の300億のマイナスは含み損と呼びます。

そんなもんかくしても仕方が無いじゃないかと、「売って金にならんものは持ち続けていても価値がないとみなします!」というのが減損会計の思想です。含み損は損として白状しなさいと。厳密には売ったときの価値だけではなく、土地を保有し続けたときに家賃収入がちゃんとあれば、価値があるとみなします。

ということで減損会計が適用されると、土地バブルの頃に高値で土地を保有した企業が偉いことになるので、永らく導入できないで居たのですが、やっと土地の値下がりも落ち着いてきたので導入できるようになったということです。つまり実際には、フェアな目で見れば日本の企業の多くは事実上債務超過のところが多かったということです。

ちなみに減損の対象は土地だけではなく建物も含まれます。細かい一覧はまじめな解説サイトを見てください。

そして、今日(2006.3.2)の日経では減損のニュースがありました。
セブン&アイの06年2月期、特損600億円キャッシュ
この特別損失の中で、200億円を占めるのが減損損失です。200億円というとかなりの額です。そして200億円の損失が出たと言っても、ヨーカドーから200億円出て行ったわけでもなく、この2月期になって損失がドーンと出たわけでもないのです。長い間かかって「じわじわと」土地や建物の価値が下がっていったのを、今回のタイミングでまとめて損失と言っているだけなのです。

なので、特別損失がドーンと出ることで、純利益はドーンと減りますが、今年の業績が悪いわけではないというところに注意をして見ましょう。「コレまでの」含み損が白状されたということです。

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【技術者のための財務会計】仕掛・在庫はなぜ資産?

仕掛とはまさに仕掛です。未完成の仕事です。

実はこの仕掛も資産として扱います。その商品のためにかかった人件費や材料費などはまだ費用ではありません。一旦は資産扱いです。実際に売れるかどうかは置いといて、それらは「一時的に現金が化けたもの」という認識で資産とみなします。

完成品を倉庫においておくときには、「在庫」もしくは「棚卸資産」といいます。在庫も資産です。「売れるかも知れない」けど「まだ」売れていないものは、資産です。

在庫や仕掛は「換金か出来るかも知れない」という点では「資産」ですし、「まだ」売上とは対応ついていないという点では、により費用に出来ません。

企業から見れば、在庫にしろ仕掛にしろ、もうお金は出て行っているわけですから、こんなものが一杯あるからと言って、金持ち扱いしてもらっては困るのですが、会計上は費用にはできません。

ということで「在庫圧縮」ということが叫ばれるのです。例えばこのニュース
松下電器グループ在庫2割削減
では、在庫を削減することで、キャッシュを手にします。在庫がいっぱいあるということは、本当はお金が無いのにお金持ちに見えてしまうということが悪です。資産が一杯あってもその質を考えれば、本当のお金持ちかどうかが分かります。

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減価償却全面見直し

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060228AT1E2700T27022006.htmlキャッシュ)他、日経2/28朝刊一面より。

自民党税制調査会が法人税の減価償却制度を全面的に見直すようです。設備の減価償却により、その取得価格の一部は減価償却として「コスト」として認められるのですが、現在は法廷耐用年数(国が決めた設備の寿命)を迎えても、まだ10%は価値があるとしてコストとして認められず、耐用年数を過ぎても5%はコストとして認められません。

思想としては、「まだ使えるから転売可能だろう」ということかも知れませんが、実際には設備の平均売却価格は取得価格の0.34%に過ぎないので、制度が言う「5%」は価値が高すぎます。

「大した価値も無いのに価値があると国がみなす」ことにより、企業は「お金持ち」とみなされて、よりたくさんの税金を支払わなくてはいけません。

そしてこの5%はゼロでもいいじゃないかというのが今回の見直しです。エライ。

5%の残存価値だけではありません。日本の法廷耐用年数はやたらと長いのです。主な機械装置で平均10年です。アメリカやドイツは平均7年です。日本だけ「古くなった装置でも価値がある」変なことになっています。これも見直す方針。エライ。

まだまだあるよ。償却手法も日本は機械や設備に応じて約370と複雑です。イギリスとアメリカは10区分以下とシンプルです。これもシンプル化する方向。エライ。

償却手法によって企業の利益は変わってきます。なので、区分が多くて解釈の差が出てきたり、国ごとに全く違っていると、企業の比較がやりにくくなりますので、できるだけ他の国にあわせてシンプルにするのが望ましいです。

ちなみに、日経3面より主な資産の耐用年数がありましたので紹介。

鉄筋コンクリートの事務所 50年
エレベーター 17年
普通自動車 6年
パソコン 4年
商標権 10年

最近は技術革新がどんどん激しくなっているので、制度上の耐用年数はどうしても、「長持ちさせすぎ」になりがちです。ちなみに、パソコンなんかは2001年より前までは耐用年数が6年だったのですが、イマドキ6年も持たせることは稀になってきたので、4年に短縮されています。

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