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電力新規事業者撤退へ

日経10/28朝刊11面「転機の電力ビジネス」より。

電力小売自由化で登場した新規電力事業者が苦しんでいる。新規事業者は発電所を建設するほか、企業の自家発電の余剰分を買って電力を確保してきたが、いずれも原油高に直撃される火力が主体。既存の電力会社に対するコスト面での優位性は失われつつある。

エネサーブは自家発電設備販売から撤退し、三井物産系のGTF研は採算悪化で営業停止とのこと。

世界的に見ても、火力から原子力へのシフトが進んでおり、100%原油に依存するビジネスは長い目で見て、競争力があるとは思えません。こと電力に関しては、単に自由化しただけはなかなかブレークスルーが見られません。

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霞ヶ関を売ってしまえ

日経10/27朝刊5面より、国の庁舎の価値が2.5兆円あるという記事。

  • 財務省の「国有財産の有効活用に関する検討・フォローアップ有識者会議」の試算
  • 東京23区の国の庁舎の合計額は2.5兆円(簿価)
  • 霞ヶ関がある千代田区の合計は1兆3000億円(簿価)
  • 時価ベースなら千代田区だけでも4兆円の試算価値という試算もある

簿価というのは帳簿上の価値で、普通は取得額です。昔に買った土地は異常に低い価値で計上されます。それに対して時価は「今売ったらこれくらい」「今賃貸に出したらこれくらい儲かる」という計算から導き出されます。ちょっとした推測が入るのですが、時価のほうが現実に即しています。

会合後に記者会見した伊藤座長は個人的な意見としたうえで、資産価値の高い庁舎の売却を検討する考えを強調した。

極めて妥当な判断だと思います。何も税金を使って日本一高いオフィスビルを「買う」ことはない。もっと安いところに庁舎を構えればいいし、自社ビルじゃなくて賃貸でいい。自社ビルを持つというのは、賃貸料を大量に前払いしているのと同じです。常識的に考えれば、同じ支払うなら後のほうがいい。前払いをするために借金をするのはあほらしい話です。

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これも経済学だ!

この本いいです。「これも」というのは主に「社会問題も」経済学視点で語っています。

社会問題というと、何かを善悪に分けがちです。しかしながら、純粋な学問というのは、まず事実をありのままに観察し、さらに「なぜそうなるのか」を考え、検証を行います。経済学は社会を対象にした学問ですが、自然科学のように、「人はどう動くのか?」「それはなぜか?」をドライに見つめます。

ドライに「なぜそうなったのか」を観察するテーマで面白かったのは、「日本の宗教」。日本には仏教寺院が75000あります。全国のコンビニの40000よりもはるかに多いことを考えると、お寺の多さが分かります。

じゃぁ日本人は仏教徒として信心深いかというとそんな感じではない。じゃぁ日本のお寺は何なのか?なんでこんなにドライな宗教施設が大量に配備されているのか。

簡単に言うと、「役所」です。葬式という点で宗教と絡んでいるようにも見えるけど、オリジナル仏法では葬式はさほど重要ではない。どちらかというと「死亡届」の為の窓口としての役割がお寺には期待された。寺子屋という制度も学校をお寺にアウトソースしていたわけで、今風に言えば「指定民間企業」。だから地元の市民は学区が割り振られるように、お寺が割り振られる。お寺は熱心な布教活動をするよりも、役所としての事務処理に傾いていく。

・・・・・というのが、国の政策として行われたというのが答え。

逆に今では、お寺の役所機能の重要性はだいぶ薄れてきたから、純粋に信仰で勝負しなくちゃいけない時代になってきている。

私の実家では、神社の社務所が公民館を兼ねていました。神社の祭りの単位が、自治体の単位になっていました。

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設備投資、償却期間短縮へ

日経10/24朝刊1面より。まずはこちらの表をご覧ください。

減価償却期間の国際比較

設備投資の償却期間
(法定耐用年数)
設備投資のうち損金に計上できる割合
半導体関連 液晶関連 主な機械装置の平均
日本 8年 10年 10年 95%
米国 5年 5年 7年 100%
英国 8年 8年 8年 100%
韓国 5年 4~6年 8年 100%

日本は外国に比べて、減価償却の期間が長いです。さらに最後まで損金に計上できない部分もあります。

設備に投資をすると、それは今年だけではなく、来年も再来年も売り上げに貢献するだろうということで、100万円の設備を使っても、その一部しかコストとして認められません。そうしないと、一年目は大赤字で二年目以降は大黒字になてしまい、「儲かっているのかどうか」が分からなくなるからです。

現金は出て行っているけど、コストとして認められないので、減価償却が長引くほど、企業にとっては、「変に利益が出ている」状態になります。お金はないのに。企業視点から言えば、「余計に税金が取られる」もととなります。企業の現場で資産になるようなお買い物を嫌うのは、「お金は減ってるのに税金が余分に取られる」からです。

減価償却期間は、耐用年数ともよばれ、税法上で決められています。企業によって使用期間は違うのですが、税の公平性は保たれなくちゃいけないので、一律です。しかし、その一律も時代が変われば、万人にとって現実離れします。液晶関連の設備の10年もかなり現実とは乖離しているようです。

そして、政府は設備投資の償却期間を短縮し、さらに全額を損金に計上できるように検討するというのがニュースになっています。

政府としては、今まで取れていた税金が取れなくなる可能性はあるのですが、企業の設備投資の障害を取り除くことになるので、結果的には経済が活性化し、景気も税収も上向く可能性は十分にあります。そしてこれはすごくいいことです。もっと褒めてやってもいいです。

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「わたしと仕事、どっちが大事?」はなぜ間違いか

この本好きです。どうすれば「好感がもたれるか」というテーマではなく、徹底して論理的かどうかで勝負をしている。

著者は弁護士なので、仕事の場で論理的かどうかで勝負をしているのですが、じゃぁ日常生活でその通りにやればいいかというと、そうではない。だけど、「もし理路整然と言い返すとすれば・・・・」という準備は出来る。

タイトルにある「わたしと仕事どっちが大事?」というは確かに間違いなのですが、とっさには、間違いのポイントは分からない。

この問いでの間違いは、「二分法」による間違いです。二つの選択肢をだして迫られると、ついどっちかを選ばなくちゃいけないような気がする。だけど、そもそもその二択のピックアップがおかしいときがある。

このケースでは、本当は4択。○:大事、×:大事じゃない

  1. 私○仕事×
  2. 私×仕事○
  3. 私○仕事○
  4. 私×仕事×

という具合です。答えとしては「キミも仕事もそんなに大事じゃないよ」という可能性さえある。私と仕事ではそもそも比較対象でさえないので、一方の重要性が他方の軽視につながるという前提がおかしいのです。

じゃぁ、この内容をそのまま伝えればいいかというそうじゃない。正直に「キミも仕事も大事なんだけど」って言うのも実はその場ではそぐわない。「どっちが大事?」は実は質問ではなく、「私を大事にしなさいよ!」という「命令」なのだから、その場は「キミが大事なんだよ」と言うのが正解。二択に絞っている時点で論理的ではないのですが、実は質問でさえなかったのです。

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 「新聞のない政府」よりも「政府のない新聞」を選ぶ?

マスコミやジャーナリストが持ち出す「格言」です。

 「新聞のない政府」よりも「政府のない新聞」を選ぶ。
(トーマス・ジェファーソン)

監視カメラは何を見ているのか」でも引用されていました。この「格言」で汚いのは、二択に絞っていることです。

当たり前のことですが、新聞と政府の有無には、次の4パターンの組み合わせがあります。

  1. 新聞あり、政府あり
  2. 新聞なし、政府なし
  3. 新聞あり、政府なし
  4. 新聞なし、政府あり

私は、新聞あり、政府ありの組み合わせを選びます。

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自社株消却最高に

日経10/23朝刊1面より、東証上場企業の自社株消却が過去最高になったというニュース。

  • 東証上場企業の1-8月の償却額
  • 合計2兆7162億円
  • 前年同期の2.8倍
  • 償却額の大きなところ
    • セブン&アイホールディングスが1兆6000億円強で、発行済み株数の31.3%
    • アステラス製薬が約400億円
    • NTTDoCoMoが約3600億円
    • フジテレビジョンが約400億円

単に自社株買いをするだけなら、その後株式を放出したり企業買収の際の株式交換つかったりという用途にも使うのですが、償却は本当に株を減らします。借金を返すのと同じように、株主に調達した資金をお返しします。

自社株の償却があまりに多いと、「成長がないという宣言にならないか?」と勘ぐる人も居るかも知れませんが、実際に成長しているかどうかは見りゃ分かることです。成長に関係のない現金は資本市場に返すのが筋です。

償却が多いと言っても一方でイオンのように大規模な調達を行っている企業もあります。必要なタイミングで必要な量だけ、資本市場から調達するというのは、資本効率の面で理想です。

ちなみに、私が習ったビジネススクールのケースでは、イオンとイトーヨーカドーが登場しました。イオンは、株主資本をギリギリで経営していて、株主にとってはいい企業で、ヨーカドーは収益の割りに株主資本がやたらとだぶついているので、株主にとってはよくない企業という扱いでした。ヨーカドーは今回の自社株消却でかなり株主目線での効率化が進みました。

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監視カメラは何を見ているのか

まず、この本自体にすごく悪い印象を持ちました。

論理が破たんしているところがちょいちょいある。

例えば、「防犯カメラは安全防備か?」の章では、2006年3月に小学3年生がマンションから突き落とされた事件を引き合いに出している。

勘違いしてはいけないのは、防犯カメラがあったとしても、子供の命は守られなかったという思い事実である。

防犯という機能は、「防犯件数」が明らかに出来ない以上、数値では語られない。あるとすればバッドシナリオを描いて、カメラがなければこれくらいの犯罪があっただろうねぇ、というしかない。しかしそれを立証させるのは悪魔の証明であり、「ないことを証明せよ」と言っているにすぎない。防犯カメラがダメだって事を追求するのなら、逆に防犯カメラがあることで「犯罪件数が増加した」ということを立証しなくちゃいけない。自らの立証責任をほっといて、悪魔の証明だけをさせるってところが超卑怯。

「監視王国、ロンドンでも防げなかったテロ」では、さらにひどい。2005年7月7日にロンドンの地下鉄で爆破テロがありました。防犯カメラが装備されていたにも関わらず。

 ところが、それでも事件は防げなかったわけである。そればかりか、イギリスの警察は、多数のイスラムの若者を逮捕したが、そのほとんどが無実、あるいは証拠不十分で起訴されなかった。

 さらに7月23日、ロンドンで、テロを警戒するあまり、警察官が地下鉄車内でブラジル人男性を射殺する事件が起きてしまった。

 当初警察は「不審な動きをしたため、呼び止めようとしたところ逃げた。追いかけて確保しようとしたところ、抵抗したため危険を感じて発砲した」と発表。

 ところが監視カメラや多くの目撃証言から、これがウソだということがバレた。

これも監視カメラが無いほうがいいという理由にはならない。さらにテロ後の過剰反応は、防犯カメラとは関係ない。むしろカメラのおかげで、警察のウソが見破ることができている。カメラ役に立ってるジャン。

「メディアの功罪」の章では、メディアスクラムについてふれられている。被害者の匿名/実名報道に関する話題なのですが、被害者やその遺族にたいする加熱報道をどうするかという議論です。メディア側は、「そんなもんは俺らが判断する」というスタンスで、被害者側は「被害者がイヤだといったら実名報道は止めて欲しい」とのこと。結局、議論は平行線のままで、警察が判断するということに落ち着いたようです。

「メディアの取材力」では、取材拒否をした3ヵ月後くらいにマスコミに訴えてきた遺族に対し、次のようにコメントしています。

つまりは、マスコミの側にもニュースの新鮮度がいる。取材拒否の後、3ヶ月も経って言われても、ということになりかねない。

結局は事実に迫りたいのではなく、遺族が一番心理的に堪えているタイミングの画が欲しいだけなんじゃないかと勘ぐってしまう。国家権力とマスコミのどちらが真実に迫れるかという議論の中で、マスコミ視点の「被害者鮮度に対するコンテンツビジネス上の価値」を語るのは信用を大きく損なってしまう。

さらに、「メディアの取材力」は続く。

では、本当に警察が実名を伏せれば匿名報道が続くのか。

犯罪被害者が世話になるのは、何も司法機関だけではない。例えば、死亡届も埋葬許可も行政だ。市町村などの地方自治体を取材すれば、死亡者はすぐわかる。

さらに、家族が亡くなって、葬式を行わない家はないだろうし、葬儀社に頼まないところもあまりない。基本的に匿名の被害者の身元を割ろうとすれば簡単なのだ。

被害者が隠そうと、警察が隠そうと、俺達は個人情報あさっちゃうもんねぇ。ということです。マスコミがもはや誰の見方になろうとしているのか分からない。

警察の一部の人に信用ならない人がいるというのは事実でしょう。しかし「したがってマスコミの方が信用できる」というのは全く論理がつながってはいない。両方信用できるケースもあるだろうし、両方信用ならないケースもある。「犯罪を減らす」というミッションのある警察に対して、被害者の鮮度を求めるマスコミの方が、この本の中では信用ならない存在に見える。

痛々しいのは、著者の大谷氏が「ジャーナリスト代表」目線で語っているということ。「勘弁してくれぇ」と思っている他のジャーナリストも居るんじゃないでしょうか。

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いじめ自殺を発表できないわけ

いじめ自殺の報道が最近盛んです。特にテレビ。報道に対していくつか突っ込みを入れたいと思います。

●校長が事前に知るわけが無い

校長が自殺前にいじめを知るわけないでしょう。今まで学校生活を送ってきて、校長とのダイレクトなコミュニケーションをとっ手いる人なんて稀。教育委員会や市長が謝罪に行っている映像が流れたりしますが、彼らがあらかじめ知っているわけがない。

じゃぁ事後対応を追及してみようかと。遺書が出てきていじめが原因っぽいのにどうして公表できないのか?

●保身が目的で公表しない?

これはこれであるかも知れない。否定はできない。しかし、大した事実関係も知らない教育委員会の一職員を捕まえて「いじめと認めるんですね!?」と詰め寄るレポーターは、事実に近づこうとしているようには思えない。

●学校と教育委員会には司法ではない

実はこの観点が大きく抜けているのではないかと思います。「いじめが原因でした。」と発表することは、自殺に追いやった「犯人」を特定することです。実はいじめ報道ではいじめっ子とその親は登場しません。先生がいじめのトリガーになったときには、いっせいに先生をたたきに行きますが、いじめっ子には一向にターゲットが向かない。

しかしながら、「いじめが原因」と学校関係者がメディアに向けて断言することは、「犯人の特定」「犯人に対する懲罰」をセットで行うことになります。クラスメイトの「子供」にも有罪判決を「勝手に」出してしまうことになります。恨みが書かれた遺書があったとしても、目の前にいる子供たちに対して、「はいこの子達が自殺に追いやりましたよ」とは言えない。言ってもいいんだけど、生半可な捜査ではそんなことは言っちゃいけない。普通なら裁判を経てやるべきこと。

●企業の場合

いじめは企業にもあります。パワハラみたいな言い方で扱われていたりもします。当然その調査は「○○ハラスメントホットライン」のような第三者機関が行いますし、最悪の場合裁判というケースもあります。企業の中では「コンプライアンス」の範疇の取り組みです。つまり法令順守。企業の努力がどうというレベルじゃなくて、法律の話。法律だから、第三者がドライに判断しなくちゃいけない。

教育現場も、自分達の中の人材だけで警察から司法までやろうとするから、荷が重過ぎて収拾がつかなくなっているんじゃないでしょうか。

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在日本朝鮮人総聯合会の空気

在日本朝鮮人総聯合会##のサイトを見てちょっと驚きました。祖国の文化はそれはそれで継承して、今の北朝鮮政府を応援しているわけではない、という対応をしているのかと思いました。

日本政府による「制裁」措置についてなどを見てみると、一組織として核実験に反対するわけではなく、むしろ制裁について強く批判をしている。

北朝鮮の瀬戸際外交による脅しやすかしが報道されるたびに、無関係な在日朝鮮人がいやがらせを受けるのはもってのほかだと思っていたのですが、在日朝鮮人の組織のトップが、瀬戸際外交を継承する形で談話を出すのは火に油を注ぐ結果になってしまう。

「勘弁してくれよ」と思っている在日朝鮮人もいるんじゃないかと推測します。

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異常な日本の新興市場

日経10/21朝刊17面「大機小機」より、日本の新興市場について。最近新興市場が低調です。原因の一つは新興市場に上場している企業が、上場するに値しないのではないかという疑念(本当かも知れないけど)をもたれていることがあるでしょう。

  • 6つもある証券取引所がすべて進行企業向けに市場を開設する国は日本以外にはない
  • 結果上場基準のゆるさを争うことになる
  • 問題をたどると縦割り行政
  • 金融庁の興味はもっぱら銀行
  • 企業の資金調達に関心を寄せている経済産業省は流通市場には興味がない

資本市場は、企業と投資家を結ぶ市場のはずなのに、双方にケアできる組織が存在しないというのが大元の原因なのではないかと。特に今は投資家保護の観点が薄い。

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人工中絶最小に

意外なデータがあったのでメモ。日経10/21朝刊38面(社会)より。

  • 厚生労働省の調査
  • 2005年度に実施された人工中絶は28万9000件
  • 過去最低
  • うち10代は3万件二年連続減少中
  • 1950年には100万台

あまり避妊に対する知識がなかった昔はどうしてたんだろうと思っていましたが、やっぱり中絶していたんですね。

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クレジット選民スタート

上限金利を下げようとしている貸金業規正法が10月末に提出される見通しですが、早速く副作用(というか本目的が分からんのですが)が出てきました。

以下日経10/20朝刊7面「始まった利用者選別」より。

「クレジットカードが取り上げられた」。八月から多重債務者向けの相談を始めた「生活サポート生活協同組合・東京 設立準備会」に、こんな苦情が相次いでいる。同準備会の相談員は「いずれも、3、4ヶ月の延滞。この程度でカードの返還を要求されることはなかった」と言う。

法案が成立すれば上限金利が下げられます。高い金利で借金をしている人を救おうという目的なのかも知れませんが、強制的に金利を下げたのなら、高金利で借りていた人は単に「借りれなく」なるだけのことです。金利はお金のレンタル料金です。サービスの価格は売る側と買う側の合意で決まります。国が価格を固定して、どっちかが不利な料金設定になれば、その場で「取引がなくなる」だけのことです。

人ごとに金利が違うのは、その人の信用が違うからです。信用が低い場合には貸し倒れのリスクが織り込まれて高い金利になります。高い金利は「借金を踏み倒す自由」が含まれているのです。低い金利に固定するということは、「借りる自由」「踏み倒す自由」を奪います。

もちろんそれでもいいという社会的判断はあるかと思います。支払いが遅れるようなヤバイ人には、お金を貸さない。延滞している時点でそれは借金なのだから、クレジットカードを持ってるだけで多重債務を許すことになる。だから3ヶ月の延滞は即退場。クレジットカードをもてない人も大量に出てくるでしょうが、大きな債務者を出す前にどんどん「選民」をする。

それはそれで秩序と言えないこともないが、それが貸金業規制でやりたかったことなんだっけ?って疑問は残る。

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TV番組が資産として計上される

日経10/19朝刊1面より、テレビ局の番組が資産して計上するための基準を官民で作る見通しです。

  • 現在はテレビ番組は資産ではなく一括費用計上
  • しかしテレビ番組の再利用は、テレビ局、ユーザともにニーズが高い
  • 来年3月までに具体案をまとめる
  • 米国では番組制作費は資産計上し、一定のルールで償却している

資産になるかどうかは、そのモノが複数年の売り上げに貢献するかどうかが原則です。過去の番組が長い期間にわたって売り上げに貢献するのならそれは資産という扱いになります。

投資家から見れば、優良なコンテンツをたくさん持っているところは、その価値も見据えて投資をすることが可能になります。

ただ今の段階で導入すると、テレビ局には分が悪い。現在は資産化していないので、本来ならバランスシートは薄くていいはずなのに、株価は資産に対してさして高くない。つまり、現段階でも投資家は、テレビ局の資産に対してあまり価値を認めていない。番組が資産化されても、投資家の評価が今のままなら、「宝の持ち腐れ」を明確にアピールするだけにとどまる。

もちろん投資家としては、宝のもちぐされっぷりを開示してくれるほうが、隠されるよりはずっといい。さらに、投資効率の悪さを投資家と企業が共有することで、「資産を有効活用しよう」という姿勢になれば、消費者はテレビ局で「死蔵」されている番組を多く楽しむことができる。

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熱狂なき株高

日経10/18朝刊16面(投資・財務1)より。

今、米国の株式市場は「熱狂なき株高」といわれています。株価は上がっているのだけれど、バブルかというとそうでもなさそう、だけど不安要素はいっぱいある、といったところです。

株高と熱狂の無さの内訳をピックアップ。

  • ダウ30種平均は過去最高
  • だけどダウの予想PERは23倍と割高感はさほどない
  • S&P500は2000年の最高値を10%下回っている
  • ナスダックは最高値より53%安い

ということで、ダウは高いけど利益に裏打ちされている、さらに市場全体が盛りあがっているわけではないということです。つまり伸びる余地はまだあってもいい。

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農協主導のエタノール燃料

日経10/17朝刊13面より、北海道農協がエタノール混合ガソリンを販売するというニュース。

  • 北海道農協が主体
  • 2008年をメドに販売
  • ガソリンにエタノールを3%混ぜる「E3」という燃料
  • てん菜、小麦、米を材料に作る

一方で、既に石油元売りと経済産業省の系列では、ETBE方式という別のエタノール燃料を発表しています。ETBE方式は2007年からのスタート。

E3は既にアメリカとブラジルでの実績が大きいので、世界的なスタンダードはE3の印象があります。

ニュースのポイントは、農業主導で燃料を作るという意思を明確にしたところでしょう。燃料という純粋に価格で勝負しなくちゃいけない領域で戦っていけるのかどうか不安ですが、それでも日本の国土で燃料を作ることが出来るのならリスクヘッジの観点では歓迎。

だけど、国内で作ったからと言って、海外からのバイオエタノールに高い関税をかけるのだけは勘弁。

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YouTubeは高くない

日経10/16朝刊9面、経営の視点より。

  • GoogleがTouTubeを約2000億円で買収する
  • Googleの時価総額は15兆円
  • 株式交換のための新株を発行しても発行済み株式は1%強しか増えない

2000億円というと、大手家電や自動車企業の工場のラインが一つできるくらいのイメージなのでまぁまぁ大き目の投資と思っていましたが、時価総額から見れば微々たるものだということ。

YouTubeがこれからどうなるのかはまだまだ分からないけど、こういうリスクを引き受けることが出来るというのも、時価総額が大きいからこそ。

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グラミン銀行とマイクロクレジット

ノーベル平和賞にムハマド・ユヌス氏が受賞しました。キーワードは「マイクロクレジット」。以下、日経10/14朝刊6面より。

マイクロクレジットとは

貧困撲滅のために低所得層に小額お資金を事業目的に貸し出す融資の仕組み。融資を受けた人々が小規模な商工業や農業などを営み、自活につなげる。貧困地域の女性らは土地など担保を持たず民間銀行から資金を借りられないが、この制度では資金を無担保で貸し出す。代わりに数人の連帯責任グループを結成させて返済の約束を守らせる。1970年代に南アジアで広まり、中東やアフリカでも導入された。リースや保険など様々な金融サービスに発展し、マイクロファイナンスとも呼ばれる。

グラミン銀行の2006.2までの業績。

  • 累計貸し出し額は53億ドル
  • 557万人の借りて
  • 借りてのうち96%が経済的、社会的に弱い立場にある女性
  • 返済率は98%

実際に貧困から抜け出した人が多いことが平和賞としての評価につながっているものと思われます。

説明を見れば分かるように、広い意味では普通の貸金業です。純粋に資本主義のフレームの中での経済活動です。ポイントは、「勤勉なのにチャンスに恵まれてない人」を上手く抽出した点でしょう。

単にお金を貧困層に「再配分」するだけでは解決できなかった問題を、宗教からも政治からも距離のある「銀行」という道具で解決している点がエエ話のところです。貸し倒れ率も低いので、銀行として経営も成り立っていると言っていいでしょう。単なる慈善事業ではないので、継続性がある。誰かがまねすることもできる。

グラミン銀行は貧困対策として優れているだけではなく、精度の高い与信ができているという点で金融業から評価をされてもいいと思います。

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米動画配信サイトシェア

GoogleがYouTubeを買収しました。日経10/11朝刊11面に、アメリカでの動画配信サイトの市場シェア(閲覧者数)がありましたので紹介(米ヒットワイズ調べ)。

YouTube 46.0%
MySpace 21.2%
Google Video 11.0%
MSN Video 6.8%
Yahoo! Video 5.6%
その他 9.4%

GoogleがYouTubeを買収したのは今回ニュースになっていますが、二位のマイスペースもGoogleは8月に提携しています。今回の買収で1位2位3位が連合となり、8割近いシェアを持ったことになります。

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Googleの株価はホンモノ

日経10/9朝刊9面「目立つ日米の時価総額格差」より。

  • Googleの時価総額は10/3時点で1184億ドル(14兆900億円)
  • 日本でこれを上回るのはトヨタとMUFJのみ
  • Googleの2007年の予想PERは30倍
  • GoogleはのROEは24%

ここから次のようなことが言えます。

  • Googleのような振興ITベンチャーが日本のトップクラスの企業の時価総額であるということ(当然アメリカにはもっとでかいのがごろごろしている)
  • ITベンチャーだからと言って、将来性だけを見越した割高な株価ではないということ

PERは株価と利益の比率です。利益をそのまま株主がもらえたとして、30倍ということは30年間で元が取れるという見方もできます。あまりに期待が先行した場合には、100倍を越えるPERのITベンチャーが見受けられますが、100倍というと100年かかって元が取れるということなので、意味のない数字です。Googleはまだまだ成長していますから、利益の成長を見越すと、30倍は割安かも知れません。

PERに対してROEは株価とは無関係に、「株主から調達した資本」と「利益」との比率です。これが24%というのは、企業としての「株主からの調達額からの利回り」を意味します。日本の家電の勝ち組とされている松下のROEは4.2%(2006.3期)ですから、その差は歴然としています。

製造業が日本の強みだと言っても、利益も資本効率も決してよくない。PC製造の本家であるIBMがPC製造から撤退したことを受けて、「アメリカに製造業で勝った」という認識は間違い。同じ投資をするのならより多くの価値を生み出すビジネスにシフトをしているだけです。

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日銀、株売却へ

日経10/8朝刊1面より。

  • 金融危機の時期に銀行から公的機関が株を買い取った
  • それを年内から10年ほどかけて市場売却をする
  • 買い取った株式の内訳(簿価)
    • 銀行等保有株式取得機構・・・1兆6000億円
    • 日本銀行・・・・・・・・・・・・・・・・・2兆円
    • 預金保険機構・・・・・・・・・・・・・1兆8000億円

預金保険銀行に関しては、日本長期信用銀クや日本債権信用銀行の株を引き受けて、それを新生銀行やあおぞら銀行に買い戻してもらっています。その上であと1兆8000億円残っています。

株式の内訳は簿価ということですが、買い取ったタイミングは日経平均が1万円を割り込んでいる時期に買っているので、かなりの含み益があります。

日銀が株を引き受けるという報道があったときには、銀行から日銀にリスクが移動しただけで、日本のリスクの解消には役に立っていないように見えたかも知れません。こんな形での反対もありました。
日銀の銀行保有株式買い取り 不良債権処理で国民の苦難増す

国際的にも、中央銀行が民間企業の株式を保有する例はない。本質上、通貨発行権を持つ中央銀行がリスクのある株式を保有することは、中央銀行の機能にとって自殺行為である。また、購入した株価が下落すれば、日銀による国庫納付金(注2)の減少を招き、結局、国民負担を増やすことにつながる。

ということでこの頃の「もっと株価が下がるかも知れないのに」という不安は、大きな含み益ということで勝負あったということになりそうです。ほとんど誰も評価していないですけど。

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新銀行東京の存在意義はもう無いかも

新銀行東京の貸し出しが伸び悩んでいます(日経10/7朝刊35面千葉首都圏経済より)。

  • 同行は東京都が2004年に1000億円を出資して設立
  • 都内の中小企業に資金を供給する位置づけ

しかし

  • 2006年3月期の融資・保証残高は計画の7割どまり
  • 融資の大幅な増大を前提に、高金利で預金を集めている
  • 今期の赤字幅が計画よりも酷くなる可能性がある

ということです。確かに新銀行東京の計画が立ち上がった頃は、「貸し渋り」「貸しはがし」というバズワードが飛び交っていた頃です。「じゃぁ俺が貸してやる!」という気概で立ち上げる気持ちは分からないでもない。

でも、今となっては、大手銀行も中小企業向け融資に積極的です。また何よりも、融資をする側にとっての競合は、企業のフリーキャッシュフローです。外から借りてこなくても、十分な利益があれば再投資が可能になる。

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お砂糖が値下がりした

「原油高・砂糖高」の意味にあるように、原油高から粗糖の価格に影響を与えていました。理屈はこうです。

  1. 原油が高くなる
  2. 原油代替エネルギーとしてのエタノールが注目される
  3. サトウキビからエタノールが作られる
  4. お砂糖の供給が減る
  5. お砂糖の価格が上がる

他にも中国が経済成長とともにお砂糖をよく消費するようになったという理由もあり、どう転んでも粗糖は上がるものだと思っていました。さぁ今のうちにサトウキビ畑を買い占めろ!とばかり思っていました。

ところが、原油高が一服すると、代替エネルギーの注目度も一服(というか暴落に近い)しました。日経10/7朝刊25面「市況診断」より。

  • ニューヨーク先物での数値
  • 2006/2/3に1ポンド19.3セントの高値
  • 2006/9/25には10セントを割り込んだ
    これは高騰前の2005/6の水準

ということでこの短期の間に倍になったり半分になったりと荒い値動きをしています。

ブラジルは世界で最も安価に砂糖を生産できるとされていますが、その生産ラインの採算ラインは推定10セント程度です。つまり今はちょうど採算ラインぎりぎりということです。

サトウキビ畑買い占めるのやっぱりナシ。原油が安すぎる。

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持たざるものも学校経営可

日経10/5朝刊1面より、政府が株式会社による学校経営を全国に解禁することを検討してるという記事。

  • 構造改革特区でのみ認められていたが、目立った弊害はない
  • 学校に土地・建物の所有を義務付けている学校設置規制の撤廃も論議

二つ目が特に重要。今までは土地・建物の所有を義務付けている。柔軟な資金調達が禁止されている状態で、なおかつ土地と建物は自分の物でないとダメというルールでは、よほどの資産家でないと学校は経営できません。

そういったおかしな規制がなくなるということなので、大変喜ばしいのですが、企業から見ればまだまだ生ぬるい。「持つべきではない」ところまで行ってみるのはどうか。企業の場合は土地や建物を持っているだけでは、特に顧客を喜ばすことにはつながらないので、今持っている自社ビルを証券化して、広く薄く所有権を渡して、会社はそのまま賃貸として借りるというケースもあります。もちろん、最初から賃貸という企業も多い。意味もなくでかい自社ビルを所有してたりすると、株価よりも自社ビルを含めたの資産価値のほうが高くなったりするので、株主にそっぽを向かれて株を売られてしまったりする。

なので、学校もどんどん証券化や賃貸を推し進めてみることで、バランスシートを圧縮し、より少ない資本で本業の教育にキャッシュを投入することができる。

でも、感覚的に、小学校の建物や校庭が賃貸というのはイメージしにくい。「モリビル65」とかって校舎に書いてあるの。あ、ちょっと通いたいかも。

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原油12-15%下落

日経10/3朝刊24面「DD原油、主要6油下落」より。

8月に比べて9月の原油が12-15%下落とのこと。

原油に投機マネーが流入していたのは事実でしょうが、短期的な資金は上がりすぎを察知した時点で、利益確定売りに走り、値上がりは一服します。需要家もこの値上がりが「短期的だ」と思えば、しばらくは買い控えるので、需要が減り、やっぱり値下がり要因になります。原油というきな臭いエネルギーであっても、市場原理がうまく機能していると言っていいでしょう。

需給バランスを考えて、産油国には減産機運が出てきました。
ベネズエラ:原油、日量5万バレル減産-南北アメリカ:MSN毎日インタラクティブ
出し渋ることで値上がりを狙うという利益追求の動きは、結果的に貴重な資源を有効に使うことにもつながります。ここでも市場原理が結果的に上手く機能しています。

ただし、絶対的な価格を見る限り、今の原油もガソリンもあまりに安すぎて、本格的に原油を節約するという動きにはまだ到達できていません。日本の場合ガソリンは4割ほどが税金なので、実はめちゃくちゃ安い。

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「論理サバイバル」

読みました。

パズルとして楽しめるものから、一般的に議論されていることの矛盾点なども例題として挙げられています。

例えば、「クローン人間を作ってはいけない」という根拠を挙げて、なおかつそれを批判してみるという例題。

  1. 不自然であるという理由
    • 常に歴史は不自然に満ちている。何にも逆らわないということこそ、実は不自然。
  2. 高い確率で奇形が生じ、短命に終わる
    • これではクローン人間禁止ではなく、「クローン技術の発達促進」という結論が出てきてしまう。
  3. A.本人が「他人の分身である」と気づいたとき本人が傷つく
    B.人を道具として扱うことになる
    C.親と同レベルの業績を期待され、開かれた未来を奪われる
    • Aに関しては、クローン人間を差別することを前提にしているが、出生方法による差別はもともとあってはならぬこと。Bに関しては、臓器を生産する道具であることを前提にしている。Cは遺伝子のみで能力が規定されるというこれも誤った認識を前提にしている。
    • つまり、批判をする側がクローン人間を標的に尊厳を否定しながら、「尊厳を持たぬ人間を作るな」と批判をしているにすぎない
    • これらは全てマッチポンプ論法

マッチポンプ論法は、批判のための批判の際にはよく登場します。勝手に作られた前提であっても、結論の妥当性だけに目を奪われて、前提を疑うことを忘れがちです。

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中小から見た景気

日経10/2朝刊3面、月曜経済観測より、大阪商工会議所副会頭、小池俊二氏インタビュー。

中小企業の中で好不況が分かれている原因について。

中国特需による恩恵の有無が大きな原因だ。繊維産業などは中国からの安価な輸入品との競争にさらされている一方、中国向けに特殊金属や一般機械などを輸出している中小企業は伸びている。

単に安いだけの繊維が競争力が無いのは、もはや景気とは無関係でしょう。高付加価値でもない限り、コモディティとしての繊維産業はどちらかというと新興国が手をつける産業であって、日本はとうに卒業していてもいいはず。

繊維や家電メーカーはかつて全国各地に工場を設けたが、国際競争の中で海外に移転せざるを得なくなり、地方を支える産業が喪失した。

これも実感します。日本の中であっても、地方に行くにしたがって、物価や地価はずっと安くなっていいはずで、低コストでモノを作ることができてもいいはず。ところが、いまいち誘致できていない。この辺の理由は企業それぞれの判断でしょうけど、「それほど安くない」のかも知れません。

実際に地方が本当に低コストかというと疑わしい印象があります。家賃は圧倒的に安いはずなのに、なぜか人件費はさほど下がらない。下手すりゃ「僻地手当て」を出さなくちゃいけない可能性だってある。外食もさほど安くはない。

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原油代替エネルギーへの期待と失望

原油代替エネルギー関連の記事をこのブログでも追いかけていますが、期待が高まりすぎて大きく失敗している例もあります。アメリカのファンド「アマランス・アドバイザーズ」は、9月に60億ドルの損失を出しました。

日経10/1朝刊5面「資源ウォーズ」より

短期的な相場変動に賭けるヘッジファンド。エネルギーに投資するヘッジファンドの運用資産残高は670億ドルと、過去に年間で二倍に膨らんだが、変動リスクにさらされている。天然ガス先物相場は過去一年半で100万BTU(英熱量単位)当たり6ドル→15ドル→4ドル台と乱高下。アマランスは運用を誤れば巨額の損失を出すリスクを改めて浮き彫りにした。

原油は限りある資源ですから、長い目で見れば、原油代替エネルギーの開発に投資をすることは正しいし、省エネルギー技術に投資をするのも悪くはない。ただし「長い目で見ればという」制限がつきます。

短期的には原油価格は上下しています。投資家は高くなれば利益確定売りをしますし、高くなれば産油国もあっけなく増産し、供給を増やしてしまいます。原油価格が、ガソリン価格から決まっているという商慣習も、資源の希少さとは無関係に価格が動く原因の一つです。

今投資マネーを集めている原油代替エネルギーは、実は原油が「予想よりも高くならなければ」あっけなく、単なる「割高なエネルギー」という扱いになるあそれもあるのです。

「もし原油が1バレル40ドル台に落ちると採算の合わないエタノールプラントが続出する」と買収ファンド幹部は明かす。

9/29現在で原油は1バレル62.9ドルです。まだまだ高いですが、8月は75ドルを越えていました。「まだまだ上がるんじゃないか」という期待(というか原油への失望)が代替エネルギーへの投資を生んでいたとしたら、今原油が下がったことにより、代替エネルギーへの将来性(短期的な)に曇りが出てきます。

ちなみに原油1バレルは約160リットルほどです。「原油の代わり」を作るのであれば、原油と同じ特性として、160リットルを数千円で売れるくらいのコストで作らねばなりません。仮にそれがアルコールだとして、160リットルを数千円で出荷するのは厳しいということはイメージできるでしょう。原油代替エネルギーの競合は「安い原油」なのです。

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労働分配率

日経9/29朝刊19面「大機小機 労働分配率と日本の美しい心」より、労働分配率のネタ。

労働分配率というのは、企業の付加価値のうちどの程度人件費に向けられたかという比率です。人件費以外は利益となり、利益を「株主のもの」と捉えると(なかなかそうはなってくれていないですが)従業員と株主の「山分けの比率」という見方ができます。

日本もやっと利益を株主に還元する時代がやってきたようで、昨年度の支払い配当金は十年間の3倍になりました。

一方、付加価値額が史上最高を更新する中で人件費削減が続き、労働分配率はピークから10ポイント低下し、55%に落ち込んだ。過去30年間平均の60%を5ポイントも下回る歴史的低水準だ。

そして記事のトーンとしては、個人消費に火をつけるために労働分配率を過去平均的な比率まで引き上げるべきだとのことです。

はたしてそうか?ほんとにいいのか?たまたま今業績がいいからそんなこと言ってるだけではないのか?

労働分配率を一定にするということは、利益が下がると給料も下がるということ。不景気の時代には、利益は限りなくゼロに近くても、お給料は支払われる。したがって不景気の時には労働分配率は上がる。そして景気が悪いときには、株主は大きな損失を被り、労働者は企業が赤字であっても給料を受け取る。

そして今は逆に付加価値が大きく出ているステージであり、お給料が一定なら労働分配率は低くなるのはある意味当然のこと。

また、日本企業の利益が過去最高とはいえ、過去に比べて最高であるというだけで、資本効率を米国と比べれば大きく見劣りがします。言うほど株主は優遇されているわけではない。

仮に「株主と労働者を公平にする」という視点から、労働分配率を一定にする施策を打ってもいいのですが、その場合には労働者が企業業績のリスクを背負うことになります。それはそれで、株主にとっては「利益が安定する」ので大喜びされるでしょう。しかし労働者が株主なみのリスクに耐えることが出来るとは思えないのです。

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