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仕掛け、壊し、奪い去るアメリカの論理

「マネー時代を生きる君たちへ」というサブタイトルから、どうやってカモにならないようにするかという話かと思ったら、ワリと何も行動せずに被害妄想ばかりが目立った。

著者に経済や金融の知識はなく、断片的な社会面ニュースで世界経済を語っている感がある。

例えば

  • 日本の金融の代表=村上ファンド
  • 日本の株式の代表=ライブドア
  • 世界の株式の代表=エンロン

だから、金融なんてろくなゲームじゃねーんだよってことを言ってる。

だけどちゃんと「統計」で見れば、ライブドア事件の前後で日経平均は大した影響をうけちゃいない。なんならライブドアが退場してくれたおかげで、東証のシステムは安定している。エンロン事件の後でもダウは大して影響を受けちゃ居ないし、ウォーレンバフェットも相変わらず金持ちです。

株式投資をした人が読めば分かると思いますが、著者は株買ったことねぇな、というのが分かると思います。

普通に株買ってりゃいいものを、

  • ライブドアがあったから
  • エンロンがあったから

株式投資において正攻法の勝ち目なんて無いんだYO!って「ゲームに参加しない理由」を並べて動こうともしないし、勉強しようともしない。じゃぁ他の手段として「デイトレード」しかないと言ってる。デイトレードは疲れるからヤダってことで、最後の最後は「M&A銘柄をあらかじめ買っておくしかない」ってことが結論。

極端だなぁ。ポートフォリオ理論なんて無視。

M&A銘柄をあらかじめアンテナ張って買うのは否定しないけど、M&Aで株価が劇的に上がるのって、その前がろくでもない経営のときに限られる。M&Aが起こらなければやっぱりその銘柄は資産に対しての利回りが低いまま。その上被害妄想だけは立派だから、あっけなく買収防衛策を導入したりする。宝くじ感覚で、「買収されやすそうな銘柄」をポートフォリオに少しだけ組み込むくらいが個人的にはオススメ。

確かにこの本の書いている通り、世界の金融のルールの中で活躍しているのはアメリカが多いのは事実だけれど、アメリカだけに都合が良いように出来ているわけじゃぁない。イギリスのウィンブルドン現象はその後のイギリス金融の復活を実現しているし、ドバイは原油に頼らずに金融センターとして一大産業になっている。日本がずば抜けてへたくそなだけであって、「アメリカの論理」ではないと思う。

そうは言っても、この本はある程度の価値はある。日経も読まず、株式投資が怖くて動けない人にとっては、「動かなくていい理由」を並べてくれているので、自尊心を維持できるのです。

「英語は絶対勉強するな!」みたいなタイトルの新書があって、ゲーム脳くらいの怪しげな脳波測定でそれっぽい理由を並べれば、英語が苦手な人にはそこそこ受けるでしょう。

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