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MSが一ドル売り上げるたびに、パートな企業全体で8ドル近い収入が生まれる

日経2008/06/22朝刊地球回覧より、ビルゲイツのこれまでの功績について。ソフトウェア産業そのものをつくりだしたという記事。

調査会社IDGによると、世界のIT(情報技術)業界で3500万人が働く。うち基本ソフト「ウィンドウズ」などMS製品に関わる人が4割を占める。MSが1ドルを売り上げるたびに、パートナー企業全体で8ドル近い収入が生まれる。

巨大な城下町ができあがっているという状態。日本国政よりもはるかに世界経済に与える影響は強いでしょう。カンファレンスなどにいっても、MSゾーンのブースの中に大塚商会などのパートナー企業が出展していたりします。

もちろん金のつながりと情のつながりは別物で、MSをライバル視している企業もやまほどあります。ビルゲイツが寄付した学舎で学んだ学生が、Googleを興し、今やMSを脅かしていたりと、MS帝国の外でも大きな意味での生態系が出来つつあります。

ウィンドウズ帝国を築いた英雄だけでなく、シリコンバレー企業を奮い立たせる適役。その役割を見事に果たしてきたことがゲイツ氏最大の功績かも知れない。

MSの城下町に入るもより、別に城を建てるもよしってことです。本当にMSを脅かす存在になりたいのなら、単に売り上げ規模でMSに近づくというだけではなく、「どれくらいの雇用を生み出したか」という視点もあれば、本当に城下町ができる。

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三洋、エネループ増産

日経2008/06/19朝刊企業面「ニッケル水素電池、産油、年間5000万個に倍増」より、三洋がニッケル水素電池(エネループ)を増産するという記事。

  • 生産量を2008年に前年度比二倍の年間5000万個に増やす
  • 国内シェアは約3割でトップ
  • 三洋は営業利益の約5割を二次電池と太陽電池から稼ぎ出す計画

一方でニッケル水素電池市場はどうか

  • ニッケル水素は一個300円程度で使い捨て電池の約3倍の価格
  • フル充電すれば一回あたり約4円なので、ユーザはすぐに元は取れる
  • 年間需要は、
    • 使い捨て約43億個
    • 充電池は18億個

需要を見ると、使い捨てが3割くらいになっているので、かなり攻め上がってきています。三洋は元々一次電池のシェアがないので、充電池への置き換えは攻めの姿勢で望むことが可能です。

私もWiiリモコンの中はエネループです。Wiiの販売とエネループには相関があるんじゃないかと推測。

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フランスは脱火力発電

日経2008/06/18朝刊1面より、フランスのエネルギー政策について。

  • フランスは2020年をめどに石油、石炭など化石燃料の発電所での使用を事実上ゼロにする
  • 風力発電などの再生可能エネルギーの比率を20年までに全体の20%までに引き上げる
  • 現在、原子力発電が発電量の80%近くを占めている

原子力8割で、再生可能エネルギー2割で、100%まかなえるという理屈のようです。

気になるのは、原子力も風力も、電力のコントロールがしにくそうに見える。巨大な電池でもつくる必要があるんじゃないかと思う。

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ブラジル ペトロブラス E3を日本で販売

日経2008/06/18朝刊一面「ブラジル国営ペトロブラス バイオ燃料 日本販売」より。

  • ブラジル国営ペトロブラスが年内に日本でバイオ燃料を販売
  • 販売するのはガソリンにエタノールを3%混ぜた「E3」
  • 1リットルあたりの卸価格は通常のガソリンより1-2円安くなる見通し

1-2円というのが微妙すぎる。今のガソリン価格が「バブル」とするなら、なんかの拍子にE3のコストメリットはなくなる。数円ならガソリンスタンドの誤差の範囲。

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なぜ新書が増えているのか

新書が増えています。2007年のノンフィクション部門でのベストセラーのうち9冊が新書です。ノンフィクション系の新刊点数は、2007年に1796点と、00年に比べて42%増と点数そのものも増えています。日経2008/06/15エコの探偵団より

一消費者としては、新書は雑誌の延長のように買えます。価格が安いので慎重にならずに買える。

出版社の話を総合すると新書は装丁のデザインや紙質も同じで、作品ごとに異なるのは題名や帯くらい。単行本と比べて費用が割安だ。ページ数も少なめにして、価格を単行本の半分程度に抑える。本を出すスピードも速まり、話題のテーマを機動的に書籍に出来る。重版にかかる時間も一週間程度と単行本の半分で済むケースが多い。需要に応じて「増産」しやすい形態だ。

判型や装丁が違うとまるで違う印刷・製本ラインを用意しなくてはなりませんが、新書で紙・判型・装丁が同じであれば、新しいタイトルであっても同じラインが使える。旬の話題で編集するというあたりも含めて、企画から印刷まで雑誌のような流れになります。

書籍というアートは単に文章だけではなく、装丁や紙質含めてのトータルで愛着をもったりするのは事実ですが、それがゆえに高価になりすぎたり、重版が間に合わなかったりする。読者の手元に届いてこその出版業ということを考えれば、新書化の流れというのは出版業界全体にもいい血流と言えるでしょう。

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フォレスター電気がとんがっている

日経2008年6月15日朝刊 『価値を創る 停滞を超えて 第一部 新しい競争軸3 第二の故郷 新興国 駆ける「もの作りの民」』より、フォスター電機の話題。

フォスター電機というのは、アップル向けのイヤホンなどを手がけていますが、OEMが主流なのであまり社名はメジャーではない。その点では船井電機などと似ている。

「次はラオス、その次はミャンマーだ」。5月中旬、米アップル向けイヤホンなどを手がけるフォスター電機社長の東泰雄(62)は、3年後の工場候補地を探してラオス・タイ国境音メコン川流域を調査した。

40年前から低賃金と勤勉な労働力を探して10カ国を転々とした『アジアの渡り鳥』。国内工場は2002年までに閉鎖。どの国にも他社より2年早く進出し、中国の技術者を送り込み新工場を半年で稼働させる。「現地の賃金が上がる前に存分に稼ぐ」(東)

(中略)

当初、株式市場は同社を「空洞化銘柄」と見なして評価せず、5年前の時価総額はわずか120億円。今は「果敢な戦略」が支持され約5倍に膨らんだ。

似たように、海外に生存拠点を展開していたアイワや赤井電機の例を見ると、外部から見れば当時は「製造業が製造をあきらめた」ように見えるかも知れませんが、新興国に製造拠点を「立ち上げる」というのも結構大変なことであり、その大変なことが出来るというのは競争優位に働きます。

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さっき小学四年生に説明した株式会社の仕組み

日記です。リビングのPCで株価チャートを見てると、娘(小4)が「これは何?」と聞いてくる。

「うーん、会社の値段」

「会社売ってるの?」

「うん」

「売ってどうするの?」

「お金払うと持ち主になれて、持ち主はお金もうけした後の余ったお金を分け合うの」

「へぇ、お父さんは持ち主になってるの?」

「うん」

「その会社には行ってるの?」

「行ってないよ。だけど時々余ったお金をもらえている」

「いいねぇ。働くときにはお金払うの?」

「いや、働くだけならお金は払わないでいい。持ち主になるときだけお金を先に払う。持ち主はたくさん居て、余ったお金をみんなで分ける」

瞬時に説明を求められた割には、うまく説明できたんじゃないかと思う。

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日雇い派遣原則禁止について

厚生労働省が日雇い派遣の原則禁止を検討しているとのこと。公明党の太田代表も「日雇い派遣の原則禁止」を訴えています。日経2008/06/14朝刊ほか。

誰もが「じゃぁその人たちはどこに行くの?」という簡単な想像ができちゃいますが、提案の中にはそれは踏み込まれてない。保護したいのか「なかったこと」にしたいのか。

もちろん派遣という形態だけが禁止されているので、日雇い労働は禁止されてはない。どこが違うかというと、労働者の確保の仕方が個別に企業ごとにやらなくちゃいけないというところ。知名度の低い中小企業は人手が足りなくても採用は難しいでしょう。

日雇派遣と日雇い労働だとどっちがという話になってきますが、同じ日雇いなら派遣の方がまだましかもって思う。派遣は派遣会社という存在があるので、問題が表に出やすい。社員から派遣になった人に話を聞くと、社員の方が労働環境が酷いというのがきっかけだった。たしかに小さな企業の社員の場合は残業代という概念さえないケースがある。

派遣という形態そのものが「問題が多い」のか「問題が発覚しやすい」のかで、対応はまるで違ってくる。

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日本の食糧自給率が低い理由

日経2008/06/11経済教室より、山下一仁氏の記事。日本の食糧自給率が60年の79%から39%に低下している点について。

これは食生活の洋風化のためだとされる。そうだとしても、米価を下げ麦価を上げる政策をとれば、自給率はこれほどまでは低下しなかったはずだ。だが現実には逆の政策が採用された。60年代には米価を大幅に引き上げる一方、麦は生産者価格を物価上昇程度しか上げず、消費者価格はむしろ引き下げられた。

高米価はコメ消費減に拍車をかけた。一人あたり消費量は過去40年で半減したが、米は生産が刺激されて過剰になり、70年から40年近く減反や転作による生産調整を続けている。一方麦の量は、その後の振興策にもかかわらず、100万トン強と60年の4分の1の水準にとどまる。現在でも500万トン相当のコメを減産する一方、700万トンの麦が輸入されている。

95年の食管制度廃止後も、米価を維持しようと生産調整が続いている。これは供給制限カルテルで、高い価格というコスト負担を強いられているのは消費者である。

日本の農家を守れと言って、高米価政策を続けても、どんどん消費者が逃げていくだけ。消費者が逃げているのが、「コメ」からなのか「高いコメ」なのかは分からないけど、いずれにしても、「コメではない消費可能な農作物」もしくは「安いコメ」のいずれかを作らないと、日本の農業市場そのものが無くなってしまう。

自給率と一言で言っているけど、「給」に対する「需」にも目を向けないと、自給率は上がらない。

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穀物の上値余地はまだあるみたい

穀物相場が高騰しているのは、投資マネーが流入しているからという見方があります。普通に投資対象になっているのは事実でしょうが、商品市場全体の中では穀物の比率はさほど増えていないとのこと。日経ヴェリタス2008/06/08より。

単なるバブルならそのうちはじけるのですが、実需に基づいているとなると値崩れも期待できない。

例えば、大豆は3月に1ブッシェル15ドル台の高値をつけた。だが、現在の物価水準で換算した実質ベースでは1970年代前半の36ドル台が最高値となる。さらに20ドル上昇して初めて、名目と実質の両方で最高値に到達する。最高値を名目ベースと実質ベースで比較すると、トウモロコシは7割、小麦は4割の「上値余地」がそれぞれあることになる。

穀物は経済成長とともに生産性が上がってきたので、物価上昇に比べると相対的に値下がりがしていた。そういえば70年代には「食糧危機」がまじめに語られていた記憶がありますが、ここしばらくは聞いてない。それが、いよいよまじめに食料が必要になってきたということでしょう。

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TCIの矛先は国から持ち合い先へ

日経ベリタス2008/06/08より、TCIアジア代表、ジョン・ホー氏インタビュー。

政府からはJパワー株買い増し中止の命令を出されちゃいましたが、買わなくてもちゃんと株主総会で要求が通ればそれもよし。

ということで今度はプロクシーファイトに突入です。Jパワーへの増配要求は去年もやって予想外に他の株主の賛同が得られませんでした。

持ち合い先や取引先の株主が、純粋にリターンを追求する投資家の利益を損ねている

特に大株主の日本生命保険を名指しで非難しています。持ち合い株主にはそもそもの投票の棄権を求めています。

純投資の少数株主とは異なる計算が働いて、会社側提案を支持している。たとえば株式の持ち合いを減らすTCIの提案が承認されれば、自社株が売却されてしまう。だから反対するのだろうが、これは壮大な利益相反であり、法の規定以前に、投票を控えるのは当然だ。

TCIが言っているのは確かに正論なのですが、持ち合いという行為そのものが「利益」「投票権」を株主から「薄める」ということがそもそもの目的なので、持ち合いながらも投票権を放棄するという選択は彼らはとらないでしょう。

そもそも持ち合いそのものが、常態化してしまっている日本の現状からなんとかしないといけないでしょう。

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Don't Shoot The Messenger

「Don't Shoot The Messenger」というのは、直訳すると「伝令を射殺するな」ということになりますが、「問題を報告した人を罰してはいけない」という意味です。

現場の正確な情報が欲しかったら怒ってはいけない。怒られると分かっていたら社員は悪い話を上げません。(日経2008/06/02 北城烙太郎氏 私の課長時代)

リーダーが状況を把握していた方がチームは成功する可能性が高まるということをメンバーには理解してもらうというのがリーダーとしての大前提。

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「市場原理主義」という短絡

日経2008/05/31大機小機より、市場原理主義批判をしている人への批判。以下ポイント。

  • 江戸時代から市場原理は存在した
  • 負のレッテルを張り議論を封じるのは知的怠慢
  • 市場原理「主義」者なんて本当に居るのか?

急にグローバル化で海外から市場原理が持ち込まれたように思う人も居るけど、単に勉強不足なだけで、市場原理は普通に昔から存在した。金融派生商品のようなイマドキのモノも昔からある。井原西鶴の「日本永代蔵」の一説より。

北浜の米市は日本第一の津なればこそ、一刻の間に5万貫目のたてり商い(思惑売買)も有る事なり。その米は、蔵々に山を重ね、夕の嵐、朝の雨、日よりを見合わせ、雲の立ち所をかんがえ、夜のうちの思い入れにて、売る人有り、買う人有り、一分二分をあらそい、人の山をなし。

大阪の米市のシーンです。後に先物取引の先駆けとなります。目の前の米ではなく、買う権利を買ったり売ったりとうことをしているわけです。未来の米の価値を必死で計ろうとしている人たちが、市場に集まって、売ったり買ったりしている。ある人にとっては今の現金の方が嬉しいし、ある人にとっては未来の米を買う権利の方がうれしい。

私が思う市場原理の基本は、こんなところ。

  • 資産(何かの権利も含まれる)を持つ自由
  • 欲しい人に売る自由
  • 要らない人から買う自由

法的な自由だけではなく、実際に取引する市場があることが基本です。実はただこれだけのことです。何もイデオロギーがあるわけじゃない。

むしろ個人が自身の持ち物を売る権利を奪うことの方が、よほどの大義名分が必要なんじゃないかと思う。

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売りと買いをあわせて優待だけもらう方法

信用取引というシステムを見たら、誰もが「これ売りと買いを組み合わせればリスクなしで株主優待だけがもらえるんじゃない?」と想像するもの。だけどうまくいかないというケースが、ヴェリタス2008.5.25にありました。

  1. フランスベッドホールディングスには1万円相当の優待品がある
  2. 3/25の権利付き最終日の寄りつきで売りと買いを1000株ずつ成立
  3. 翌日の権利落ち日に反対売買して手じまい
    (ここまではリスクなしで優待がもらえるはず)
  4. 空売りが多かったため、25日の空売りに逆日歩がついた
  5. 逆日歩は一株あたり12円、1000株で1万2000円。
  6. 優待と相殺するとマイナス

逆日歩とは、「ぎゃくひぶ」と呼びます。あまりに空売りが増えると、別の投資家から株を借りる必要があり、そのレンタル料を逆日歩と呼んでいます。

うまい話は転がってないということです。

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減反政策見直しへ

世界的食糧価格高騰、官房長官「コメの減反見直し必要」 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

町村官房長官は31日の都内の講演で、世界的な食糧価格高騰への対応策として、コメの作付面積を減らして生産量を抑える生産調整(減反)を見直す必要があるとの考えを示した。

町村氏は、「世界で食糧不足の国があるのに、日本で減反しているのはもったいない。減反政策を見直していく必要があるのではないか。農地政策の根本にさかのぼって今の農業政策を見直すことが、世界の食糧価格高騰(への対応)に貢献できる道ではないか」と指摘した。

欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は5月に農地の減反を全面的に廃止する農政改革案を発表している。

さらに日経2008/06/01朝刊より

日本人の米離れが進み、現在、主食用のコメは国内の水田の6割程度で生産をまかなえる。
(中略)
そもそも日本のコメは国際的な価格競争力が低い。日本のコメの生産コストは米国の8倍程度。そのコメを国際価格の高騰で調達が難しくなったアジアやアフリカに商業ベースで輸出できるかは不透明。

「不透明」と書いていますが、日経新聞は「無理なんじゃない?」というトーンです。高くて日本人にも毛嫌いされているのに、それを世界に輸出できるレベルまで生産性を高めることが出来るのかと。

減反政策というものそのものが、生産を絞って価格を高値につり上げるという消費者軽視の政策です。コメの価格が高くなるだけではなく、補助金も使われるので、納税者と消費者の両方から財を農家に移動しているということになる。それで日本の農業が成長するならいいのだけれど、かえって弱体化している。

さしあたって、海外に輸出できる価格競争力をつけるには、コストを1/8にする必要がある。世界に供給するには量も必要なので、農家の体制はそのままで生産量を8倍にするというのがいい。8倍作っても収入が変わらないというと農家は不満かも知れないけど、毎年生産性を二倍にして3年つづけば8倍。そこそこの厳しさ。

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