水村美苗氏インタビュー
日経2009/02/21朝刊文化面より、水村美苗氏のインタビュー。『「漱石が消えた教科書」どうしたことか』より。水村美苗氏と言えば、「日本語が滅びるとき」でフィーチャーされている人ですね。
英語やフランス語などの「普遍語」の翻訳を通じて、日本語が(例えばPhilosophyに対する「哲学」など、普遍的な概念を備えた)「国語」となったのが明治期。背景には印刷資本主義の発達や西洋の植民地にならなかったという幸運があったわけだが、非西洋では特異なケースといえる。
その結果、日本文学は海外で「主要文学」と認められた。当時生まれた近代日本文学は、読み継がれるべきキャノンであるはず。なのに「教科書から夏目漱石が消えた」という話を聞くと、何が起こっているのだろうかと思わざるを得ない。
(本への反響の大きさを通じて)ブログの影響力の強さを感じた。同時に「英語の世紀」に入って、日本語について考える人が増えたのかとも感じる。明治の人々にとっては、日本語は自分のものだという確信を持てなかったと思う。現代の日本人も日本語を当たり前の存在と思わずに、選び直すような姿勢が求められているのではないか。
(現代文学の批判のようにとられるが)これだけの人が書いているのだから、良い作品がないわけはない。作家は自分の作品でベストを尽くすしかない。ただキャノンに積極的に触れる読者の層が、厚みを持って存在してほしいとは思う。
これは日本語なのか?印刷資本主義って何?キャノンって何?この段落で日本語が破綻していないか?日本語が滅びることを憂う前に、コミュニケーションが滅んでいないか?
ちなみにキャノンというのは「聖典」という意味らしい。いつから文学は宗教になったのか。そして宗教なら、なおさら教科書に載せる合理的理由は存在しない。
夏目漱石はそりゃぁ面白い。だけど聖典扱いしちゃぁ夏目漱石に失礼。エンタテインメントとしてのプロダクトでしょうに。
ちなみに教科書に載った消えたで大騒ぎするケースが見受けられますが、いざ子供をもってできあがった教科書を見ると、「はい。気を使って置いときましたよ」というレベルの編集になっている部分があって、教材として気の毒な状態になっています。大人の主義主張を混じらせた結果「トレーニング」としての教育がおろそかになっているのを残念に思います。
少なくとも、訳のわからんカタカナで炎上さえたり煙に巻いたりする大人にはなって欲しくないなぁ。
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Comments
文学の発生と宗教の発生の類似はずいぶん前から指摘されています。ここでいわれているキャノンとは、本来なら古典という意味をもう少し正確に、20世紀の終わりに表象関係のパラダイムが一新されたことを踏まえてキャノンという言葉が使われています。印刷資本主義は、商人資本主義から産業資本主義へと移り変わったときのことを言った、水村さんの造語ではないでしょうか。夏目漱石はエンターテイメントも書きましたが、基本的に近代文学は国家ーネーションの形成に必要不可欠でした。つまり歴史と不可分なものです。あまりに人文系の知識がない方が粗雑な批判をされるのは少し水村さんが可哀想に思えたので。
Posted by: s | 2009.06.11 at 06:06 AM
e^iθ=cosθ+ i sinθです。
θをπとしたとき、有名なe^iπ+1=0になります。
あまりに理数系の知識の無い方が、粗雑な理論展開をされるのは、すこしかわいそうに思えたので。
Posted by: まうお | 2009.06.11 at 10:31 PM
まとめると、日本語でOKということですね。
Posted by: 山本ゆうご | 2009.06.12 at 03:20 PM
水村さんの「日本語が亡びるとき」を読んだものです。
タイトルだけをみて、日本語批判の本と勘違いをしたんですが、
実際に読んでみると細かく日本語の歴史、漱石について研究されているのがよくわかりましたし、この本を読んで漱石全集、その他日本の近代文学(として水島さんが本の中であげる著者の作品)に興味がわきました。一度、本を読まれることをお勧めいたしますよ。
Posted by: 櫛 | 2009.08.11 at 10:21 AM