「 ソニーは甦るか」読みました。
これも釣りっぽいタイトルで、あまり期待せずに読んでみたパターン。
そして内容は薄っぺらい。
「甦るか」というタイトルに対して、何を持って「死んでいる」と見なして、何をもって「生き返ったか」を全く定義することなく、ひたすらノスタルジーに浸っているだけ。
せめて筆者としてはどういう企業を期待しているのかが定義されていればまだいのだけれどそれもない。ベストなのはマーケットがソニーに対して期待しているハードルを設定していればいいのだけれど、筆者自体がマーケットを知らない。
PS3がいけてないという下りがある。PS3がWiiに比べて売れてないのは分かるが、果たして不合格というレベルの失望をユーザからもらっているのかどうかは分からずじまい。ゲーム部門は黒字化しているけど「輝きが色あせているという指摘が多い」と意味不明な不合格指定。この本では、PS3 の失敗を次のように分析している
- 久多良木氏が迷走して信頼を損なった
- 高価な開発ツール
- 半導体レーザーの開発の遅れでブランドイメージが傷ついた
- 価格戦略などの迷走でブランドイメージが傷ついた
- セルがパッとしない
どれもこれも、ユーザにとってはどうでもいいこと。私も家にはPS3ではなくWiiがおいてあるくちだけど、PS3を買ってない理由は上記のどれでもない。ゲームはおもちゃ。サンタさんは子供が喜ぶかどうかでおもちゃを選んでいるんであって、作り手の熱意に共感しているわけじゃぁない。100歩譲ってゲーム開発参入がPS3がやりにくかったとしても、WiiやDSが参入障壁が低い訳じゃない。新しいコントローラーや二画面やタッチペンという全く新しいUIはそもそも企画段階で大きなハードルになる。「はじめてのWii」をWiiと同時に出されたら、あとは何やっていいか分からない。逆に本当にユーザに受ける企画があるのなら、開発ツールの価格が高くても参入する。
ソニーウォッチャーはソニーに勝手な高いハードルを用意して勝手に失望している。しかし一般ユーザはソニーに対してさほど高い期待も持っていなければ失望もしていない。何となく良さそうなハンディカムを買って、なんとなく良さそうなブラビアを買っている。
またこの本では、やたらとソニーの「ウォークマンの成功体験」を取り上げているのだけれど、私でさえもウォークマンの思い出はもうない。確かにウォークマンはヘッドホンステレオの代名詞だったけど、アイワのウォークマンや遊歩人というウォークマンがすでに出回っていて、この本が言うほどウォークマン王国が盤石で長く続いたとはとても思えない。
さんざん「ブラビアは今はいいけどすぐにコモディティになる」「ハンディカムも今はいいけどみんなユーチューブに投稿するとなると王者の座は奪われる」とただ、何のスケジュールも提示せず盛者必衰をさけんでいる。そりゃぁ当たるに決まってる。そして盛者必衰を叫ぶだけなら分析とは言わない。この本の言うとおりに過去までさかのぼるとウォークマンさえ開発中止だ。
結局ソニーはカイなの?ウリなの?にはまるで解は提示していないし、投資家視点ではなく社会的存在として、ソニーの事業はどうなの?ということにもまるで解答をしていない。
私個人は、ソニーは普通の優良メーカーの一つ。
- SDカードの方がメモリスティックより安いのでデジタル家電はほとんどパナソニック
- テープの頃はハンディカムだった
- VAIOは薄すぎて壊れそうなので買わない
- ラジオはソニーだった
- 保険はソニー
- 銀行もソニー
- フリーズしないし電池のもちがいいので、iPodじゃなくてウォークマン
- ケータイはウォークマンケータイ、音楽機能はすばらしい
- ゲームはWiiだけでPS3は持ってないし買わない
- DSは家に二台、PSPは持ってないし買わない
- 007やスパイダーマンは大好き
ソニーというブランドはさほどどうでも良くて、プロダクト単位で選択している。さしてメーカーにはこだわりがない。マーケットでスケールするにはこだわりがない人にも受け入れられる必要があるのにも関わらず、ソニーを酷評している人は、自分達のこだわりの味覚に合わないといって、「わくわくしない」とソニーを切り捨てている。だから「原因」にたどり着かない。
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