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消費者団体も経済のことを知っておいた方がいい

日経8/28朝刊7面、金融を問うより、消費オンブズネット代表原早苗氏インタビュー。

「ネット取引やコンビニのATMなどは格段に便利になった。20年前くらいの時間軸で見れば、相当変わってた。ただ一方で、手数料は根拠が分からない。たとえば運用成績次第で年金額が増減する変額個人年金保険は、金融機関が受け取る手数料が高いから進めているのではないかと疑ってしまう。法律で手数料をこの金額にしなさいとは言いにくいが、何をベースに決めているのかぐらいは知りたい」

「何をベースに」ってそりゃぁ「一番売れる額まで出来るだけ高い価格」が正解でしょう。知りたいも何も、買う側が高いと思えば高いし、安いと思えば安い。高いかどうかさえ分からないのら、そもそもその価値を見いだせてないということ。自分で運用すればいい。

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ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる

読んでみました。

ものづくり敗戦

実践や経験をおもんじるあまりに、理論を軽視しがちだとというのがメインテーマ。

そして著者が理論屋さんなので、理論の軽視(≒理論屋の軽視)に関する恨みめいたものがいっぱいあってそこが濁る。長い。

一番の主張はこれ

「道具の時代」
  ↓
「機械の時代」
  ↓
「システムの時代」

そして日本の産業はずっと道具と機械を行ったり来た知りしている。

そして機械や道具に魂を込めるという精神が「成功体験」になってしまい、システムを作り出すことができない。

システムというと意味合いが広すぎるのだけれど、単なる道具や機械を超えて、その活用ルールと運用が一体になったものという言い方が正しいのかな。

金融システムはその名の通りシステムで人間はなにをしているのかというと「ルールと運用」を考え出すというのが大事なお仕事で、日本の匠の技術からすると「虚業」にしか見えない

マイクロソフトはソフトウェアをめちゃくちゃ売っている会社ではあるが、匠の技術で最高のものづくりをしているというよりも、必要なものを必要なタイミングでうまいこと作り出しているという感じ

頑張って不良品率を下げるという「精神」は素晴らしいのだけれど、そもそも「作らない」という発想もあるし「不良品がでたらすぐに交換する」というあきらめもある。過剰品質で高コストになって結果高価格になっては意味がない。

システムやソフトウェアや理論というところでこの本で大事にしていたのは「普遍性」というところ。数式はおなじものが入ってくればおなじ答えが返ってくる。商売においても普遍性を考えると、いつでも提供できるだとか誰でも提供できるだとかいうことを考える必要がある。

真逆なのが匠という概念。その人しかできないというのが価値になる。しかし匠でないとサービスが提供できないというのはビジネスとしては脆弱。スケールもできない。日本の接客業はすごくレベルが高いかもしれないけど、そのためのトレーニングにあまりに時間がかかったり、適性にすごく制限があると普遍性のあるサービスにはできない。

私がエンジニアとして周りを見渡しても、「自分にしかできないこと」や「最先端であること」を価値として思う人がちらほら居るが、ビジネスとしてスケールするためには普遍性が必要。ソフトウェアで言えば、パッケージを提供することが「コピーして動く」というソフトウェアの性質を本当に表しているのだけれど、エンジニアはコピーされているフェーズよりも作るフェーズに重きを置いてしまう。エンジニアにとって生産性は作り始めてから作り終わるまでの時間で計測されるが、経済概念上は、生産性というのは一人当たりの付加価値であって、事実上は売上が分子になる。したがって、コピーがたくさんされるアプリケーションを作った方が生産性は高い。

たくさんコピーされる仕組みというのは、「普遍性」のある仕組み。それがよいシステムであり、それが先進国の人間がやるべきこと。

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携帯電話で重視する点

日経8/27朝刊35面で携帯電話の購入で重視する点がありました。マクロミルで1000人から調査。数字は順位。

  全体 男性 女性
端末価格の安さ 1 1 1
利用料金の安さ 2 2 3
電池持続時間 3 3 4
デザイン・色 4 6 2
コンパクトさ 5 4 7
画面の大きさ 6 5 8
操作の簡単さ 7 7 5
カメラ機能 8 9 6

そして男性と女性を比べると圧倒的に女性の方がケータイ親和性が高いので、女性のランキング順に並べるとこう。

  女性
端末価格の安さ 1
デザイン・色 2
利用料金の安さ 3
電池持続時間 4
操作の簡単さ 5
カメラ機能 6
コンパクトさ 7
画面の大きさ 8

総務省の指導により、利用料金を下げて端末価格をあげるというルールになりましたが、消費者からはそうではない感じ。そして、二位に入っているのがデザインと色。やっぱり大事です。色が選べることが大事で画面が大きいことはあまり関係がないというと、スマートフォンとは真逆の商品を選ぼうとしているようにも見える。

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鳩山由紀夫は反グローバル

日経8/19朝刊大機小機より、鳩山由紀夫が阿呆なことを言っているという記事。

鳩山由紀夫・民主党代表が最近月刊誌に発表した論文からはその世界観がうかがえる。気になったのは冷戦後の日本社会を振り返った一節だ。
「グローバルエコノミーが国民経済を破壊し、市場至上主義が社会を破壊してきた過程といっても過言ではない」
日本が抱える問題の源は市場原理やグローバル化の過剰にあり、この力を抑え込むことこそ、問題を解く鍵という発想である。

めちゃくちゃだなぁ。日本こそグローバル経済の恩恵を受けてきた国なのに。北朝鮮にでもしようというのか。

グローバル経済の恩恵を受けてきた人たち(ざっくり半分くらいの人たち)はなぜか悪の思想に属する労働者ということになる。

一方で鳩山由紀夫は東アジア共同体やアジア共通通貨を提唱している。それこそ国境をなくすという点ではグローバル化そのもの。真正面から矛盾している。国民がついてこないだけでなく、早々に官僚や党内ブレーンからも愛想を尽かされるでしょう。

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内需主導を謳うには1億人早い

日経8/20朝刊1面、選択09衆院選より。

民主党の経済政策の柱は「消費購買力を高めて内需を拡大する」(鳩山由紀夫代表)こと。子ども手当など家計の支援策が代表例だ。ならば政権交代を意識しつつある株式市場で内需株が買われないのはなぜか?

簡単に言えば、誰も信じちゃいないということ。金はばらまかれるけどそれは内需には意味がないと。

メリルリンチ日本証券のストラテジスト、菊池正俊氏は「政策が内需主導の成長をもたらすとは思えない」という。「外国投資家は人口減少に直面する日本に必要なのは移民政策など抜本策だと思っている。それがあってこその内需だ」

1億人そこそこで、労働者人口はおろか人口そのものが減っていくことが確実な国で内需主導を楽観的に謳うというのは、笑われるというのを通り越してスルーされている。政権を取ろうかという政党ならもうちょっと「叱られても」いいはずなのに、もはや諦められているのか。

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CAGE フレームワーク

CAGE フレームワークとは

  • Cultual(文化的)
  • Administrative(制度的)
  • Geographical(地理的)
  • Economic(経済的)

これらの「隔たり」をピックアップしたもの。PESTに似ている感じがするけど、「文化」と「地理的隔たり」をこれられない壁として重視しているのがポイント。

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企業のコスト削減策

日経8/15朝刊9面より、企業のコスト削減策について。

  • キヤノン
    • コスト削減を2200億円
    • 広告宣伝費や販売促進費、出張費などをけずる
  • 三菱自動車
    • エンジン能力増強投資の凍結
    • 省電力照明の付け替え
    • 接客時の飲料提供禁止
    • テレビCMからネットにシフト
    • 09年度に1500億円以上のコスト削減を目指す
  • NEC
    • 設計・ソフト開発を内製化
    • 4-6月期に外注費・業務委託費を261億円削減

キヤノンと三菱自動車ともに広告宣伝費の削減を挙げている。三菱自動車はネットにシフトとはいうものの、自動車業界ほどブランディングが必要な業種はないでしょうから事実上の縮小均衡でしょう。いわゆるナショクラ相手のブランディング広告を業態としている企業は今後もしんどそうです。

また三菱自動車の「飲料禁止」も象徴的。ウォーターサーバー・コーヒーまわりの市場が冷え込みそうです。

あとNECの4半期で外注費が261億削減というのがかなり大きい。年間では1000億円の規模です。超ざっくり一人当たりの年間コストを1000万円とカウントすると、1万人分の仕事が蒸発する。こういう動きはNECだけじゃないでしょうから、大量のソフトウェアエンジニアが職を失う。

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またアメリカの年金基金が公開株以外に手を出し始めた

日経8/15朝刊7面より、アメリカの公的年金基金が公開株以外に手を出し始めたと言うニュース。

こないだまでは、商品に手を出していて、アメリカの公的年金が商品にながれこんだことで、商品市場が動きすぎたと言う事件があったのに、また小さな市場にクジラのような巨体がドーンと入ってきそうです。

逆に見れば、局所的なバブルが発生するはず。

  • カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)
    • 今後15年で年平均7.6%の運用利回りが必要
    • 未公開株の資産配分比率を中期的に10→14%に高める
    • アメリカと日本の株への投資配分は下がるとみられる
  • イリノイ州教職員退職年金基金
    • 未公開株への投資を拡大
    • 総資産の9%を未公開株で運用しておりさらに1ポイント上積みする方針
  • アリゾナ州の退職年金基金
    • 大手銀行を通じてアジア諸国の社会資本整備に投資するファンドに3000万ドルを配分
    • 米国株の投資配分を54.9%→50%まで下げる
  • オハイオ州職員退職年金基金
    • インフラ関連投資に着手
    • 総資産の5%を振り向ける予定
  • カルタース(カリフォルニア州教職員退職年金基金)
    • 社会資本整備ファンドへの投資
    • 総資産に占める不動産の比率を13.5→15%と引き上げる方向

ということで、サブプライムローンにはさすがに手を出さないものの、それ以外の「市場が小さく」「流動性もあまりない」金融商品に金が流れてきそうな感じ。

やたらと未公開株がピックアップされているのがポイント。公開益をあてにするというシナリオなのなら、いわゆるネットバブルの頃のパターンがありえる。公的年金が投資をしているその先には、これまでになく簡単に資金調達ができている未上場企業がどこかにいるということ。

あとアジア諸国の社会資本整備ってなんだろう。普通に重機需要が増えるのかな(ならコマツ)。それとも水道管整備かな(じゃぁ塩ビ需要が増えて信越化学か)。

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ノルウェーの年金基金、世界の時価総額1%の株保有

日経8/15朝刊7面より。

  • ノルウェーの政府系年金基金
  • 6月末時点で世界の株式時価総額の1%の株式保有額
  • 4-6月の運用成績
    • 株価反騰をうけて12.7%
    • 約4兆2500億円
    • 過去最高の四半期益
  • 同基金の運用規模は約37兆500億円(SWFとして世界2位)

このタイミングで政府系がリスクを取ったというのがポイント。年金基金というとアメリカのカルパースを思い出しますが、他にも年金基金が巨大な株主になりうるという例。

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WindowsMobileもひっそりと大口導入

日経8/15朝刊11面より、WindowsMobileのスマートフォンを富士通が1000台規模で受注したと言う記事。これがiPhoneだともっとニュースになるのだけれど、WindowsMobileだとあまりニュースにはならない。

  • 富士通がJA兵庫県信連から受注
  • WinowsMobileの端末1000台
  • 受注額は1億4500万円
  • 1台で、通話・顧客管理・集金処理を行う
  • 指紋認証機能を備えたスマートフォンの「F1100」とJAの電算システム「JASTEM」を連携させる
  • 2010年1月の本格稼働を目指す

地味ですが、スマートフォンの特徴である、カスタマイズ可能であるというところを十分に使っています。PCでのWindowsOSの価値である、「アプリが開発しやすい」というところと「ハードが自由に選べる」という価値はソリューションを提供するうえでは大前提。

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WindowsMobilemo

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野党三党が共通政策を発表

東京新聞:家計支え消費拡大 3野党共通政策 郵政分社化見直し:政治(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009081502000101.html

ただし、外交と安全保障に関しては触れてない。民主党の直島氏は「3党の公約と受け止めていただいて結構だ」と言っているけど、約束がないなか何を期待すればいいのか。

象徴的なアホ政策は、郵政の分社化と民営化の逆行。国のものにしたままで巨大化を図ろうとしている。公社時代にあれだけ、無駄遣いをしていて、それが今になって郵政の赤字につながっていると言うのに、また議員のバラマキルートに戻そうとしている。

あらためて、なぜ郵政を分割民営化しなければならないかというのをまとめると。

  • そもそも民営企業では許されない業務の広さ
    • 便利なのはいいのだけれど、それが僕たちの仕事の邪魔をしている。フェアな競争じゃない
  • 国がもっているからこその無駄遣い
    • 東京駅前の一等地を集配センターとして維持するという常軌を逸した無駄遣い
    • 大して利益も出ないのに工事が欲しくてかんぽの宿をわざわざ高コストで建設する
    • いざそれを適正価格で手放そうとすると、国会議員が「安値で売却するとはけしからん」と僕たちの資産を死蔵させる

ということで、国が民間ができることも含めてやろうとすると、

  • すごくできが良くても民間企業の職を奪う
  • 無駄だらけでも税金の垂れ流しになる

と、どっちに転んでも低評価。

ちなみに、共通政策の全文が日経に載っていたので、そこから郵政事業の部分を抜粋する。

○日本郵政グループ各社のサービスと経営の実態を精査する

精査もせずに口出ししてたのかよ!これ政策作る前の先行タスクだろうに。

○株式保有を含む日本郵政グループ各社のあり方を検討し、国民の利便性を高める

検討せずに口出ししてたのかよ!考えるだけのタスクもやってないのか。これまで何をやってたんだ?

「精査」や「検討」をやりますって会社の中でもちょいちょい出てくるけど、何も言ってないのとおなじだし、何もやってないのと同じだし、何もできそうにないなぁって思う。

プランニングはほぼ「準備」で占められるのだけれど、大きく「調査・検討・検証」に分かれる。検討は考えること。そこで仮説が生まれる。調査は事実の収集。検証は実際の対象に実験を行う。こういうベースがあって初めてプランになりうるのだけれど、三党の共通政策はそのスタートラインに立ってない。

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農相が消費者を語る

今の内閣で唯一地に足のついが話ができてるんじゃないかと思われる石破茂氏インタビュー。日経8/8朝刊日本の農力より。

――農政は「族議員」の影響力が強い。
「議員の声が生産者の声であることは否定しないが、本当にイコールと言えば違うのではないか。生産者の利益と農業団体の利益が完全に同じかといえば、違うところがあるのだろうずれているとすれば、それはなぜかを議論しなければならない」
「さらには消費者の利益という議論が決定的に欠落している。農政全体が、生産の現場から消費までをみなければならないのに、消費者の意見は反映されてこなかった。これから先の政策決定システムでは配慮していかないといけない」

いいこと言ってる。食料自給率なんていう指標そのものを持っている時点でアホです。世間ではそれをマーケットシェアと呼ぶ。マーケットシェアが少なくてなおかつ在庫がだぶついているというのは、マーケティングのお勉強をしていない状態なので普通は恥ずかしくて大きな声では言えない。

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アジアで頑張る企業たち

日経8/8朝刊1面「アジア内需を狙え」より。

ユニ・チャームはアジア市場開拓で先行し、2008年度には売上高で2位だったライオンを抜いた。紙おむつではインドネシア、タイ、台湾の3カ国・地域でシェア1位

材料となる素材の市況に影響は受けやすいですが、ユニチャームの売り上げ面の期待は高い。

日本で即席めん5位ながら、ベトナムではシェア60%を超すエースコックは09年12月中に同国で稼ぐ利益が日本を抜く見込みだ。「現地でエースコックを日本企業と思っている人はほとんどいない」(村岡寛社長)

即席めんと言えば、東洋水産がメキシコで異常なシェアを持っていたりと、日本とは別の業界構造が新興国で展開できっぽいです。東洋水産の成功例からみると、ProductよりもPlaceの方が重要になりそうな感じ。ちゃんと棚を占めて定番感を持つということが大事なのかな。

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