安川電機、風力発電に参入

日経2010/01/04朝刊より、安川電機が10年度中に風力発電に参入するという記事。

以下ポイント。

  • 工場や商業施設向けに売り込む
  • 価格は未定ながら1億円前後と見られる
  • 11年度中には10億~20億の売上を目指す
  • 太陽光や蓄電池を組み合わせる
  • 安川はリチウムウオン電池を主力とする蓄電池メーカー、エリーパワーに出資している

今までの風力発電や太陽電池発電は「自治体の観光」「家庭向けの売りきり」が主な商売であって、法人向けの本気モードのエコ発電というところに力を入れているのは結構新しい。

また蓄電池を全面に押し出しているというのも、売電政策をあてにしない感が読み取れる。

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日本の電力会社もスマートグリッドに1兆円

日経2009/12/31朝刊1面より、東京電力や関西電力もスマートグリッドに投資をするとのこと。

以下ポイント。

  • 各家庭の電力メーターを置き換えるなどの投資で1兆円
  • この1兆円の投資は電気料金からまかなうため料金の値上げがあり得る
  • 日本のスマートグリッドの機能の目玉は「家庭からの太陽光発電を電力会社の送電網に流す」

国の方針として、電力会社に家庭発電の余剰電力を買い取るように義務づける「余剰電力買い取り制度」がありますが、その延長でしょうか。

今の送電網にチマチマと逆方向に電力を流されても、きっと電力会社は困るだろうなぁとは思うのですが、まじめに小さな電力を双方向に流そうとすると1兆円規模の投資が必要ということのようです。

個人的にはこの政策はお門違い。却ってコストが増えている。電力というものはトータルで足りないのではなく、貯めれないことで需給バランスがとりづらいのが問題。ピーク時に電力が足りない状態なら、いくら送電網がスマートでもやっぱり足りない。

まじめに電力の問題を解決するにはこうすればよい。

  • 家庭で電力が貯めれるように蓄電池を設置する
  • 需要の高い時間帯は電力会社の価格は高くする
  • 蓄電池に電力を貯めるのは、電力会社の夜間電力を使ってもよし、自力で太陽光発電をしてもよし

まずは電力というエネルギーを「財」として貯めれる状態にしないと、買う・持つ・売るの判断ができない。この判断なしにグリッドをスマートにしてもロジックが作れない。いったんエネルギーに財という価値基準ができれば、その財を生産するのにもっとも適したタイミングに最も適した手段で発電ができる。

今の課題は太陽光発電の電力が高すぎるということ。経済原理に会わないモノを、普及させるために課題を電力会社に押しつけても解決しない。

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日本電産の新興国戦略

日経12/28朝刊9面「経営の視点」より日本電産が電気自動車分野に力を入れているという記事。

バッテリーやモーターを調達すれば10人程度で組み立てられる電気自動車。中国には既に200社以上が乱立、米投資家のウォーレン・バフェット氏は現地電池大手のBYDに出資した。販売現場を目の当たりにした永守社長はこう読む。「中国では1回の充電で50キロ走行できる邦貨換算20万円前後のタイプから市場が爆発的に伸びる。10年後に世界でも電気自動車比率が3割に達する」

電気自動車市場の立ち上がりは永守社長の当初の見立てより10年遅れたものの、足元では関連モーターへの引き合い件数が前年の約30倍に達している。

日本や米国でも電気自動車の開発が進んでいますが、いずれもガソリン自動車の性能や用途を意識しすぎて、高価な電気自動車ばかりのラインナップです。部品点数の少なさや組み立ての容易さを考えると、本来は電気自動車という存在はリーズナブルであるはず。

法律上の安全基準を含めて車に本当に必要な性能を考えれば、電気自動車市場というのは自動車市場を置き換えるものではなく、電気自動車市場そのものが新しく作られてもいい。

インドのナノを「チープな自動車」としてあざ笑うことは、自動車先進国の論評としては上から目線で気分がいいでしょうが、市場に必要なものを価格含めてゼロベースでデザインした結果がナノという答えなのであれば、それが正解。

日本では電動アシスト自転車というものがあります。普通の自転車では中国製が多いのに、電動アシスト自転車には中国製がない。なぜか。それは中国では電動アシストなんてまどろっこしいことを言ってないで、100%の動力を電気で動かしてもアリだから。だから中国は電動バイクの先進国になっている。一方で日本ではなんとかして「自転車」の規制の枠組みでやりくりしようとしている。

ホンダのスーパーカブの設計思想は、「舗装のない道路でも走れる大きな車輪、片手で荷物を持てるようにクラッチを排除」と、インフラやルールをあてにしてないい設計ですが、だからこそ世界で売れた。

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コメでバイオエタノール

世界のバイオエタノールブームからすっかり出遅れた日本ですが、「これだけコメが余っているんだからコメでエタノールを作ればいいじゃない」という素直な企画を実行している人がいます。日経11/26朝刊より。

新潟県に7月、コメを精製したバイオエタノールをガソリンに混ぜた「グリーンガソリン」が登場した。原料はコシヒカリに比べ収量が1.5倍の多収穫米。昨年から361戸の農家が休耕地などで栽培を始め、約2300トンを確保した。

このコメを全農が買いとってバイオエタノールを作り、国の基準上限である3%のバイオガソリンを年間3万3000キロリットルを製造。県内19の直営スタンドで販売する。

コメ1トンから445リットルのエタノールが取れ、生産性はトウモロコシともそん色ない。

コメからお酒を作るというのは極めて素直。容量当たりのエタノール生産性がトウモロコシとそん色ないという点で、先行しているバイオエタノール群とも原理的には追いつくことができる。ただ、「お金」という点ではどうか。

課題は採算だ。国は製造所の建設費の14億円のうち半分を補助、11年度まで年3~4億の経費を負担するが、「補助金なしに事業を続けるのは容易ではない」と所長の石山氏。コメの買い取り価格も1キロ20円とコシヒカリの10分の1以下だ。国や県から10アール当たり最大計5万2000円の補助金があっても農家は赤字と言う。

全然ダメ吉。純粋にエネルギー源としてとらえた時には、コメはあと10倍生産性を高めないといけない。いや食料としてみたばあいでも、コメの輸入関税は700%という時もあったので、いずれにしてもコメはあと1桁安くつくらないと合格ラインを超えない。

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LED照明バブルにどう対応するか

こないだのCEATECでもかなりの部品メーカーがLED照明に手をつけている感があったのですが、白熱電球が悪者になり、一斉にLED照明にシフトするのだという、バブルの感じがします。

ただ困るのは、LED照明の参入障壁があまりに低いというところ。なのでこのバブルには乗りにくい。

ということでちょっといいかなぁと思っているのは、この企業。

http://www.disco.co.jp/jp/

日経11/16から引用。

LEDチップを基板から切りだす装置を製造するのディスコは業績が急回復。10年3月期の連結業績売上予想を前期比4%減の510億円から10%増の585億円に上方修正した。

LEDを作るのではなく、それを切りだす装置を作っているというところがミソ。短期的にはひきが多くなりそう。ただディスコ自体の売り上げは、ピークに比べると激減しているので、企業単体でみると、投資不況が続いているという感じ。

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東芝・三菱重工・日立 小型原子炉の参入

日経2009/10/24朝刊1面より。小型原子炉に参入するという記事。原子力発電が今後伸びるのは確かなのですが、送電設備のないところにはきつい。そこで利用される場所に近いところに小型原子炉を置いてしまおうという戦略。

  • 東芝
    • 出力1万キロワット級の超小型を開発
    • 日本の標準的な家庭で約3000世帯分に電力を供給できる
    • 100万キロワット級の原発建設には3000億円かかるが小型炉は大幅なコスト減が可能
    • 燃料交換を約30年間不要にする
    • 米アラスカ州やカナダのアルバータ州などが関心を示している
    • 来年10月までに米原子力規制委員会への本申請に必要な準備を終える方針
  • 三菱重工
    • 35万キロワット級のPWR
    • 基幹部品を原子炉内に一体化する
    • 構造を簡素化して経済性を高めながら安全性を高める設計
    • 概念設計が完了というステータス
    • このほかにも南アフリカの国有企業と16.5万キロワット級の小型炉も共同開発中
  • 日立製作所(GEと原子力事業は統合)
    • 40~50万キロワット級の原子炉を開発

東芝が超小型というところを考えていて、三菱重工はパッケージ化というところに重きを置いている感じ。

ちなみに、ざっと計算をしてみると、日本の標準的な家庭の3000世帯をカバーできるというところで、顧客単価を5000円/月とする。

3000世帯×5000円=15,000,000円/月

→180百万/年の電力市場をカバーすることになる。送電設備とかを全く考慮していないので、超ざっくり1000億円くらいの売り上げが出せる資産とあつかう。

資産回転率を1とすると、1000億円くらいの投資なら合格ラインか。フルスペックの原発が3000億円ということだから、1/3のコストにするのが直近の目標。送電が「短くて済む」という価値を上乗せするともっと評価してもよい。

燃料交換を「しない」という発想がすばらしい。

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コニカミノルタもLED照明に参入

日経2009/10/22朝刊11面より、コニカミノルタがLED照明に参入するという記事。

  • 光源の中核部品となるガラスレンズを2010年度上期から量産する
  • デジタル家電の光ピックアップの生産設備を転用
  • 量産から2~3年後に年間売上高100億円弱の事業に育てる
  • 15年度にはLEDレンズの世界市場シェアの10%にあたる年間10億個以上の受注を獲得して売上高500億円を目指す

LEDは可能性もあるのですが、参入障壁が低すぎるというマイナスもあります。が、ピックアップレンズはちょっとだけ面倒なので、こういう部品では存在感を出せるかもしれません。

懸念ポイントとしては、現在普及している安価なプラスチックレンズで「済んでしまうかもしれない」というところでしょうか。まじめに耐久性を追求すればガラスなんでしょうけど、電池交換さえできない製品が普通に買われているところをみると、顧客は購入時には耐久性にたいする価値にお金を払わないかもしれません。

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アイミーブがいよいよ7月下旬に発売

いよいよ、ピュアEVのアイミーブが7月下旬に発売。日経6/6朝刊より。

  • 車両価格は、459万9000円(補助金利用なら実質320万9000円)
  • 電気料金は10キロ当たり10円で一般的なガソリンの1/5。プリウスに比べても1/3
  • 連続走行可能距離は160Km

連続走行可能距離が短いのが目につきますが、家庭用の電源で充電できることを思えば、技術的にはあちらこちらで充電できる。

ただ価格は高い。アイミーブに限らず、他のエコカーも「補助」があるから売れている。あまりに高価というのは、希少資源を使っていたりして継続性がない心配もある。

電気自動車の夢はあるものの、本当にそれが「実用化」されて社会に価値提供できているというのは、新聞配達のスーパーカブが全て電気で動いているというような状態があるべき姿。本当にエネルギーやらCO2やらを考えるなら、自家用車ではなく、より利用頻度の高い業務用から本当は考えた方がいい。実際には個人消費の刺激がメインの目的だからしかたがないけど。

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WSJはオバマさんの燃費規制に批判的

日経2009/05/26朝刊7面「海外論調 米の車燃費規制強化 批判と称賛交錯 ビッグ3圧迫も」より。アメリカでは自動車の燃費を2016年までに4割引き上げるという燃費規制強化策があがっています。

米ウォールストリートジャーナル社説(20日付)は「米国の新たな自動車はほとんどハイブリッド車や電気自動車になってしまうだろう。しかし米国民が価格にかかわらずそれを買うだろうか」と疑問を提起。「ビッグスリーは売れず利益を生まない自動車を生産することになり、納税者が負担を負うとういうことだ」と批判した。

一個人が言うならともかく、新聞の社説でどうどうとエコカー批判をするというのはアメリカらしい。エコカーは「欲しくもなければ」「作るうまみもない」ということのようです。このあたりは消費者も生産車も「省エネは善」と思っている日本のカルチャーはすばらしいなと思います。

こういうのを見ると、アメリカもガソリンには日本なみに税金をかけた方がいいなと。

そういえば、夏のエアコンの温度を上げてエネルギーを節約するということが、そこそこちゃんとした組織(客商売も含む)で許されるのも日本ならでは。

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ハイブリッド電池戦争

日経2009/05/22朝刊13面「グリーンインダストリー 第二部 ハイブリッド車舞台裏 下 電池戦略 積極投資、正気逃がさず」より、電池の話。

  • トヨタ
    • パナソニックと共同出資する電池生産会社のパナソニックEVエナジー
    • 300億円を投じて2010年にも宮城県大和市に新工場を建設
    • この工場が稼働すれば現在の60万台から100万台に高まる
    • 一方でプリウスの発売前受注は8万台(足りるのか?)
    • リチウムイオン電池は今のニッケル水素の2倍の容量で将来性が有望なためニッケル水素の生産能力を闇雲に上げるわけにもいかない
  • ホンダ
    • インサイトのニッケル水素電池は三洋電池
    • リチウムイオンはGSユアサ
    • ホンダとGSユアサが共同出資する「ブルーエナジー」は250億円を投じて来年秋までに新工場をつくる

ということで、電池への投資がとても多い。そして需要も今急に増えている。これが恒常的な物なのか、今の政策での特需なのかは分からない。さらに、ニッケル水素からリチウムイオンへの過渡期というのもつらい。

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